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国民的オフロード車【ヤマハ セロー225】が誕生するまで「1985年最初期モデル<1KH>詳細解説」

セロー 225 1985 1KH

ビギナーからベテランまでに愛されたヤマハのオフロードバイク「セロー225」。1985年に発売され2004年に販売終了となるまでの期間は、ちょうど20年。この間、セロー225には数々の変更が加えられたが、「気軽で扱いやすい」存在であることはまったく変わっていない。

当記事では1985年の初代から225最終型(2004年)までの変遷を追っていく。まずは第一世代と言える1985年の初代モデルを解説していこう。

*当記事は『別冊モーターサイクリスト2010年8月号』の特集「ヤマハ・セローの持続可能性」の一部を編集・再構成したものです。

「マウンテントレール」を提唱した新ジャンル:第一世代セロー225(1985~1989)

型式■1KH 発売年月■1985年8月

初期型セロー225のカタログは、ふたつ折りの中とじ2枚もので計8ページ。静かな山奥を想像させるシンプルな表紙に引き続き、内部では道なき山奥へ分け入るための専用装備について詳しく解説している。

1980年代中ごろと言えば、世の中はバイクブーム・レーサーレプリカブームまっただ中で、そうした時代にもてはやされていた言葉は、ズバリ「他車より高性能である」こと。つまりスペック至上主義時代だったと言えるが、その傾向はオフロード車のカテゴリーにおいても同様であった。

そうした時代背景の中で、「マウンテントレール」という聞き慣れないキャッチフレーズとともに登場した初代セローは、諸元表を見る限りは何ら突出したところがあるわけでなく、見た目においてもシンプルと言うよりむしろ地味な部類。当時のバイクファンの目には奇異な存在に映ったことだろう。

だが、北米ユーザーからの意見もフィードバックして練り上げたというセローの実力と魅力は、虚飾を廃した装備と扱い切れる車格・性能に如実に現れていた。
モトクロスコースでの速さよりも、「トレール(山などの踏みならされて出来た小道の意)」の言葉どおり、山奥で安全に走り遊べることを重視。

その軽さや足着き性のよさ、ハンドル切れ角の大きさなどから、山岳部でのトライアル的な走りまで可能とし、さらには街乗りからツーリングまで柔軟に対応していた。こうした幅広いシチュエーションで走ることができる能力は、開発の発端となった「DT-1への回帰」という考えが具現化されたものであった。

1985年8月発売の初代セロー225。XT200の利点に着目しつつ、軽量化と「転んでも平気な仕様」を追求し、その進化版を目指した。
初代セロー225は、7.6Lの燃料タンクを採用し、セル無しのキック始動だったものの、そこが難点だったのか、第一世代は大ヒットとはならなかった。燃料タンクの増量(8.8L)とセル装備の第ニ世代になり、セロー225は広く認知されヒットしていく。
初期型セロー225のカタログは、ふたつ折りの中とじ2枚もので計8ページ。静かな山奥を想像させるシンプルな表紙に引き続き、内部では道なき山奥を分け入るための専用装備について詳しく解説している。

開発コンセプトに加えられた「転ぶ」というキーワード

また、壊れないこともセローでは重要視されていた。「壊れない」と言っても、単に故障しないということだけでなく、たとえば鳥も通わぬような山奥で転倒したときに、簡単に走行不能になるようではマウンテントレールとして不十分と考えられたのだ。

そのため、開発コンセプトに前代未聞の「転ぶ」というキーワードが加えられた。徹底した軽量化はその一環でもあったし、ほかにも接触後の変形まで考慮したアルミ製エンジンガードや、ブレーキ関係のロッドやリンケージをフレーム内側に追いやることなど……。すべては最小のリスクで最大限に遊べることを目指した機能だった。

この初代モデルの登場後、セロー225は時代ごとのニーズの変化に合わせた小変更を繰り返しつつ、20年にわたりユーザーに愛されていくことになる。またその土台は、初代モデルですでに確立されていたのである。

1985年発売、ヤマハ初代セロー225(1KH)の特徴を解説

エンジンは1982年発売のXT200ベースにボアを拡大した223㏄。開発時には250㏄フルスケール仕様なども試作されたというが、出力および耐久性などのバランスを考慮し、最終的に223㏄に落ち着いた。内部には振動低減のためのバランサーを装備しており、それは車体の補強を減らして軽量化することにも貢献している。さらに圧縮を抜くセミオートデコンプも装備し、始動性の向上も図っている。ミッションのギヤ比は初期型のみは1速をスーパーローとしてトライアラー的な性能を高めていた。エンジンガードは大型のものとし、エンジン本体との間にゴムを挟むことで変形を防いでいる。

キャブレターはシンプルな構造の26mm径VMタイプ。後年の負圧キャブに比べると扱いに若干のコツを要したが、スロットルワークに対するメリハリのよさはこちらが上。

ステアリングステム部にはスチール製の握り手(部品名:ハンドルスタンディング)を装備。山間部でのスタック時など、車両を安全な場所まで移動させる際に役立つ。またこの装備、「無理にスタックから抜け出そうとしてタイヤで地面を掘り、山を荒らすことを避ける」目的もあるという。

タンデムシート脇に装備されるグラブバーは、ステアリング部の「ハンドルスタンディング」と同様にスタック時などの握り手にもでき、かつ転倒時にウインカーボディを保護する役割も果たす。

必要最低限の装備しか持たないメーターまわり。装備をシンプルにし、かつ小型化することで車体の軽量化に寄与している。

フロントのディスクブレーキにはピンスライド式の1ポットキャリパーを装備。ブレーキローターには半周以上を覆うカバーが取り付けられ、ラフロードでの泥詰まりやそれに伴うパッド/ローターの摩耗を防ぐ。

初代「1KH」以降の第一世代モデル

セロー225 YSPリミテッドバージョン(1RF) 1986年2月

1986年2月発売のモデルとして、フロントフォークに減衰力調整機構を備え、アルミブリッジ付きハンドルやステンメッシュ採用のフロントブレーキホースなどを装備した「YSPリミテッド」が登場。タンクはツートーンカラーになっており、これは「初期型でやりたかったこと」を実現したうちのひとつという。塗色により、セローらしい扱いやすさを視覚的なスリムさで表現したのである。

セロー225(2LN) 1986年12月

1986年12月発売のモデルになると、それまでの26mm径VMタイプキャブから34mm径の負圧式SUタイプキャブ(BST34)に変更された。これはさらなる低速域の扱いやすさと、よりフラットな出力特性をねらったもので、さらには激しい姿勢変化に対し安定した油面が保てるようにするためでもあった。つまり山奥で遊ぶための、ネガな部分を克服するために行われた仕様変更である。

ヤマハ セロー225(1985)主要諸元

■エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒2バルブ ボア・ストローク70.0×58.0mm 総排気量223cc 圧縮比9.5 燃料供給装置Y26Pキャブレター 点火方式CDI 始動方式キック

■性能 最高出力20ps/8000rpm 最大トルク1.9kgm/7000rpm 燃費60km/L(50km/h) 最小回転半径1.9m

■変速機 6段リターン 変速比 1速3.309  2速2.000  3速1.428  4速1.125 5速0.925  6速0.793 一次減速比3.318 二次減速比3.000

■寸法・重量 全長2055 全幅825 全高1160 軸距1350 最低地上高285 シート高810(各mm) キャスター26°30′ トレール102mm  タイヤサイズF2.75-21 R120/80-18 乾燥重量102kg 

■容量 燃料タンク7.6L オイル1.3L

■車体色 赤、緑

■発売当時価格 32万9000円

レポート●神山雅道 写真●ヤマハ、別冊モーターサイクリスト編集部

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