ツーリング

【首都圏から気軽に行ける秘境、千葉の素掘りトンネル】バイクだから味わえる冒険気分

房総半島の意外な魅力「素掘りトンネル」

東京から小一時間で行けるのに意外と秘境感あふれる千葉・房総半島。ここには味わい深い素掘りのトンネルが多数存在する。そんな異次元空間を求めて、半日だけショートツーリングに出発だ。

房総半島は首都圏から行きやすく、海あり山ありでツーリングに最適だ。そんな房総半島には素掘りのトンネルが点在している。素掘りトンネルはちょっと狭い。そこに自在に入っていけるバイクは、トンネル巡りにぴったりの乗り物なのだ。

さて、今回は素掘りトンネルが集中する市原市の月崎エリアへ向かった。まずは小手調べに、アクセス抜群の永昌寺トンネルへ。月崎駅からほど近い県道172号沿いに、ひっそりと口を開けている。将棋の駒のような五角形は観音掘りといい、上からの力をうまく分散させるらしい。きれいな五角形に、掘った人の職人的こだわりが感じられた。

アクセス抜群の「永昌寺トンネル」。1898年竣工と言われ、将棋の駒のような五角形が特徴的。県道に面しており、初心者(!?)向け

昌永寺トンネルを抜けると、舗装林道が現れる。この林道、途中に民家や畑があるし、クルマも多少通行しているようだが、木々や竹が倒れかかり、路面は落ち葉や落石が散らばっている。それでもバイクならちょっと注意すれば難なく通れるだろう。北上すると、曲線で構成された広がり感のある柿木台第二トンネル、そして観音掘りの第一トンネルが出現。一本の道で多彩なトンネルが味わえた。

天井の無いトンネル、2階建てのトンネル

月崎エリアには、もう1ヵ所、有名なトンネルがある。それが月崎トンネル。トンネルの中程で天井が抜けている、不思議トンネルだ。うっそうとした森の中に取り残された神殿的雰囲気さえ漂っていた。この林道、奥まで進むと行き止まり。果たして何のためにトンネルを掘ったのか。想像を膨らませたり、歴史を調べたりするのも楽しい。

曲線美に見とれちゃう「柿木台第二トンネル」。きれいな曲線で構成された美しいトンネル。掘った人の芸術的センスを感じる
五角形の観音掘り「柿木台第一トンネル」。1899年に竣工(推定)。昌永寺トンネルと同じ観音掘り。少し崩れかけた入り口が個性的
秘境感あふれる「月崎トンネル」。トンネル中央部の天井がない。最初から一部の天井がなかったのか、崩落してしまったのかは謎ではあるが、光が差し込む様子は非常に神秘的

月崎エリアから南下し、養老エリアへ。ここで有名なのは2階建てのトンネルだが、その先にこそ、秘境感に満ちたトンネルが待ち構えている。塚越隧道の手前にある分岐を左に行くと塚越林道。それっを上っていくと現れるのが、インターネットなどでは「小田代素掘りトンネル」と言われている場所だ。

塚越林道側は、軽自動車なら入れそうな細長い入り口。内部は地層の文様がむきだしの荒々しい印象。恐竜の化石のような迫力だ。そして反対側は、ぐにゃりと曲がった地層が魔境的。まさに異空間への入り口といった面構えに、しばし見とれてしまう。それぞれに異なる表情を持つ房総の素掘りトンネルだが、これほどに異様なものも珍しい。いったい誰が掘ったのか。ロマンあふれる素掘りトンネルだ。

2階建てで有名な「共栄・向山トンネル」。新旧2つのトンネルが2階建てになっている。かつては上の穴を使っていたが、昭和40年代に利便性向上のため道路を深く掘って新しい出口を作ったのだとか
魔境への入り口か!? と思わせる「小田代の素掘りトンネル」。塚越林道の途中にある迫力満点のトンネル。地層の荒々しさが一種異様な雰囲気を漂わせる
「小田代の素掘りトンネル」。周辺の塚越林道、および周辺の道は状態があまり良くないので、走行には注意してほしい

今回は圏央道の木更津東ICを起点に、月崎エリア、養老エリアを巡ったわけだが、距離にして60km程度。寄り道しても半日コースだ。ちょっとしたショートツーリングにぴったりの房総半島。少しドキドキするような素掘りトンネル探訪、やってみると意外とはまってしまうかも?

レポート●太田力也 写真●岡 拓 編集●上野茂岐

編集部註:周辺の道路は天候などの影響で通行止めとなっている可能性もあります。また林道はマナーを守りつつ、不慣れな方は注意して走行してください。

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