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『CB1000F コンセプト』はCB1000ホーネットのエンジン、フレームを活用か
ホンダが大阪モーターサイクルショー2025で世界初公開した『CB1000F コンセプト』は、ホンダのロードスポーツバイクを象徴する「CBブランド」の、新たな基幹モデルをイメージさせるコンセプトモデルだ。ホンダによると、そのテーマは「進化するスポーツバイクの基準」を具現化したものであると言う。
エンジンは水冷DOHC直列4気筒で、これを剛性としなやかさを高次元でバランスさせたダイヤモンドフレームに搭載──とも説明があるが、エンジンやフレームの外観から察するにそのベースとなっているのはCB1000ホーネットだ。そこから考えると、乗り味は扱いやすいベーシックなものとなっていることだろう。
しかも、ライディングポジションなどはCB1000ホーネットよりも、ややアップライトなものになっているようだ(実際に車両に触れた編集スタッフ談)。そもそもCB1000ホーネット自体が、ストリートファイター系ネイキッドにしてはあまり前傾がキツくないので、この『CB1000F コンセプト』はより普遍的で親和性の高いネイキッドモデルを目指したものと予想できる。


『CB1000F コンセプト』とCB1000ホーネットを比べてみる



『CB1000F コンセプト』デザインのモチーフは明らかにCB900F/CB750F
肝心の、と言うよりも、このモデル最大の特徴であるのはスタイリングと言ってもいいはずだ。ホンダは「“CBの物語”を想起させるスタイリングで、所有する誇りを感じられる存在であることを目指した」としているが、このスタイリングのモチーフは1980年代初頭の大ヒットモデルCB900F/CB750Fであることは明らか、カラーリングはその北米仕様を範としている。
さらに詳しく言えば、1980〜1982年にAMAスーパーバイクで活躍した「CB750F」、特に動力性能では約150psとスーパーバイクで最強を誇った1982年型がそのイメージに源流であり、古いファンにはお馴染みの、当時天才ライダーと注目されたフレディ・スペンサーが乗ったマシンを想起させるものだ。
そのAMAスーパーバイクでは、ホンダ CB750F、カワサキ Z1000、そしてヨシムラスズキ GS1000が3シーズンに渡って三つ巴の戦いを繰り広げ、そこでは様々な伝説的なレースが展開された。今から約40年前に起きたこの大排気量4ストローク4気筒の躍進こそは、現在に続く4気筒エンジンに対する根強い人気の原風景なのだ。



最新のスポーツ車を骨格としながらも、各部の「再現度」が高い
そう考えるとこの『CB1000F コンセプト』の市販版がもしも登場すれば、現在の大型4気筒ネイキッドバイクカテゴリーで人気のカワサキ Z900RS、あるいはスズキのKATANAと真っ向からぶつかることになるだろう。いずれも70年代〜80年代に各ブランドのルーツとなったモデルのスタイリングイメージによって、現代のメカニズムをパッケージングしたものである。
これまで、このクラスではモダンなパッケージングのCB1000Rしか持たなかったホンダにとって、この『CB1000F コンセプト』が現実ものとなれば、カワサキやスズキのライバルモデルにストレートに対抗できることになる。これは4気筒ネイキッドに関心のあるホンダファン、CBファンにとっても、待ち望んでいた未来形と言ってもいいだろう。
そういう点では、ホンダもついに大型ファンバイクで過去のイメージ財産に手を出したのかとも感じるかも知れないが、ユーザーにとっての新しい歓びになるのなら、それもありなのかと思う。と言うのは、思いの外その仕上がりが良いのである。
例えば、後方にやや跳ね上がる形状の集合マフラー(もちろんスーパーバイクイメージ)は、容量を確保しながら可能な限りコンパクトなサイズに抑えられているし、手前がやや角張った燃料タンクからサイドカバー、テールカウルにかけての造形は流麗であり、おおよそデザイン的なまとまりも良い。




CB1000ホーネットという現代のモデルの車体パッケージをベースにする難しさはあっただろう。だが、40数年前のCB900F/CB750Fのスタイリングイメージとしての再現性はかなり高く、この点からもカワサキ Z900RSと同等か、それ以上の存在感や商品性を実現しているようにも感じる。
筆者が個人的に気に入ったのは、オリジナルのCB900F/CB750Fはリヤサスペンションが2本ショックであるのに対し、この『CB1000F コンセプト』では現代のモノショックであるが、タンデムステップのマウントがちょうど2本ショックのように見える構成となっている点だ。これは作り手が意識したに違いないだろうが、これが有ると無いのとではイメージが大きく異なるはずだ。
同時に、車体をつぶさに観察すると、各部の仕上がりは量産性を意識した緻密さを備えており、あるいは近い将来にこのモデルが登場するのではないかという妄想に駆られるほどレベルの高い仕上がりを見せているのだ。
こうして原稿を書いていても、『CB1000F コンセプト』には「早く乗ってみたい」と思わせる何かがある。今こそホンダファン、CBファンは「早く出して欲しい」と声を大にした方がいい。

レポート●関谷守正 写真●山内潤也/ホンダ 編集●上野茂岐





































