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最新CL250/500を含め、ホンダ歴代CLシリーズの素性と乗り味に一貫性は無かった?

ドリームCL250 ホンダ 1968

ホンダCLシリーズの決まり事はアップマフラーくらい

2023年5月から発売が始まった新型CL250/CL500は、業界でも世間でも評判がいいモデルで、現時点での販売はかなり好調なようである。でも僕の周囲には「あんなのCLじゃない」「クルーザーがベースのスクランブラーっておかしくない?」などと、異論を述べる人が存在する。

そういった意見はわからなくもないけれど、かつてのホンダが販売したCLの素性と乗り味は各車各様で、明確な決まり事はアップマフラーくらいだったのだ。また、クルーザーがベースのスクランブラーは、確かに過去に前例が見当たらないものの、実際にCL250/CL500に乗って、クルーザーの気配を感じる場面はほとんどないと思う。

などという話を編集部でしていたら「それを記事にしませんか?」という展開になったので、当記事では歴代CLの特徴と個人的見解を記してみたい。ただし50〜125ccクラスを含めると、文字量が膨大になりそうなので、以下の文章で取り上げるCLは250cc以上のみである。

「CL」の名を冠するモデルは2002年に生産終了となったCL400で途絶えていたが、新型CL250/CL500の登場で約20年ぶりに復活となった。左が249cc水冷単気筒のCL250、右が471cc水冷並列2気筒のCL500。
最新CLシリーズのベースとなったクルーザーモデル、レブル250/レブル500(写真はレブル250)。

悪路走破性にかける意気込みの差異

昨今の2輪の世界では「オフロードもある程度は走れるオンロード車」というのが、スクランブラーの一般的な認識になっている。そして1960年にデビューしたCB72の派生機種として、1962年からホンダが発売を開始したCL72は(1966年にはCB77の派生機種となるCL77も登場)、日本製スクランブラーの原点と呼ばれることが多いのだけれど、このモデルは現行車で言うならトレール車、CRF250L/〈s〉に相当する資質を備えていたのだ。

もっとも、当時の日本にはトレール車やオフロード車という概念が存在しなかったので、メーカーもメディアもCL72をスクランブラーと呼んでいた。とはいえ、CB72から転用した並列2気筒エンジンを除くと、セミダブルクレードルタイプのフレームや前後19インチホイール(リムはH型で、スポークは40本)、容量10.5Lの小振りなガソリンタンク、頑丈な構成のステップなど、数多くの部品を専用設計したCL72からは、開発陣の悪路走破性にかける意気込みがヒシヒシと伝わって来るのである。

ホンダ ドリームCB72スーパースポーツ(1960〜)

ホンダ ドリームCB72スーパースポーツ

■1960年から発売が始まったCB72は、ホンダ初の250ccスーパースポーツで、1961年には兄貴分となる305ccのCB77が登場。フレームはダウンチューブが存在しないダイヤモンドタイプで、36本スポークのホイールは前後18インチ。最低地上高は140mm、ガソリンタンク容量は14L。

ホンダ ドリームCL72スクランブラー(1962〜)

ホンダ ドリームCL72スクランブラー

■本文では派生機種という言葉を使っているけれど、CL72/CL77はその範疇に収まらないレベルの変更が行われていた。並列2気筒エンジンの最高出力は、CB72/CB77と同じ24ps/28.5ps。当時の悪路走破性を示す基準になる最低地上高は、CB72/CB77から50mm以上となる195mm/190mm。

初代CL250はロードスポーツCB250からの小変更に留まる

ところが、CL72の後継として1968年に登場したCL250は、そこまでの気合いを感じるモデルではなかった。ガソリンタンクやアップマフラーなどは専用設計で、フロントタイヤは18→19インチに変更されたものの、全体の雰囲気はあくまでも同年にデビューしたCB250のスクランブラー仕様(兄貴分として、CB350をベースとするCL350も併売)。端的に表現するなら、CB72とCL72の大差に対して、CB250とCL250は小差だったのだ。

そしてCL250の生産終了から20年以上の歳月を経て、1998年から発売が始まった第3世代のCL=CL400は、かつてのCLとはまったく関係がないうえに、大差も小差も無いモデルである。というのも、CL400にはベースと言うべき車両が存在しないし、新規開発のセミダブルクレードルフレームに搭載されるエンジンは、オフロードモデルのXR400Rから転用した空冷単気筒だったのだから。

なおCL400は、素性としてはCL72やCL250以上にオフロードが楽しめそうなのだが、レトロテイストを多分に意識したこのモデルの仮想敵はヤマハ SRで、悪路走破性に対する配慮はわずかしか感じられなかった。

ホンダ ドリームCB250(1968〜)

ホンダ ドリームCB250

■1968年に登場したCB250/CB350は、CB72/CB77の後継車。フレームはセミダブルクレードルで、全面新設計の並列2気筒エンジンは、CB250:30ps/CB350:36psを発揮。ホイールは前後18インチで、ガソリンタンク容量は12L。

ホンダ ドリームCL250(1968〜)

ホンダ ドリームCL250

■CL72/77の後継車となるCL250/CL350は、CB250/CB350とほぼ同時期に開発。低中速重視の味付けが行われたエンジンの最高出力は、CL250:27ps/CL350:33ps。ホイールは前19/後ろ18インチで、ガソリンタンク容量は9L。最低地上高はCB250/CB350+30mmの180mm。

ホンダ CL400(1998〜)

ホンダ CL400

■1998年にデビューしたCL400は、1960年代のCB450Dを思わせる左右出しアップマフラーを採用。オフロードモデルのXR400Rをベースとする空冷単気筒は29psを発揮。最低地上高は185mmで、乾燥重量140kg、装備重量155kg250cc以上の歴代CLで最も軽い数値。

ホンダ XR400R(1997〜)

ホンダ XR400R(1997年7月に「1998年型」として発売)

■海外で1995年、日本では1997年から発売が始まったXR400Rは、エンデューロやクロスカントリーを前提にして生まれた、保安部品を装備しないオフロード用コンペティションモデル。最高出力は40psで、前後ホイールトラベルは280mm/300mm(CL400は115/100mm)。

初代CL250と最新型CL250の共通点

現行ホンダ CL250に乗る筆者。

こう振り返ってみると、ホンダ歴代CLの素性と乗り味に一貫性はなかったのである。
そしてクルーザーのレブル250/レブル500をベースとする最新のCL250/CL500は、初代CL250/CL350と同様にベース車からフレームを転用しているのだが、足まわりや外装一式、シートレール、ライディングポジション関連部品、吸排気系など、数多くのパーツを専用設計している点はCL72に通じるところがある。ただし、歴代CLの中で最も重いCL250:172kg、CL500:192kgの装備重量、歴代CLの中で最も低いCL250:165mm、CL500:155mmの最低地上高を考えると、悪路走破性にかける意気込みは歴代CLの中で最も低い。

とはいえ、最新のCL250/CL500にとって、悪路走破性はそんなに重要な課題ではなかったのだろう。それよりもこのモデルの開発陣が重視したのは、いろいろなライダーがあらゆる用途に気軽に使えることなのだ。ちなみに、過去にレブル250/レブル500で何度かロングツーリングを経験して、良好な足着き性に感心しつつも、守備範囲の狭さと心身の疲労の多さに落胆した僕は、CL250/CL500にベーシックなオールラウンダーという印象を抱いた。

もちろん、ベーシックなオールラウンダーを作るなら、スクランブラーでなくてもよかったのかもしれない。でもスクランブラーらしさを強調するパーツ、19インチの前輪は絶妙な安定感と軽快感、悪路を意識したライポジ関連部品は親しみやすさや解放感、アップマフラーは個性的なスタイルの確立に貢献しているのだ。そう考えると最新のCL250/CL500に対して「あんなのCLじゃない」「クルーザーがベースのスクランブラーっておかしくない?」などと異論を述べるのは、野暮なことだと思う。

現行型ホンダ CL250(2023〜)

■キャスター角27°/トレール108mm/ホイールベース1485mmという現行CL250の車体寸法は、歴代CLの基準で考えるとかなりの安定志向。CL72はキャスター角26°/トレール80mm/ホイールベース1330mm、初代CL250はキャスター角27°/トレール95mm/ホイールベース1320mm、CL400はキャスター角28°10′/トレール127mm/ホイールベース1410mmだった。水冷単気筒エンジンの最高出力はCL72と同じ24ps。価格は62万1500円。

現行型ホンダ CL500(2023〜)

■キャスター角/トレール/ホイールベースはCL250と同じだが、CL500の車重はCL250+20kgの192kgで、最低地上高はCL250より10mm低い155mm。471ccの水冷並列2気筒エンジンは46psを発揮。なお、歴代CLシリーズとしては1970年国内発売のCL450(444cc空冷並列2気筒)を抜き、最大排気量のモデルとなる。価格は86万3500円。

レポート●中村友彦 写真●山内潤也/ホンダ/渡辺昌彦 編集●上野茂岐

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