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注目のクラッチレス変速機構「AMT」KTM最上級アドベンチャーに初搭載
KTMは伊ミラノEICMAショーにて、同社のフラッグシップ機と言える1350ccVツインのLC8エンジン搭載モデルを発表した。ビッグアドベンチャーツアラーの1390スーパーアドベンチャーSエヴォ(以下:S-ADV-Sエヴォ)と、ビッグスポーツツアラーの1390スーパーデュークGT(以下:SデュークGT)だ。ともにKTMでは最上級クラスのモデルとなる2台だが、昨年登場した1390スーパーデュークRエヴォと同系のエンジンを搭載している。
そして大きなトピックと言えるのが、S-ADV-SエヴォのLC8エンジンに組み込まれたクラッチレス変速機構のAMT(オートメイテッド・マニュアル・トランスミッション)だろう。ヤマハのY-AMT、ホンダのE-Clutch、BMWのASAなど、ここ最近クラッチレス変速機構搭載モデルは数を増しているが、KTMでもまずは長距離ツアラーのS-ADV-Sエヴォに初搭載したというわけだ。ちなみにAMTとアドバンスドフロントレーダーが付くのがS-ADV-Sエヴォで、標準仕様のS-ADV-Sには装備されない。
1390スーパーアドベンチャーSエヴォのテクニカル・ハイライト
では、以下にS-ADV-Sエヴォに採用の主要機構を紹介しよう。
- 従来の1290系エンジンの1301ccから排気量を1350ccへ拡大:最高出力173ps(1290比で+13ps)、最大トルク145Nm(1290比で+7Nm)を発揮し、EURO5+に適合。
- エンジンにカムシフトテクノロジーを採用:2種類のカムプロフィールでバルブ開閉タイミングを可変させ、パワーバンドを最適化。
- クラッチレス変速機構のAMT採用:マニュアルシフトモード(ハンドシフトもしくはフットシフト操作可能)と完全自動化のトランスミッションを選択可能。
- ライドモード:レイン、ストリート、スポーツ、オフロード、カスタム(オプションでラリーモードもあり)の各設定があり、スロットルレスポンスとピーク出力を状況に合わせて制御。
- そのほか標準の電子制御テクノロジー:トラクションコントロール、コーナリングABSとカスタマイズ可能なABSモード、KTMコネクト、アドバンスドフロントレーダー、タイヤ圧監視システム、クルーズコントロール、キーレスシステムなど
- 前後サスにWP製セミアクティブサスペンションテクノロジー採用:走行状況に応じて可変ダンピングを提供するほか、コンフォート、ストリート、スポーツ、レイン4つのライドモードにも対応
- 調整機能:ウインドシールド(最大70mm調整可能)、ブレーキ&クラッチレバー、ハンドルバー位置調整可能。
- 新型コーナリングライト付きLEDヘッドライト
- 8.8インチTFTディスプレイ
フロント19インチ、リヤ17インチのホイールを装着し、アップライトな乗車姿勢と大型ウインドスクリーン付きの大型カウルは、長距離ツーリングにも向く仕様で、アドベンチャーツアラーにふさわしいパッケージング。前モデルの1290S-ADVシリーズまでは、前後アルミキャストホイール装着車がSとSエヴォ、ワイヤスポークホイール装着仕様がRに大別されていたが、1390でもS-ADV-Rは登場するものと思われる。
なお、日本導入時期、価格などのアナウンスはないが、注目のAMT搭載車スーパーアドベンチャーSエヴォは、2025年前半には日本でも発売されるだろう。
1390スーパーアドベンチャーS エヴォ主要諸元
■エンジン 水冷4ストローク75度V型2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク110.0×71.0mm 総排気量1350cc 圧縮比13.0 燃料供給装置:フューエルインジェクション 点火方式フルトランジスタ 始動方式セル
■性能 最高出力127kW(170hp)/9500rpm 最大トルク145Nm(14.7kgm)/8000rpm
■変速機 6段リターン 変速比1速2.917 2速2.133 3速1.667 4速1.350 5速1.125 6速0.963 一次減速比1.900 二次減速比2.470
■寸法・重量 全長─ 全幅─ 全高─ 軸距1558 シート高847/867(各mm) キャスター24.8° トレール─ タイヤF120/70R19 R170/60R17 車両重量228kg(燃料なし)
■容量 燃料タンク23.0L エンジンオイル─
■車体色 オレンジ、ホワイト×ブラック
■日本導入時期、価格は未定
まとめ●モーサイ編集部 写真●KTM