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普通二輪免許で乗れるBMW「C400GT」はまるでスポーツセダン!? 街乗りも長距離も1台でこなせる。荷物もしっかり運べる←コレ大事

C400GT BMW 2025

2025年モデルで新型となったBMW C400GT

BMWが作るスクーターの存在感や知名度が日本でも定着してきたようです。ちょっと前まで、C650やCE04(電動バイク)に乗って取材をしていると「BMWがスクーター作っているなんて!?」などと驚かれたものです。

が、最近では都市部や高速道路を快走しているBMWのスクーターをよく見かけるようになりました。日本車に比べれば価格は若干高めではあるものの、基本性能の良さや、ステイタスといった面でも納得しやすいのでしょう。あるいは、GSシリーズやS1000RRなどのオーナーがセカンドバイクとして選ぶというケースも少なからずありそうです。

今回試乗したC400GTは初代が2019年モデルとしてデビュー。
先行して発売されていたアドベンチャーモデル的なテイストを持ったC400X(現在は販売終了)に対し、GT=グランツアラーとしてのキャラクターを与えられたマシンですが、エンジンやフレームなどの基本構成はC400Xと共通です。

2025年モデルで新型となったC400GTは、装備や機能に様々なアップデートが施されており、スクーター市場の中でさらに存在感を増すことは間違いないでしょう。また排気量は349ccで、普通自動二輪免許で乗れる点もポイント高し、です。

BMW新型C400GT(2025年モデル)。試乗車は白を基調とした「ダイヤモンド・ホワイト・メタリック」というボディカラーで価格は120万2000円
全体のデザインは従来型からキープコンセプトですが、外観上で新旧の違いがわかりやすい部分はスクリーン。新型は形状変更のほか、高さ調節機構がつきました

実車を見たことのある方は、400ccのスクーターとしては結構大柄だな、という印象を抱いた方もいるのではないでしょうか(全長はホンダ X-ADVやヤマハ TMAX560より長い)。

BMWの主戦場となるヨーロッパでは普通のサイズなのでしょうが、半面、日本人的にはシートはゆったり大きく、ポジションの自由度も高いというメリットとして受け取れます。またグランドツアラーとして考えると、タンデムシートも十分な広さが確保されている点も見逃せません。

シート高は765mmと数値自体はそれほどではないものの、シートの座面が広く股下が大きく開いてしまうので、小柄な人は停車時にはシート前方に座るなど慣れと工夫が必要かも。

今回長距離走行は試せませんでしたが、シートの座り心地はなかなか良い感じで、長時間運転していてもお尻が痛くなりそうな気配はありませんでした。もし辛くなってきても前述の通り前後左右に自由度があるシートなので、姿勢を変えて調整もしやすいでしょう。また、ダンデムシートにも乗ってみましたが窮屈さはなく、クッションもライダー側シートと同じく快適でした。

大ぶりで座り心地もいいシート。ライダー側シートにはバックレストも付いています。タンデムシートは座り心地が上質なのに加え、しっかり握れるグラブバーもあって安心感も高いです
日本仕様では標準装備となるリヤキャリヤ。中央にある突起は純正のトップケースと連結した際、ケース内の充電ソケットへ給電するためのアタッチメント。機能性にこだわるBMWらしい装備です

さらに使い勝手が良くなったメーター、グローブボックス

今回のモデルチェンジでメーターは10.25インチに拡大され(従来型は6.5インチ)見やすさがかなり向上しました。機能面も充実していて、BMWのアプリを使ってスマートフォンと連携すれば電話はもちろん、音楽やナビなど様々な機能が使えます。

また、改良点として嬉しいのは左右のコンソールボックスが容量を大幅にアップしており、たいていのスマホを収納しながら充電できる(USB-Cポート付き)のです。ちなみに、右側のボックスはペットボトルがすっぽり入る容量ですから、これまた使い勝手がいい。なお、これらのコンソールボックスはメインスイッチOFFと同時に施錠され、ONになっている時だけ手動で開閉できるセキュリティ機構つきです。

10.25インチとなったフルカラー液晶メーター。スマートフォン連携機能も備えています

BMW新型C400GTの走り「安定感が抜群、長距離高速移動も快適にこなせそう」

エンジンをかけてみれば、ジェントルな排気音。普段乗りにも、長距離ツーリングにも合っている雰囲気です。車名こそ400ですが、349ccのOHC4バルブ単気筒エンジンは最高出力34psと特段凄いものではありません。ですが、アクセルを開けて10メートルも進めばライドバイワイヤの緻密なコントロール、反応の良さに驚くはず。

BMWはモデルチェンジを行った際に、プレスリリースなどには載せられていない細かな熟成を行っているのが常としてあるのですが、新型C400GTにもそういった部分がかなりありそう。従来型でも十分スムーズでしたが、「右手とエンジンが直結」という感覚がより磨かれた印象です。

そのうえでC400GTのエンジンは、独自のバランサー機構のおかげで回転数問わず嫌な振動は一切感じられません。長距離走行時の疲労感も少ないことでしょう。

車体は、2本のアンダーループ的構造に上部にも2本のパイプ(正確には角材)を配したスチール製フレームに、スクーターとして一般的なユニットスイングを組み合わせた構造。そのフレームの剛性が高いのか、直進時のしっかり感には舌を巻きました。さすが、アウトバーンの国が作ったスクーターです。

正立フォーク&リヤ2本ショックのサスペンションはオーソドックスな構成といえますが、しっかりと作り込まれているのでしょう、乗り心地についても過不足はありません。

加えて、ピレリのスクーター用タイヤ「エンジェル・スクーター」がいい仕事をしている気がします。センターとショルダーがしっかりしている感触で、クローズドの試乗スペースでそこそこのスピードでスラロームをこなしても腰砕けなどは全くしませんでした。パターンを見る限りウエット性能も良さそうなので、長距離ツーリングも安心して、快適に出かけられそうです。

筆者はこれまでスクーターを所有したことがありませんが、もしC400GTのオーナーになったらかなり楽しい日々が送れそう、と夢が大いに広がりました。充実の収納スペースは街乗りでもツーリングでも役立ちますし、長距離走行の対応力が高そうな快適性。走りの基本性能もしっかりしています。東京から下関までノンストップツーリングだってできそうなポテンシャルを感じました。

もはや老後にほど近い(笑)筆者にとって、C400GTはかなり現実的に考えたいモデル。1台でなんでもこなしたいバイクを探している方は、販売店で実車に触れてみるのオススメしたいモデルです。

新型C400GTでは「ABS Pro」を標準装備。「DBC」(ダイナミック・ブレーキ・コントロール)と合わせて、コーナリング中(バンク中)の急制動もサポート。フロントブレーキはダブルディスクで、キャリパーはスペインのJ.Juan製
純正装着タイヤはピレリの「エンジェル・スクーター」で、サイズはフロントが120/70R15、リヤが150/70R14

BMW新型C400GTの収納スペース

シート下収納はBMWが「フレックスケース」と呼ぶ、底面が下に拡張する構造。容量は従来型より少し拡大されました
底面を拡張しヘルメットを収納した状態。前方のスペースは底の突起もあり、さほど大きなものは載せられません。安全のため、収納底面の拡張は停車時のみ行える機構となっています
主にスマートフォンの収納を想定したと思われる左側の収納スペース。中にはUSB-Cのポートがあります
右側の収納スペースには500mlのペットボトルを入れた状態。まだ余裕があります。左右ともこの収納スペースはメインスイッチOFFで自動的にロックされます

BMW新型C400GTの足つき&ライディングポジション

シート高は765mmで、身長176cm、体重65kgの筆者が乗ると両足の全面が接地。ハンドル位置も自然な高さで、長距離ツーリングも楽にこなせるはず。フットボードも大ぶりで、足の置き場も自由度が高い。

BMW C400GT主要諸元(2025年モデル)

【エンジン・性能】
種類:水冷4ストローク単気筒OHC4バルブ ボア・ストローク80.0mm×69.6mm 圧縮比:11.5 総排気量:349cc 最高出力:25kW(34ps)/7500rpm 最大トルク:35Nm(3.5kgm)/5750rpm 変速機:CVT(無段変速)

【寸法・重量】
全長:2205mm 全高:1500mm 全幅:815mm ホイールベース:1565mm シート高:765mm 車両重量:222kg タイヤサイズ:F120/70R15 R150/70R14 燃料タンク容量:12L

【車体色】
ダイヤモンド・ホワイト・メタリック、ブラック・ストーム・メタリック

【価格】
117万1000円(ブラック・ストーム・メタリック)
120万2000円(ダイヤモンド・ホワイト・メタリック)
*ETC2.0車載器標準装備

レポート●石橋 寛 写真●石橋 純 編集●上野茂岐

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