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【試乗速報 前編】ホンダ CBR1000RR-RファイアブレードSP日本仕様「218馬力を受けとめる車体に真価あり」

まずは新型ファイアブレードの車体の実力を実感

新型CBR1000RR-Rファイアブレードのコンセプトワードは“TOTAL CONTROL for the Track、意訳すれば「サーキットでの総合的な操作性」といったところだ。要するにレース指向を前面に打ち出しているわけだが、スーパースポーツモデルとして一般道で使うとどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか? 今回はSPモデルで街中~高速道路~ワインディングと、万遍なく走ってみた。

結論から言うと、パワフルでありながら扱いやすいエンジン以上に、車体の安定感と信頼感が素晴らしいのだ。筆者は現行スーパースポーツのすべてに乗った経験があるわけではないが、おおよそのところはどのメーカーのスーパースポーツよりも車体の挙動とハンドリングは落ち着いているし、常にスタビリティが感じられるのだ。しかも、それが全速度域で、というのが大きなポイントだ。その安定感は、傑出している。

CBR1000RR-RファイアブレードSP(278万3000円)。最高出力218馬力、最大トルク11.5kgm、車両重量201kg。今回のモデルチェンジから日本でも「ファイアブレード」が車名に追加されるよになった

これは車体のそもそもの設計が優れている上に、エンジン回転や速度と連動しているであろう、サスペンションやステアリングダンパーの電子制御の効果によるものだろうと思われる。ハンドリングは低速では比較的軽快で、速度や荷重の上昇につれて落ち着きが増して行くのだが、ここまでは他の電子制御ステアリングダンパーでも同じような感じだろう。違うのは、電子制御サスペンションも連動しているので、ギャップ通過時の収斂性がどの速度域でも一定のように感じられることだ。

むしろ低速での凹凸通過のほうが、どちらかというと敏感に感じられ、高速域での大きなグルーブやうねり、路面の継ぎ目などを通過した際は、その衝撃をタンッと一発で収束させる。したがって、高速コーナーでもハンドルや車体が瞬間的にあおられたり、ラインが一本横跳びするような不安な動きもほとんどなく、ひたすら安定しているのである。この安定性は公道を走るモデルでは驚異的と言ってもいいだろう。

ワインディングでもファイアブレードは「抜群の安定感」を発揮

これはワインディングでも変わらない。普段、筆者は公道走行において事故や転倒は絶対にあってはならないと、マージンを持って慎重に走行するし、コーナーリングでもマシンを全面的に信用して身体を預けるようなことはしない(正確には臆病なのでできない)。ところが、である。CBR1000RR-Rファイアブレードではそれができるのだ。

しかも1000ccスーパースポーツだとタイトな山道ならほぼ全域ローギヤで回し上げることになるのだが、そういった状況下でもCBR1000RR-Rファイアブレードは柔軟だが味わったことのないような高いスタビリティを発揮し、不安を感じさせない。このため、サーキット走行のように頭や上体をインに落とし、身体をマシンに預けることが容易にできる。むしろ車体にかかる荷重が高まれば高まるほど、この安定感は増すのである。

フロントブレーキは330mmダブルディスクに、ブレンボ製の最高峰キャリパー「スタイルマ」の組み合わせ。フロントサスペンションはオーリンズ製の電子制御NPXフロントフォーク

従来型まではユニットプロリンクだったリヤサスペンションは、新型ではプロリンクに。サスペンション上端は、ブラケットを介してエンジンブロック後部にマウントされる構造。ショックユニットは、オーリンズ製の電子制御TTX36

ショーワ製の電子制御ステアリングダンパーを装備。車速センサー、6軸 IMUの情報に基づき制御が行われる。また作動レベルを3段階に調節することも可能

新型CBR1000RR-RファイアブレードのLPL(開発責任者)の石川 譲さんは、もともとが車体設計のエンジニアであり、フレーム性能の追求を生き甲斐にしているような方である。以前インタビューを行った際、新型については「高速安定性を向上させるためにホイールベースを若干延長した」と聞いたが、そこにそれなりの荷重をかけてサスペンションを圧縮し、ホイールベースを適度に短縮させれば、理想的なハンドリングとなるのではないかと筆者は感じている。

また、リヤショックのエンジンマウント化は「タイヤからの入力が車体の及ぼす影響を抑制しつつ、路面からのインフォメーションを損なわないようにと考えた」そうだ。実際乗ってみてもその通りで、前後タイヤのインフォメーションもきちんと感じられ、これもまたマシンの信頼感に繫がっているのではないだろうか。

*RC211V、RC213V-Sの車体設計を担当したほか、CBR1000RR-SP(2012年型)の開発責任者を務めた石川 譲さんのフレーム造りにかける情熱は、八重洲出版『ホンダモーターサイクル ザ・ドリームメーカーズ ホンダ二輪の70年 不滅の魂と夢』をぜひ読んでいただきたい。

ハンドルは従来型より絞り角が開き気味に。各種電子制御のモード変更をするスイッチはすべて左グリップボックスにまとめられている

このような意味においては、街中などでの低速走行では十分にサスペンションを動かすレベルには至らないので、マシンはバンクさせづらく、そのポテンシャルを発揮するシチュエーションではないのは明らかだろう。最初は扱いやすくスムーズで、それこそ60km/h以下の走りならエンジンも穏やかで、初心者にも簡単に乗れてしまう性格だが、その真価を感じ取るためには相応の経験や技術が必要となる。

つまり、加速~減速~コーナーリングという一連の荷重変化に対し、きちんとマシンを操作でき、意志と身体を的確に対応させることができれば、筆者のようにそれほど高いレベルのライダーではなくとも、CBR1000RR-Rファイアブレードの真髄に触れることは十分にできるはずだ。この車体の性能やハンドリングは、一度は味わっておくべき価値がある。

リヤシート下収納スペースは、書類とETC車載機が入ってちょうどという具合。ETCは標準装備ではなく、純正アクセサリーが設定される(4万6640円)

ヘッドライト、ウインカー、テールランプといった灯火類は全てLEDを採用。6連LEDのテール&ブレーキランプはかなりスタイリッシュ

218馬力の最高出力に注目が行きがちだが「278万円の価値があるのはこの車体といっても過言ではないかもしれません」

ホンダCBR1000RR-RファイアブレードSP諸元

上級グレード「SP」は、オーリンズ製電子制御サスペンション、ブレンボ製ブレーキキャリパー、クイックシフター、リチウムイオンバッテリーが装備される

【エンジン・性能】種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク81.0mm×48.5mm 圧縮比:13.2 総排気量999cc 最高出力160kW<218ps>/1万4500rpm 最大トルク113Nm<11.5kgm>/1万2500rpm 変速機:6段リターン
【寸法・重量】全長:2100 全幅:745 全高:1140 ホイールベース:1455 シート高830(各mm) 車両重量:201kg タイヤサイズ:F120/70ZR17 R200/55ZR17 燃料タンク容量:16L
【価格】278万3000円(税込)

試乗レポート●関谷守正 写真●柴田直行 取材協力●クシタニ 編集●上野茂岐

ホンダの起死回生 CBR1000RR-Rファイヤーブレードに見る本気度【車体編】

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