高校生が思うバイクの必要性や使い方
2019年に三ない運動を撤廃し、原付・自動二輪車の安全運転講習を始めた埼玉県が、撤廃の判断を行う前(2017年)に県内の高校生にバイクに関するアンケート「埼玉県 高校生の原付・自動二輪車に関する意識調査」を実施。
今ドキの高校生が考えるバイク観の例として、その結果は以前も幾つか紹介したが(下記記事参照)、第二回目の今回は、バイクの必要性や安全教育などに関しどんな意識やイメージを持つかを紹介する。
バイクは必要な乗り物か?
アンケート結果によると「現時点」または「在学中」に必要という生徒は(合計すると)7%に留まっている。ただし、24%の生徒は「高校卒業後に必要」だと答えている。
このアンケートが実施されたのは、三ない運動が撤廃される前の検討委員会開催時(2017年)であるから、当然まだ当時バイクは禁止されていた。それでも、31%もの生徒がすでにバイクの必要性を感じていたという点は見過ごせない。
さらに、「現時点」または「在学中」に必要と答えた7%・122人にその理由を聞いて見ると、以下のような回答だった。
「生活の行動範囲が広がるから」という理由が最も多い。次いで「通学の負担軽減」「アルバイトや家業の手伝いでの活用」を理由としているが、広義ではこの2つの理由も「生活の行動範囲」に含まれるものだろう。
埼玉県は平地の面積が約61%を占めており全国的にも平地の多い内陸県だ。JR、東部鉄道、西武鉄道と鉄道路線網も整っているが、西部の山間地である秩父、北部、東部といったエリアでは、通学やアルバイトでの移動に不便を感じている生徒が一定数いるのは事実。
また、不便というのは、単純に目的地までの距離が遠いというだけでなく、公共交通機関を使ってしまうと移動に関する費用がかさむという点も考慮すべきだろう。
電車・バスが不便なエリアでは肯定派が半数
一部の生徒には「必要である」と認識されているバイクだが、当の高校生たちはバイクを利用することについてどう考えているのか、以下のグラフに表れている。
「利用すべきでない」「卒業後で十分」という否定的な意見は強い。しかし、先に挙げたような公共交通機関が不便なエリアでは(「電車・バスが不便な地域では通学に必要だ」という質問に対し)、「非常にそう思う」「ややそう思う」が全体の半数(合計51%)を占めており、その必要性が認識されているようだ。
さらに、「安全教育をきちんと受ければ利用すべきだ」という考えをする高校生もほぼ同率あり(「非常にそう思う」「ややそう思う」の合計47%)、「法律に沿って免許取得・利用してもよい」と考える層は約6割に達している。
この割合を見た限りでは、生徒らは安全教育に対する効果や価値を認めていることが感じられるし、法律に則った自主自律の精神を保持している可能性も示唆している。先生や親御さんが思う以上に、三ない運動下の高校生は冷静にバイクという移動手段を捉えているようだ。
※写真はイメージです。本文中の( )内は編集部注
※グラフ●埼玉県 高校生の原付・自動二輪車に関する意識調査集計結果【速報版】(2017)より
レポート&写真●田中淳麿 編集●平塚直樹