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房総半島の意外な魅力「素掘りトンネル」
東京から小一時間で行けるのに意外と秘境感あふれる千葉・房総半島。ここには味わい深い素掘りのトンネルが多数存在する。そんな異次元空間を求めて、半日だけショートツーリングに出発だ。
房総半島は首都圏から行きやすく、海あり山ありでツーリングに最適だ。そんな房総半島には素掘りのトンネルが点在している。素掘りトンネルはちょっと狭い。そこに自在に入っていけるバイクは、トンネル巡りにぴったりの乗り物なのだ。
さて、今回は素掘りトンネルが集中する市原市の月崎エリアへ向かった。まずは小手調べに、アクセス抜群の永昌寺トンネルへ。月崎駅からほど近い県道172号沿いに、ひっそりと口を開けている。将棋の駒のような五角形は観音掘りといい、上からの力をうまく分散させるらしい。きれいな五角形に、掘った人の職人的こだわりが感じられた。
昌永寺トンネルを抜けると、舗装林道が現れる。この林道、途中に民家や畑があるし、クルマも多少通行しているようだが、木々や竹が倒れかかり、路面は落ち葉や落石が散らばっている。それでもバイクならちょっと注意すれば難なく通れるだろう。北上すると、曲線で構成された広がり感のある柿木台第二トンネル、そして観音掘りの第一トンネルが出現。一本の道で多彩なトンネルが味わえた。
天井の無いトンネル、2階建てのトンネル
月崎エリアには、もう1ヵ所、有名なトンネルがある。それが月崎トンネル。トンネルの中程で天井が抜けている、不思議トンネルだ。うっそうとした森の中に取り残された神殿的雰囲気さえ漂っていた。この林道、奥まで進むと行き止まり。果たして何のためにトンネルを掘ったのか。想像を膨らませたり、歴史を調べたりするのも楽しい。
月崎エリアから南下し、養老エリアへ。ここで有名なのは2階建てのトンネルだが、その先にこそ、秘境感に満ちたトンネルが待ち構えている。塚越隧道の手前にある分岐を左に行くと塚越林道。それっを上っていくと現れるのが、インターネットなどでは「小田代素掘りトンネル」と言われている場所だ。
塚越林道側は、軽自動車なら入れそうな細長い入り口。内部は地層の文様がむきだしの荒々しい印象。恐竜の化石のような迫力だ。そして反対側は、ぐにゃりと曲がった地層が魔境的。まさに異空間への入り口といった面構えに、しばし見とれてしまう。それぞれに異なる表情を持つ房総の素掘りトンネルだが、これほどに異様なものも珍しい。いったい誰が掘ったのか。ロマンあふれる素掘りトンネルだ。
今回は圏央道の木更津東ICを起点に、月崎エリア、養老エリアを巡ったわけだが、距離にして60km程度。寄り道しても半日コースだ。ちょっとしたショートツーリングにぴったりの房総半島。少しドキドキするような素掘りトンネル探訪、やってみると意外とはまってしまうかも?
レポート●太田力也 写真●岡 拓 編集●上野茂岐
編集部註:周辺の道路は天候などの影響で通行止めとなっている可能性もあります。また林道はマナーを守りつつ、不慣れな方は注意して走行してください。