ヒストリー

【平成バイク大図鑑2】ゼファーに端を発するネイキッドモデルの台頭

模索から見えてきたバイクのあるべき姿

レプリカ人気の過熱ぶりは、一方で厭戦(えんせん)ムードを高めることにもなった。
ブームの限界を察知したメーカーは様々なスタイルを提唱するが、その中で意外な支持を得たのは、旧態依然とも言える内容を持つ1台のバイクだった。

report●三上勝久
 

"丸目2本サス"の台頭

1980年代後半は、バイク界にとって狂乱とも言える時代だった。
〝ナナハンキラー〟と呼ばれたヤマハRZ250の発売が80年。そのRZを打倒すべくホンダは、当時の4ストロークエンジン搭載モデルとしては驚異的とも言える35馬力をたたき出すVT240Fを発売。
このあたりから後のレプリカブームが始まっていき、89年頃に絶頂期を迎えるのだが、そんな時代の中にひっそりと生まれたバイクがある。
それがカワサキ・ゼファーだった。

●(左)KAWASAKI ZEPHYR、(中左)HONDA CB-1 TYPEⅡ、(中右)YAMAHA DIVERSION、(右)SUZUKI BANDIT400V


 

カワサキ自身も手探りだった?

●92年に開催されたイベントにおけるカワサキの試乗車で、ゼファーのほかにZXR400系の水冷エンジンを採用して92年に発売されたザンザス、ZXR250系のエンジンを採用して91年に発売されたバリオス、最近まで発売されていたエストレヤの姿が確認できる。カワサキも様々なタイプを提案していたことが分かる

世界初とかクラス初、史上最高パワーなどの言葉が躍る時代に、懐かしさすら覚えるシンプルな空冷4発2バルブエンジンを搭載したアップハンドルのゼファーは、しかし爆発的に受けた。
どのバイクもフルカウルとなり先鋭化していた時代だ。
250㏄でも60万円を超えた時代に、400㏄で52万9000円と廉価な価格設定だったことも喜んで受け入れられた理由のひとつ。

誰もが熱狂し踊り狂っていた時代に吹いたさわやかな「西風」(ゼファーの語源だ)がこのバイクだったのである。
ゼファーのスタイルそのものは、70年代にごく一般的だった「単車」そのものだった。
しかしフルカウル時代に新しく生まれたこともあって、結果的にカウルを持たないバイク=ネイキッド(裸)という新しいカテゴリーを造り上げることになったのである。

ゼファーのブレイクとともに、ホンダCB-1、スズキ バンディットシリーズ、ヤマハ XJR400などが同じカテゴリーで人気を集め、レプリカブームは徐々に終焉えんを迎えていく。
そして大型車にもこのトレンドは波及していき、ゼファー750/1100、ホンダCB1000スーパーフォア、ヤマハXJR1200と、ここでもネイキッドブームが築かれていく。

ただし、高性能を求めるのはやはりバイク乗りの性分で、本誌ゼロヨンGPで驚異的なタイムを叩き出したドクスダ(ドクター須田)・ファインチューン・ゼファーなどがきっかけとなって、ネイキッドバイク対象のレースが生まれるトレンドにもつながっていった。

2000年代に入ると特定のカテゴリーだけが人気を集める傾向は弱まっていくが、アップライトなポジションで楽に乗れ、幅広い用途に使えるネイキッドバイクはスタンダードな存在として愛され続ける。
00年代に入ってから生まれた、スーパースポーツをベースとするストリートファイタースタイルも、ネイキッドからの派生と言っていいだろう。

バイクの顔とも言えるエンジンの造形を楽しむことができ、カスタマイズも楽しめるネイキッドバイクは、これからもモーターサイクルのスタンダード、王道的な存在として人気を維持していくに違いない。

 

ブームは250㏄クラスにも波及

●400ccクラスや大排気量クラスのネイキッドのようには定着しなかったものの、脱レプリカ化の傾向は250ccクラスでも多く見られた。
ホンダは88年11月にイタリアンスタイルのVT250スパーダを発売。

ヤマハは90年に2ストネイキッドの最終モデルとなるR1-Z(上左)を投入。当時はこれもネイキッドとして区分された1台。改良を重ねて99年まで販売された

●R1-Z(左)


 


 

→次回:【平成バイク大図鑑3】ハッタリが効くのに乗りやすい 日本のお家芸ジャンルとなったビッグネイキッド

あわせて読みたいオススメ記事はこちら!

  1. 【わかる?】車検のある400ccクラスで発売からもう4年……だけど2024年まで『ベストセラー』を誇ったHondaのバイクってどれだと思う?

  2. 【え?空冷?】新型『CB1000F』を「予備知識ゼロ」でレビューすることになった→聞いてた話と違うじゃないか!?【Hondaの道は1日にしてならず/CB1000F ①第一印象 編】

  3. 【驚異の価格】新型EVスクーター『ICON e: (アイコンイー)』は26Lのシート下収納スペースありで充電もラク!【Honda2026新車ニュース】

  4. 徹底解説!レブル250の「Eクラッチ」が圧倒的に支持される「7つの理由」って? 【Honda E-Clutch/Rebel 250 S Edition編】

  5. 【質問】このバイクの車名ってわかる? Rebel 250(レブル250)じゃないよ!DAYTONA×Dope製のCL250向け『カスタム』です!

  6. ツーリング好きの私が年甲斐もなく『峠の走り』に夢中になってしまったバイクの話【Hondaの道は1日にしてならず/GB350 S インプレ・レビュー 前編】

  7. バイク歴18年のライダーはGB350 Cで初のMT車デビュー「これにしかない良さがあります」

  8. CRF1100L Africa Twin(アフリカツイン)が予想外のニューカラー!?新型モデルからは『MT』と『<S>』が無くなり『DCT』のみに!

  9. GB350はモトクロスの女王、川井麻央選手も絶賛「GBがいいヤツすぎて仲良くなりました」

  10. Honda純正オイル「Pro Honda」の上位グレード「SPORTS」と「PREMIUM SPORTS」はどこまで違う? Honda二輪車のエンジン開発にも使用されるハイグレードオイルは〇〇〇が全く別物です!

  11. 【新車】125ccスクーター『LEAD 125(リード125)』がニューカラー2色追加で新発売! シート下スペース約37Lでスマートキー&USBソケットも標準装備!

  12. 10年、20年後も色褪せない「控えめに言って最高」GB350 Cを全力で絶賛する理由

  13. GB350を手に入れて1年半。休日はバイク漬け。女性ライダーの語る愛車の魅力。「行動範囲を広げてくれる素晴らしい相棒」

  14. 大排気量ツアラー一筋だったベテランライダーがXL750 TRANSALPに乗って感じた自由と楽しさとは?

  15. のんびりツーリング最強の大型バイク『CL500』がアップグレード!新色にも注目です!

  16. 通勤・通学、二人乗りもOKの遊べる125cc『ダックス125』は初心者の人も安心!

  17. 50歳からライダーデビュー。エネルギッシュな女性ライダーが考える悔いのない人生

  18. 新型『NX400』ってバイク初心者向けなの? 生産終了した『400X』と比較して何が違う?

  19. 定年後のバイクライフをクロスカブ110で楽しむベテランライダー

  20. “HAWK 11(ホーク 11)と『芦ノ湖スカイライン』を駆け抜ける

アバター

モーサイ編集部

投稿者の記事一覧

1951年創刊のモーターサイクル専門誌。新車情報はもちろん、全国のツーリングライダーへ向けた旬な情報をお届けしています!

モーターサイクリストは毎月1日発売!