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CFMOTO 250SR-S試乗「中国のスポーツ車って…」という色眼鏡は外すべし。その性能・仕上がりは日本車と勝負できる

CFMOTO 250SR-S

高回転まで伸びるエンジン、フレンドリーな乗車姿勢

日本ではまだ馴染みがないかもしれないが、中国のCFMOTOはヨーロッパやアメリカなど先進国を含め、グローバルな展開を行っている二輪メーカーだ(そのほかATVや発電機なども手掛けている)。600〜800ccクラスの大排気量車も作っているし、近年はレース活動も行っていて、2024年にはMoto3でチャンピオンを獲得している。

以前、筆者は空冷125cc単気筒のCFMOTO製バイク「パピオ」に試乗したことがある。それは前後12インチのミニバイク的なモデルだったが、最近では上位排気量の日本導入も増えてきた。そして2025年2月に発売となったのが、水冷250cc単気筒エンジンを搭載するスーパースポーツ「250SR-S」だ。

価格は67万4300円と手頃。そしてスーパースポーツらしくまとめられたデザインは軽快な印象で、個人的に気になっていたモデルだった。とはいえ、実際にまたがってみるとハンドルはそれほど低くなく、前傾もきつくない。日常的に乗れる範囲のライディングポジションだ。

ライダーは身長168cm、体重56kg(オーバーパンツやウインタージャケットでややモコモコしている)。前傾はそれほど厳しくないライディングポジションだ
シート高は780mm。両足のカカトは浮くが、車重が軽いので不安感は無い。片足なら足の裏が全面接地する

というわけで、早速走り出してみる──。アイドリングは安定しており、エンジンは低回転からよく粘る。低速からのピックアップは穏やかではあるが、回転は素直に上がっていく。排気音は気になる雑音や高周波音が少なく、低中速で走っていれば住宅地や通学路のような場所においても気にならない音質で好ましい。 

しかし、せっかくスーパースポーツ的なデザインなのだから、郊外に出て上まで回してみた。DOHC4バルブのエンジンは中速域からレッドゾーン手前までよく伸び、このあたりでのピックアップは良い。振動も思いのほか少ない。エンジンの最高出力は29.2psで、高回転まで引っ張っても手の内で遊べるのがいい。

ちなみにライディングモードも搭載されており、「スポーツ」と「エコ」に切り替えができる。

自動車専用道路での走行。パワーバンドに入ると排気音も元気な音になってきてツインカムらしい伸びが楽しめる

ハンドリングは素直だが、スポーティに走るなら手を入れたい箇所も

個人的にシングルのスポーツバイクは好きで、ヤマハのSRX250などで筑波サーキットを走っていたこともあるが、そうした経験を踏まえても250SR-Sの直進性はしっかりしていると言える。とはいえ安定性ばかりを重視している感じではなく、ハンドリングは素直だ。

率直なところ、中国製のバイクがここまで進化しているとは思わなかった。足元の収まり、ガソリンタンク付近のホールドの良さ、シフトタッチなども国産スポーツ車に近い。

軽く前傾姿勢を取ると、これだけヒジに余裕ができる

ただ、細かいところで煮詰めて欲しい部分はある。リヤブレーキの効き始めが少々唐突で、Uターンをする際にリヤブレーキで微調整をかけたい時、コーナー途中で姿勢安定のためにリヤを軽くかけたい時などを考えると、もう少し緩やかな方がいいと思う。フロントブレーキはコントロールしやすく効きも良かったので、そのリヤブレーキのフィーリングがことさら気になった面もある。

テスト車はおろしたての新車で、サスペンションは当たりが取れていない面もあるのだろう、低速で細かいギャップを通過する際はショックを吸収しきれない気配もあった。一方、中速以上になるとサスペンションはちゃんと動き出し、外乱による挙動の乱れも少ない感じだった。

中国メーカーの車両に限らずアジア圏のモデルでしばしば指摘されるタイヤ性能だが、250SR-Sに純正装着されていたのは台湾のブランドCST(チェンシン)のラジアルタイヤ「RIDE MIGRA S1」というもの。街乗りやツーリングペースでの走り方なら、グリップ的に特に問題は無いと感じる。

とはいえ、エンジンや車体などの出来からして、ツーリングだけでなくスポーツ走行の相棒にもなりそうな汎用性、侮れないポテンシャルが250SR-Sにはあると思う。その場合はハイグリップタイヤを履かせたり、前後サスペンションの調整・変更など手を入れたくなる箇所はあるが、筑波のコース1000など小さなサーキットで走らせてみたい──そうした高揚感も感じさせてくれるバイクだった。

余談だが、今回の取材&撮影は編集部の無茶振りにより筆者のワンオペであったため、走行写真が少し寂しい点はご容赦いただきたい。

フロントブレーキは300mmシングルディスクにラジアルマウントの4ポットキャリパーを組み合わせる。フロントフォークは倒立式でインナーチューブ径37mm
片持ちスイングアームを採用するのも250SR-Sの大きな特徴。跳ね上がったサイレンサーの角度はスポーツ走行での深いバンク角も想定したものだろうか。リヤブレーキは220mmディスク

CFMOTO 250SR-S主要諸元

[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル単気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:72.0mm×61.2mm 総排気量:249cc 最高出力:21.5kW<29.2ps>/9750rpm 最大トルク:22Nm<2.2kgm>/7250rpm 変速機:6段リターン

[寸法・重量]
全長:2010 全幅:750 全高:1100 ホイールベース:1365 シート高:780(各mm) タイヤサイズ:F110/70R17 R140/60R17 車両重量:155kg 燃料タンク容量:12L

[車体色]
ネビュラホワイト、ネビュラブラック

[価格]
67万4300円(税込)

CFMOTO 250SR-S
CFMOTO 250SR-S

CFMOTO 250SR-Sの機能や特徴を解説

イマドキのスポーツモデルらしく、フロントカウルにはウイングレットを装備
キーオンにするとアニメーションが表示され、起動を演出
車両のシルエットに続き、CFMOTO 250SRのロゴが現れる
250ccモデルながらフルカラー液晶メーターを採用。スマートフォン連携機能も備えている
メーター機能の操作、表示切替は左スイッチボックスにある十字スイッチで行う
足元の収まりとステップワークのしやすさが好印象だったステップ周り。カカトまで含めたホールド感が良いのに加え、足を前後に移動させた際の引っ掛かりが少なく操作性にも優れている
メインキーはタンク先端にある。ステアリング周りの軽量化を狙っていたりするのだろうか
体をかなり伏せて走っている状態。タンク後部がなだらかな曲線となっているため、窮屈な感じは無い
特に伏せることを意識しなければ、アップライト気味なライディングポジションとなる。というわけで、旅先でこの程度のフラットダートに遭遇しても慌てることの無い寛容性がある

レポート&写真●小見哲彦 編集●上野茂岐 取材協力●クロニクル

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https://cfmoto.chronicle521.com/
TEL:047-363-3838

 

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