バイクライフ

「たかが握り方」で激変する!愛車が思い通りに動くライディングの極意

「ハンドルの握り方なんて、人それぞれ違って当たり前だし、何でもいいんじゃないの?」

そう思われる方も多いかもしれません。確かに、バイクの操作においてアクセルワークやブレーキング、体重移動などに比べると、ハンドルの「握り方」そのものが注目される機会は少ないと言えます。

しかし、断言します。

「たかが握り方、されど握り方」です。このわずかな意識の違いだけで、あなたのライディングは驚くほど大きく、そして劇的に変わるのです――

「握り方」1つで操作性が上がる

こんにちは!現役二輪指導員として日々教習現場に立ち、YouTubeチャンネル『VREAST(ブレスト)』で“バイクの楽しさ”を発信している「ばく」です。

もしあなたが「バイクが思うように曲がってくれない」「長距離を走ると妙に肩や腕が凝る」「低速でのバランス取りが苦手」と感じているなら、その原因は技術不足ではなく、単にハンドルとの接触点である「手」にあるのかもしれません。

YouTubeチャンネル『VREAST(ブレスト)』 左:はな 右:ばく

今回は、無駄な力を抜き、バイク本来の性能を引き出すためのの極意をお伝えします。

1. 腕と手首を自由にする「指の選択」

初めての道や、教習所での緊張するシーンを思い浮かべてみてください。転倒への不安や緊張から、ついついハンドルを「ギュッ」と力任せに握りしめてはいないでしょうか。

実は、強く握ろうとすればするほど、多くの人が無意識のうちに「人差し指と親指」の2本に力を込めてしまっています。

一度、実験してみてください。人差し指と親指にギュッと力を入れて握ると、手首から肘にかけての「腕の内側の筋肉」がカチカチに張るのが分かるはずです。

人間の身体は、この2本の指に力が入ると、腕全体や肩が固定されてしまいます。その結果、肩に力が入り、手首の自由が奪われ、「腕の柔軟性」が完全にロックされてしまうのです。これでは、バイクが曲がろうとする自然な動きを人間が邪魔することになってしまいます。

そこで、今日から意識をガラリと変えてみましょう。

ハンドルは「小指と薬指」を中心に握りましょう。

嘘のようですが、小指と薬指を意識してハンドルに添えると、不思議なほど腕の内側の余計な筋緊張がフッと緩み、肩の力がストンと抜けます。それでいて、ハンドルが手の中から滑り落ちるような不安感はなく、軽い力なのに吸い付くようにホールドされる感覚が得られるはずです。

包丁を使う時、ゴルフやテニス、野球のバットはどの指で握っていますか?

2. 武道に学ぶ「手の内」を決める角度

僕は「居合道」という武道をやっているのですが、居合では、刀の柄(グリップ)を握る状態を「手の内(てのうち)」と呼び、極めて重要視します。この手の内がカチッと決まるからこそ、重い刀を、より力強く、しなやかにそして素早く振ることができるのです。

一方で、武道において刀の柄に対して真横から90°に真っ直ぐ握ってしまう持ち方を、敬意を欠いた表現として「ク◯握り」と呼ぶことがあります。この握り方をしてしまうと、前述したように腕の筋肉が突っ張り、可動域が狭まって刀の振りも格段に遅くなってしまいます。

これは、バイクのグリップでも全く同じことが言えます。では、あなたにとって最適な「手の内」はどこにあるのでしょうか。

握り方で上半身の無駄な力が抜ける

簡単な見つけ方があります。

まず、目の前で力を抜いて、軽く「グー」を作ってみてください。

その拳をじっくり観察すると、人差し指側の穴の中央と、小指側の穴の中央を結ぶラインが、真横に真っ直ぐではなく、少し「斜め」に傾いていることに気づくはずです。

その、あなたの手が自然に作り出す「斜めの角度」のまま、グリップをスッと滑り込ませるように嵌めてみてください。

それこそが、解剖学的にあなたの骨格に一番しっくりと馴染む、オーダーメイドの握り角度です。グリップに対して少し斜めから包み込むように手を添えることで、力が抜け無理無駄なく驚くほど軽い力でハンドルを安定させることが可能になります。

あなたの手に合わせた角度を見つけよう

3.腕力に頼らない!「骨」で支えるセルフステア

バイクは車体を傾ければ、傾いた方向へ自然とハンドルが切れていく「セルフステア」という特性があります。

しかし、手首が上がってしまい、手のひらがグリップの上に乗るような形になると、このセルフステアの動きを自分の「腕力」で無理やり抑え込む形となり、逆に腕力で無理にハンドルをこじ開けたりしなければならなくなります。これではバイク本来の素直な旋回性能を発揮できません。

そこで意識していただきたいのが、手のひらの小指側にある膨らみ、通称「小指球」です。

ハンドルを腕力で引っ張ったり押し込んだりするのではなく、この「小指球」をグリップに当て、ハンドルの切れを「骨」で支えるようなイメージを持ちます。

セルフステアによって自然と切れてくるハンドルを、この小指球でそっと「受け止める」ようにコントロールしてみてください。これだけで、旋回中にハンドルが切れ込む度合いを、ほんのわずかな、まるで指先一つで操作しているかのような軽い力で、自由自在に調整できるようになります。

筋肉ではなく身体を構造で支える

結論:バイクはもっと、あなたの思い通りに動いてくれる

ハンドルは、腕力で力任せに「切る」ものではありません。

バイクが本来持っている「自然に曲がろうとする力」を邪魔せず、人間が優しく、適切にナビゲートしてあげるもの。そのためには、筋肉を硬直させる持ち方ではなく、「身体本来の機能が自然と活きる持ち方」をしてあげるだけで十分なのです。

• 小指と薬指で、優しく包む。

• 手のひらの自然な傾き(手の内)を合わせる。

• 小指球で、車体の動きを支える。

この3つのポイントを意識するだけで、あなたのライディングの操作性は飛躍的に向上します。まるでバイクとダイレクトに会話をしているかのような一体感を味わえるはずです。

「たかが握り方」を変えるだけで、愛車はあなたの意図を汲み取り、驚くほど素直に、思い通りに動いてくれるようになります。

ぜひ、次回のツーリングや練習の際に試してみてください。無駄な力が抜けたその先にある、バイクを操る本当の喜びと、どこまでも自由で快適なバイクライフを心から楽しんでいきましょう!

バイクを操る喜びと自由なバイクライフを。

以上、現役二輪指導員YouTuber『VREAST(ブレスト)』の「ばく」でした!

文●ばく

【参考動画】

ばく
ばく

二輪指導員歴19年。現在も教習所でライダーのタマゴたちを育て、日々の教習で自身も学びながら生徒たちと共に成長を楽しんでいます。
YouTubeでは相棒はなちゃんとVREAST(ブレスト)というチャンネルで、“教習所課題でわかるバイクの本質”をテーマにバイクのインプレッションやツーリングやメンテナンスで“バイクの楽しさ”を伝えています。
愛車はKAWASAKI900super4 Z1・F.B Mondeal SMX125・HONDA TLM200
YouTube:@VREAST

X:@VREASTbaku

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