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【試乗速報 後編】ホンダ CBR1000RR-RファイアブレードSP日本仕様「回転数で3段階に炸裂するエンジン」

最高出力218馬力のファイアブレードは普通に乗れるのか?

新型CBR1000RR-Rファイアブレードで最もコストかけられているのは、新設計のエンジンである。レシプロ系のディメンションや動弁系を始め、随所にMotoGPマシンRC213Vの技術的ノウハウを投入、材料や部品加工などにも最新のものがおごられているからだ。
というわけで、それだけコストをかけたエンジンであるなら、パフォーマンスが高くて当然だと考える方もおいでだろう。しかし、実際は「想像以上」の仕上がりとなっていた。

前編に続き今回は一般道での試乗なので、出力モードを始めとした一連の制御は、おおよそすべてを中間レベルで設定しての試乗とした──簡単にいうとエンジンはフレキシブル&パワフルだ。

新設計された999cc水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒エンジン。最高出力218馬力/1万4500回転、最大トルク11.5kgm/1万2500回転の性能を発揮

アイドリングは1400回転を少し超えレベル。クラッチを握ってローギヤにシフトするとアイドリング回転が多少上がるアシスト機能が付いているようで、スロットルを開けなくてもスルスルと走り出す。トップギヤ3000回転で60km/hくらい。
このあたりまではエンジンはトロトロと滑らかに回り、いたって穏やかで扱いやすい。この点でも“走らせるだけなら”初心者でも問題ないだろう。

そこから4000回転手前くらいで排気バルブが開いて排気音が野太くなると、トルクが上乗せされたような力強い加速感に変化する。このあたりの回転域からエンジンはフレキシブルになって、どこから開けてもツキは良い。さらに開け続けると6000回転くらいからもう一段トルクを上乗せしたような感覚で、吹け上がりのスピードが速くなる。

アクラポヴィッチ社と共同開発したチタン製マフラーを標準装備(SP、スタンダードとも同様)。低回転時のトルク特性、高回転時の出力、排気音量のバランスをとるため、排気バルブが組み込まれている

この時点で、エンジンは相当トルクフルな感じになり、「パワーバンドに入った」と言える。なかなかワイドなエンジン特性と言ってもいいだろう。
そして、ここからスロットルを大きく開ければ、凄まじいパワーを炸裂させながらエンジン回転は1万回転を一気に超えていく(普通なら、回転数を確認するような余裕はないだろう)。
この加速感とパワー感は、6速トップギヤに入れずともとんでもない速度域に到達するはずであり、1000ccスーパースポーツの中でもトップレベルだと思われる。

メーターは5インチのフルカラー液晶。写真の回転計がアナログ式の表示モードのほか、バーグラフ式回転計モード、回転計非表示モードなど、表示モードを切り替え可能

また、ウィリー制御やトラクションコントロールが効いている場合は、スロットルをラフに開けてもマシンの挙動が大きく乱れることはないので、乱暴に言ってしまえば、ストレートで開けるだけなら初心者でも容易にワイドオープンが可能だ。
しかし、極めて出来の良い車体もあって、気がついたら後戻りできないスピードレンジに突入しかねないので、やはり繊細かつ丁寧にスロットル操作をしたいところだ。

その他に気がついた点は、まず空力だろう。高速時のフル加速でフロントの接地感が頼りなくなることもないし、(なんとなくではあるが)前後のピッチングが抑制されているように感じるのは、やはりウィングレットの空力効果なのだろう。実際にある程度の速度域になると、コーナーリングの安定性や速さにも効果があると言うから、高速域での優れた車体安定性にも確実に貢献しているはずである。このあたりはステアリングダンパーの効果なのか、空力なのか、今後見極めをしたいところではある。

加速時のウイリー抑制とブレーキング時の安定感向上をねらい、ウイングレットを装備したカウリング。ウイングレットの採用は、国産スーパースポーツとしてはCBR1000RR-Rファイアブレードが初となる

前面投影面積を抑えたうえで、安全のため突起物とならないダクト状構造となっているウイングレット。内部には3枚のウイングが収められている

アンダーカウルも空力を重視した独特な形状。リヤタイヤのギリギリまでカウルを伸ばすことで、リアタイヤに当たる空気量を減少させ、空気抵抗を低減する効果があるという

サーキットを走らない人にもファイアブレードは価値があるか?

フロントブレーキの制動力も高い。高速域で強く制動するとリヤがリフトするような感覚になるほど。当然ながらブレーキ性能は高く、コントローラブル。もしかしたら、この性能が誰にでも一番分かりやすいかもしれない──さて、このファイヤーブレードSP仕様は約280万円と高額である(BMW の1000ccスーパースポーツ「S1000RR」のMパッケージ・DDC付とほぼ同じ)が、「その価値はあるか?」と問われれば即座に「ある」と答える。

このエンジンももちろんそうなのだが、前編で書いたように車体性能の素晴らしさは、そう簡単に手に入る物ではないからだ。
誰もが実体験できるとは言い切れないが、新型CBR1000RR-Rファイアブレードに秘められたポテンシャルの高さはスーパースポーツナンバーワンと言っても差し支えないはずだ。

CBR1000RR-RファイアブレードSP 足着き&ライディングポジション

ライディングポジションは相当にスパルタンな部類に入るだろう。そもそも低めのハンドルは、比較的広い角度に開いており、握りやすいがその分、前傾が強くなる。ポジションはレーサーライクであると思っていい。乗りこなすには背筋やクビの強化が必要(笑)。

ライダー側シートは薄く、平坦な形状。リヤシートはキー操作で開閉可能

シート高は830mm。足着き性は少々良くない。燃料タンクの幅が意外にあることと、太ももから下の車体幅があり、足の中間部分がやや膨らむ感じですんなり足が着かない。とはいえ、身長170cmのライダーで両足のカカトが少し浮く程度ではある。

ホンダCBR1000RR-RファイアブレードSP諸元

【エンジン・性能】種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク81.0mm×48.5mm 圧縮比:13.2 総排気量999cc 最高出力160kW<218ps>/1万4500rpm 最大トルク113Nm<11.5kgm>/1万2500rpm 変速機:6段リターン
【寸法・重量】全長:2100 全幅:745 全高:1140 ホイールベース:1455 シート高830(各mm) 車両重量:201kg タイヤサイズ:F120/70ZR17 R200/55ZR17 燃料タンク容量:16L
【価格】278万3000円(税込)

試乗レポート●関谷守正 写真●柴田直行 編集●上野茂岐 取材協力●クシタニ

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