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【日本独占レポート アーチKRGT-1試乗】キアヌ・リーブスが作ったバイクは凄まじいスポーツクルーザーだった

ハリウッド俳優とカスタムバイクビルダーのコンビが興した新進気鋭メーカーARCH(アーチ)の中心的モデルが「KRGT-1」である。2020年型はさまざまな部分に改良が加えられ、さらなる進化を遂げた。
完全受注生産、手作業による製造、2032ccの大排気量Vツイン、8万5000ドルという超プレミアムな価格設定と、何から何までケタ外れなこの高性能クルーザーは、いったいどんな走りを見せるのか? 20項目にわたる大幅改良を施され、150点におよぶ新設計パーツが組み込まれた新型KRGT-1を試すべく、取材班は米国西海岸へと飛んだ。

筆者のイギリス人ジャーナリスト、アダム・チャイルドから届いた動画。全編英語ですが、字幕をONに、自動翻訳を「日本語」にすると、簡易翻訳の日本語字幕が出ます。

全身アルミの工芸品ともいえるアーチ KRGT-1

試乗直前に緊張するなど通常ありえない。だが今回ばかりはちょっと無理。こいつはほかの量産車とはまったく違う。90日間をかけて手作業で組み立てられる、販売価格8万5000ドル【訳註:約940万円】のオーダーメイド&ハンドメイドマシンである。
2020年型として著しい進化を遂げた、このKRGT-1を最初に試すメンバーに選ばれたうえ、試乗には共同創業者兼共同開発者のガード・ホリンジャーとキアヌ・リーブスが途中から合流し、われわれを見守るとなればもう、緊張はいやがうえにも高まるというもの。
それだけじゃない。リヤの大径カーボンホイールに履く240サイズのミシュラン・コマンダー2が蹴り出すのは、チューンされた2032ccのS&S社製Vツインエンジンの馬鹿力。異質なマシンなのだ。

「KRGT-1」にまたがるキアヌ・リーブス。左は筆者

2020年型へのモデルチェンジの内容はユーロ4規制に対応させるために再設計を余儀なくされたもの(リヤのフェンダーなど)のほか、多岐にわたる。
ハンドリングの向上を狙ったもの、性能の向上を図るためのもの、美観を高めるためのもの。中にはその3つを両立させるものもある。思わず見とれてしまうほどの造形美を兼ね備えた、5スポークのカーボンホイールもそうだ。「レーシングマシンから受けたインスピレーション」を具現化するためにアルミ切削品となったスイングアームも、結果として高剛性化と軽量化を同時に達成している。

新設計となった燃料タンクはアルミ切削品(誤記ではない、正真正銘のアルミニウム削り出し品)という非常に独創的なもので、テールセクションも同じく切削品に変わった。そのほかにもシート、サスペンション、ABSなどなど、変更点は枚挙にいとまがない。
車体はアルミ切削パーツのテンコ盛り状態。1台を生産するのに、およそ550kgものアルミ材が使われるという。自社工場でマシニング切削加工されたサイドプレートや、6ポットのISR製モノブロックキャリパーがしがみつくフォークボトムなど、それぞれを愛でたくなるような美しさ。
注文仕立てのシートから、左右のマグラ製レバーにいたるまで、随所に見られる細部へのこだわりと精密さは、ほとんどロレックス級である。そして何から何までが自社工場のCNC工作機械によって加工されており、中には機械加工だけで15時間以上が注ぎ込まれたパーツもある。
それらを実現させたクラフツマンシップに、ただただ圧倒される。

アーチの市販モデル「KRGT-1」の最新モデル(2020年型)

とっぷり日が暮れるまでデザインや品質について語り続けることもできるが、バイクは芸術性を味わうためだけの工芸品ではない。
スターターボタンを押すと、一発で2032ccの空冷Vツインが覚醒し、ヨシムラと共同開発されたオーダーメイド方式のフルエキゾーストが咆哮する。アクセルをひねるたび、ダッシュボードが震えおののく。快適なシートに体を預け、左右のバーエンドミラーを調整、前方に位置するシフトペダルを操作して恐ろしく滑らかなギヤを1速に入れる。
駐車場を出てすぐ、オーリンズサスに支えられたシャシーの硬さに気づく。クルーザーのものとしては剛性が高く、スポーツ寄りに振られている。オーリンズはKRGT-1の開発に大きく関わっており、このバイクの大部分と同様、フロントフォークもリヤショックもアリモノの汎用製品ではない。乗り心地は硬すぎず、角が立っているわけでもなく、シートの感触も優しい。それにもかかわらず、リヤの沈み込みがないのは驚くべきことだ。

ここはセレブやスーパーカーのひしめくロサンゼルスの街だというのに、交差点に差し掛かるたびにアーチは注目の的だ。ヨシムラ製2in1エキゾーストの咆哮にはカリスマ的魅力があり、K&N製エアフィルターはスロットルを大きく開くたびに吸気音を轟かせる。スロットル全閉時のポッピング音を含め、このマシンの歌声は特徴的で、ソウルフルでありながら高圧的ではない。これならご近所さんを叩き起こすことなく家を出ることができるだろう。
市街地を走っていて感心したのは、予想を覆すS&S製ギヤボックスのスムーズさだ。農業機械のような往年のアメリカ製変速機とは隔世の感がある。クラッチは従来型KRGT-1に比べて軽く、扱いやすい。バーエンドミラーはじゅうぶんな後方視界を確保しており、熱い排気管とライダーとを遮る2枚のヒートシールドも効果的だ。

アルミ削り出しの燃料タンクは容量19L。1個製造するのに必要な作業時間は50時間になるという
最新の2020年型からはデジタル液晶メーターに変更された。それでいてレトロな味わいもある
レバーは左右ともマグラ製で、各1000ドル(約11万円)
軽量化と高剛性化を両立するアルミ切削仕上げのスイングアーム。ホイールは前後ともBST社製のカーボンホイールを採用
アーチ KRGT-1の2032ccOHV空冷V土んが咆哮をあげる!

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