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ベテランライダーをも唸らせるシブい実力派【カワサキ ニンジャ500&Z500試乗】

2026年5月末にメディア向けに開催されたカワサキのニューモデル試乗会では、多数の車両が用意された。本記事ではその中から、400ccモデルから進化したニンジャ500&Z500をご紹介。AMAスーパーバイクなど数々のレース参戦歴を持ち、現在は二輪ジャーナリストやライディングスクールのインストラクターとして活躍している鈴木大五郎が、公道での試乗インプレッションをレポートする。

排気量アップで400ccモデルの良好なバランスをさらに強化

ニンジャ400をベースに排気量を拡大したエンジンを搭載しているニンジャ500と、そのネイキッド仕様であるZ500が、今年2月末に国内市場に登場した。

2026年型ニンジャ500。価格は89万1000円。
2026年型Z500。価格は84万7000円。

遡れば2017年型までのニンジャ400は、ニンジャ650をベースとして排気量を399ccまで縮小した並列2気筒エンジンを搭載するという手法で作られていた。そのため車体側がオーバースペックで、かなり非力な印象のマシンであった。

650ccモデルから派生したニンジャ400系は、2011年型のニンジャ400Rからスタートした。最高出力は44馬力で、車両重量は207kg。
650ccモデルベースのニンジャ400系としては国内最終モデルとなった、2017年型ニンジャ400リミテッドエディション。最高出力は44馬力で、車両重量は211kg。

しかし、2018年のフルモデルチェンジでは、ニンジャ650ベースで作るのではなくニンジャ250と共通の車体に排気量398ccのエンジンを搭載するという大転換により、驚くほどのキャラクターチェンジを果たした。軽量コンパクトな車体に最高出力48馬力の並列2気筒エンジンというパッケージはなかなかに痛快であり、それでいてじゃじゃ馬にならないバランスの良さを感じさせた。なお、Z400はこのニンジャ400をベースに作られ、2019年に発売している。

2018年型ニンジャ400。最高出力は48馬力、車両重量は167kg。
2019年型Z400。最高出力は48馬力、車両重量は166kg。

さて、ニンジャ500&Z500は「500」と名に冠しているものの、実際の排気量は451cc。日本に先駆けて発売された欧州仕様は最高出力が47馬力だが、これは欧州基準の免許区分のうちA2ライセンス(排気量制限なし、最高出力は35kW=47.6馬力以下、年齢19歳以上)に適合させるための意図的なパワーダウンのようだ。日本仕様の最高出力は53馬力となっている。

ニンジャ/Z500のエンジンは、従来型ニンジャ/Z400からストロークを6.8mm伸ばすことで排気量を拡大している。(画像は欧州仕様の2024年型ニンジャ500SEのエンジン)
ニンジャ/Z500のエンジンは、クランクシャフト、コネクティングロッド、ピストンを従来型ニンジャ/Z400から変更するとともに、圧縮比を排気量増加に合わせて最適化。(画像は2024年モデルの海外発表時に作成されたもの)
ニンジャ/Z500と従来型ニンジャ/Z400のエンジン性能比較図。全回転域にわたって性能向上が図られている。(画像は2024年モデルの海外発表時に作成されたもの)

ニンジャ500&Z500の車体は基本的に従来型400モデルと同じで、スリムかつコンパクト。プレッシャーのないフィット感である。まずはニンジャ500にまたがってエンジンを始動すると、ドコドコとアイドリングを開始し、スロットル操作にレスポンスよく反応してくれる。そして、実際走り始めたマシンの反応具合も実に気持ちのいいものであった。

パワーやトルクがちょうど良く、アクセル操作やバックトルクにあまり気を使わなくても楽に走れる。また、ほとんどの場面が低中回転域で事足りるし、その回転域のトコトコとしたエンジンフィーリングも気持ちがいい。ニンジャ400に対して全ての領域で余裕が生まれ、全体的なバランスもこちらのほうが良い印象だ。エンジンパワーが過大でないため、車体剛性など考慮しなければならない項目が少ないのも、マシンの自由度に関係しているだろう。

ニンジャ500に試乗する鈴木大五郎。

市街地での俊足具合は好ましいセールスポイントのひとつだが、郊外に出てもその楽しさは損なわれない。スロットルを開け続ければ高回転に向けてビーン!ときれいに吹き上がっていく。なかなかにパワフルだし、そのときのビート感もまた心地いい。連続したシフトダウン操作時にも、スリッパークラッチのおかげでエンジンブレーキが過度にかかるといった心配がなく、スポーツライディングもしっかりと楽しめる素性がある。エンジンからの熱については、膝回りに空気が停滞することなく風がスルリと抜けていく感触で、夏の暑い時期でもストレスは少なさそうである。

ニンジャ500に備わるラジエータファンカバーは、熱気を左右へ逃がし、渋滞中のアイドリング時にライダーへの熱の不快感を軽減する。(画像内の車両は欧州仕様の2024年型ニンジャ500SE)

コーナリング特性もとにかく軽快だ。サスペンションの動きは特別高級感のあるものではない。ブレーキも必要十分といったフィーリングだが、バイク全体のパッケージングとしてはなにも不満を感じさせないバランス具合。使い倒してやろうといった気にさせる安心感があり、手に余ることがなく、それでいてモーターサイクルの爽快感をたっぷりと味わえる。

軽快にスイスイとコーナーをクリアしていく。純正装着されているタイヤは特段グリップ力が高いものではないが、これもバランスは悪くない。また、よりグリップ力の高いタイヤに換装すれば、かなりスポーティな走りを許容してくれそうである。

ニンジャ/Z500の純正装着タイヤはダンロップ スポーツマックスGPR300。フロントフォークは41mm径の正立式で、リヤサスペンションはリンク式モノショックを採用。

なお、Z500はエンジンや車体の多くのパーツをニンジャ500と共有し、車両重量はZ500のほうが4kgほど軽量となる。アップライトな乗車姿勢であるZ500の方が取り回しが軽快で、市街地向き。前後の荷重配分はフロントが軽い印象でキビキビと走らせやすい。

Z500に試乗する鈴木大五郎。

とはいえ、ニンジャ500は前傾が強いかといえばさにあらず。こちらも自由度の高さはZ500と遜色ないレベルである。ちょっとスピードが上がった際にはニンジャ500の方がフロントを無意識に落ち着かせやすく、ツーリングシーンではカウルによるウインドプロテクション効果もある。ニンジャ500とZ500で迷ったら、どちらの強みを重視するか考えたうえで選択すればよいだろう。

いずれのモデルも、とにかく取っつきやすく、あらゆる場面で足かせとなる重さやストレスとは無縁。バイクビギナーにおすすめしやすいパッケージングであると同時に、ベテランライダーをも唸らせるポテンシャルを持ったマシンとなっている。

ニンジャ500&Z500のライディングポジション

ニンジャ500のライディングポジション。ライダーは身長165㎝、体重62kg。
ニンジャ500の足着き。ライダーは身長165㎝、体重62kg。

ニンジャ500:ニンジャシリーズ共通のスポーティなスタイリングだが、その姿からイメージするよりもライディングポジションはフレンドリー。上体の前傾も強くなく、ふだん使いからツーリングまでこなせる汎用性の高いものとなっている。シート高は785mmで足着きも悪くない。

Z500のライディングポジション。ライダーは身長165㎝、体重62kg。
Z500の足着き。ライダーは身長165㎝、体重62kg。

Z500:グリップ位置の低くないバーハンドルにより、上半身はアップライトで自由度も高め。Uターンなど、取り回し性能はニンジャ500を上回る。足着き性はニンジャ500と同様。スリムでコンパクトな車体が幅広いライダーとシチュエーションにマッチする。

ニンジャ500&Z500の主要諸元

2026年型ニンジャ500(メタリックフラットスパークブラック×メタリックスパークブラック)

〇カワサキ ニンジャ500 主要諸元

エンジン種類:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:70.0×58.6mm 総排気量:451cm3 最高出力:39kW<53ps>/10,000rpm 最大トルク:43Nm<4.4kgf・m>/7,300rpm 燃料タンク容量:14L(無鉛レギュラーガソリン指定) WMTCモード燃費:25.2km/L 変速機:6段リターン 全長×全幅×全高:1,995×730×1,120mm ホイールベース:1,375mm シート高:785mm 車両重量:171kg タイヤサイズ:(F)110/70R17 (R)150/60R17 カラー:マットブラック×ブラック 価格:89万1000円 発売日:2026年2月28日

2026年型Z500(メタリックマットグラフェンスチールグレー×メタリックフラットスパークブラック)

〇カワサキ Z500 主要諸元

エンジン種類:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:70.0×58.6mm 総排気量:451cm3 最高出力:39kW<53ps>/10,000rpm 最大トルク:43Nm<4.4kgf・m>/7,300rpm 燃料タンク容量:14L(無鉛レギュラーガソリン指定) WMTCモード燃費:25.2km/L 変速機:6段リターン 全長×全幅×全高:1,995×800×1,055mm ホイールベース:1,375mm シート高:785mm 車両重量:167kg タイヤサイズ:(F)110/70R17 (R)150/60R17 カラー:マットグレー×マットブラック 価格:84万7000円 発売日:2026年2月28日

report:鈴木大五郎/モーターサイクリスト編集部 photo:柴田直行/カワサキ

車両問い合わせ先

カワサキ TEL0120-400819 https://www.kawasaki-motors.com/ja-jp/

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