バイクライフ

高速・ワインディングでミドルVツインスポーツを惜別試乗!【スズキSV650】1DAYインプレッション・後編

2025年秋に、生産終了がアナウンスされたSV650。スズキのミドルVツインスポーツがひとまずの終焉を迎えたわけだが、それを機に最後にその魅力を確認してみることに。程よいパワーと買い求めやすい価格が魅力的に映るSV650を、仮想オーナーとして試乗するインプレッションの後編をお届けしよう。

十二分な高速での動力性能と、まあまあキツい風圧

高速に上がる。トップ6速の100km/hで約4500rpm、120km/hで5500rpmと回転上昇していくエンジンは、それ以上もストレスなく回り、最高出力の72psを発生するのは8500rpm。低いギヤで試すと8000rpmを超えてもストレス回っていき、理論上は180km/h超の速度まで出るはずだが、無論のことネイキッドモデルではその速度域での巡航はキツい。もしSV650のオーナーとなったら、メーターバイザーを後付けするだろうが、日本の高速道路上では巡航も追い越し加速でも、十二分の性能だ。

高速域でのSV650は、風圧を別にすれば直進安定性はまずまず。路面の継ぎ目の凹凸もソツなく通過するが、サスペンションの作動は上質とは言えない。硬いというのでもないものの、もう少し上手い減衰の効き方があるだろうと感じる。だが、それは最新のサスペンションを装備した後発のモデル群が進化しているからだろう。

SV650最終モデル

ワインディングを攻めつつ、Vツインの生きの良さを堪能

ワインディングに入る。刺激がありつつ十二分なパワーを持つVツインは、このステージでも楽しい。適度にストロークがあり節度もあるシフトは操作しやすく、2~4速を駆使しつつクリアしていく低中速ワインディングは、SVの得意なステージだ。

SV650最終モデル

このエンジンは昨今主流の並列2気筒270度クランクと同じ不等間隔爆発で、両エンジンには共通ないし似た鼓動感、トラクション(路面を蹴る駆動力)があるはずだが、何かが違う。フィルター(エンジンの場合はバランサーがそれに該当?)が挟まれないパワーの流れというか、低回転から高回転域にかけて、スロットル操作に対するエンジンレスポンスが、歯切れよく直接的なのだ。

これをストレスなく味わうと、かなりアウトローな走りになってしまうが、ミドルクラスのVツインなら、その下の速度レンジでも十分オイシイ部分が垣間見られる。SV650の魅力はその「程よさ」であり、それが手頃なコストパフォーマンスで味わえることにある。

オーソドックスなアキシャル(横置き)マウントのフロントブレーキキャリパーはほどほどの制動力で、リヤブレーキは引きずり操作も含めてコントロール性は良好。スポーツランをスポイルするような挙動はない。だが、コーナリング時の切り返しは最新のネイキッドならもっと軽快なモデルはあるだろう。

SV650は基本的に素直な切り返しの反面、ライダーが前輪荷重を高めて入力しつつ介入するほうが寝かせやすい印象がある。その原因は「低い着座位置じゃないか」と感じたのはワインディングを走行途中で、以前ホンダCB1000Fで低い標準シートと、高めのコンフォートシートの両方を比較したときの記憶が蘇った。

オーソドックスな高さと絞り角を持つバーハンドル。14L容量のスチール製燃料タンクは、スリムなニーグリップ部の絞り込み形状でホールド感も良好
コンパクトな異型一体型液晶メーター。上部にバーグラフ式回転計、中央にデジタルで速度を表示。ほかにギヤ段数、燃料残量、時計、切り替え式でオド&2トリップ、平均燃費と瞬間燃費などを表示。燃料残量警告は、残量約4.2Lと約1.7Lの2段階で知らせてくれる親切な設定
電子制御でのライダー支援機構が少ない分、スイッチ系はシンプル。左グリップ側にパッシング、ヘッドライトディマー、ハザード、ウインカー、ホーンの各操作スイッチを配置
右グリップ側はセルボタンとキルスイッチのみ。なお、ブレーキには手の大きさに合わせたレバー位置調整を装備

仮想オーナーの脳内を駆け巡る、シートとサスの改良メニュー

SV650のシートは前側の着座部をけっこうえぐった形状でシート高は785mm。そのため良好な足着き性で取っつきやすい反面、倒し込みを軽く滑らかにするには、もう少し高い位置に座ったほうが良いように感じる。筆者は以前GSX-8TTでも同じコースを走ったが(8TTのシート高は810mm)、切り返しは8TTのほうが軽快な印象なのだ。ちなみにSVのキャスター角は25°でトレール量は106mm。8TTはキャスター角25°で、トレール量は104mm。けっこう近似値だ。それゆえ、この夢想はそんなに間違っていないのではないかと感じた。

また走行時にもうひとつ感じたのが、シートと尻の接点のことだ。都内を出て2時間程度走ると尻の左右にわずかな痺れを感じ、間もなく休憩を挟んだ。旋回性の向上と尻の違和感が頭に同時浮上し、「シートはカスタムしてアンコ増し、もしくは市販のゲルシートをシートに被せて様子を見るか?」と脳内で検討が始まった。

さらに、再び走り出して感じたのは、サスペンションの作動性で、路面の荒れた凹凸通過時など吸収したサスの戻る挙動がダイレクトに出やすい。高速などでは適度な追従性だから、硬いのとも違うが、減衰調整が可能なリプレースサスに換装すれば、格段によくなりそうだ。ネットで調べるとオーリンズ、ナイトロン、ハイパープロ、YSSetc.名の知れたメーカーのサスが現れて誘惑する。

フロントフォークはインナーチューブ径41mmの正立タイプで無調整式。ブレーキは290mm径ダブルディスクにトキコ製対向4ポットキャリパーの組合せ。高性能な印象はないが、公道では不足ない制動力を確保
2022年の排出ガス規制対応でマフラー内の触媒の見直し、エンジン制御モジュールの設定変更を実施。最高出力は72psにダウンするも大きな特性の変化はない。タイヤはダンロップのロードスマート3、ブレーキは240mm径シングルに片押し1ピストンキャリパーの組合せで操作性は不満なし
クイックシフターなどが装備されないオーソドックスなシフトレバー。変速ストロークはほどほどにありつつ、節度感は良好
本文でも触れたが、前後一体タイプのシートは肉厚が薄めなためか200km程度の走行で尻の痺れを感じ始める。アンコを増すか、ゲルシートを組み込んで快適性を上げ、座面も少し高めたい
アクセスしやすいシート裏は、書類と簡易工具が収まる意外に空間はほぼないが、ETC車載器は収納できそう。ちなみに、シート裏には荷掛けフック用ベルトが格納されているが、位置的にも材質的にもあまり使い勝手はよくない

ついでにリヤサスを交換したSVオーナーのレビューを見ると、ノーマルサスの大雑把、よく言えば大らかな動きから「別物になる」「動きがスムーズ」「低速域から減衰力がしっかり立ち上がる」と好感触の声が並ぶ。リプレースショックの価格は10万円弱から20万円代までさまざまだが、「SVのエンジンを車体をより生き生き味わえるのなら、惜しくないか」と、またも脳内検討。

……などと改良プランが脳内で始まってしまうのも、元々ミドルクラスが好み、有り余らない程度だが大型二輪ならではの加速感やパワーを日常で味わいたいという欲求に、SVはかなりマッチしているからだ。そして生産終了になったとは言え、店頭在庫の新車ほか状態のよい中古がけっこうある現状で、SVはかなり現実的に(懐的に?)オーナーになり得やすいモデルだからというのもある。

無論のこと、進化して登場するSV-7GXも試してみたいが、筆者と同様なバイクの嗜好がある向きにとって、SV650はおあつらえむきの相棒候補だと思う。

ちなみに、一般道から高速、ワインディングを含めた約250km走行での燃費は26.9km/L。その以前に通勤含めた一般道メインの走行で給油した際の燃費は23.4km/L。燃料残量警告灯は、走行状況次第だが概ね230~270km程度の走行で1回目の点滅が始まるから、特別不満のない航続距離を確保していると言えるだろう。

SV650最終モデル:パールマットシャドーグリーン/マットブラックメタリックNo.2
SV650最終モデル:パールビガーブルー/マットブラックメタリックNo.2
SV650最終モデル:マットブラックメタリックNo.2

【SV650 ABS主要諸元】※最終モデル(生産終了)

■エンジン 水冷4ストローク90度V型2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク81.0×62.6mm 総排気量645cc 圧縮比11.2 燃料供給装置:フューエルインジェクション 点火方式フルトランジスタ 始動方式セル
■性能 最高出力53kW(72ps)/8500rpm 最大トルク63Nm(6.4kgm)/6800rpm 燃費24.4km/L(WMTCモード値)
■変速機 6段リターン 変速比1速2.461 2速1.777 3速1.380 4速1.125 5速0.961 6速0.851 一次減速比2.088 二次減速比3.066
■寸法・重量 全長2140 全幅760 全高1090 軸距1450 シート高785(各mm) キャスター25° トレール106mm  タイヤF120/70ZR17M/C(58W) R160/60ZR17M/C(69W) 車両重量199kg
■容量 燃料タンク14L エンジンオイル3.0L
■車体色 パールビガーブルー/マットブラックメタリックNo.2、パールマットシャドーグリーン/マットブラックメタリックNo.2、マットブラックメタリックNo.2
■価格 83万6000円※(生産終了モデル)

SV650最終モデル

レポート●モーサイ編集部・阪本一史  写真●モーサイ編集部、スズキ

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