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【モトグッツィ V100マンデッロS試乗】伝統の空冷から水冷DOHCへ……「らしさ」はあるのか、はたまた別物か

100年以上の歴史があるイタリアンブランド「モトグッツィ」

それぞれのバイクメーカーにはアイデンティティとなるエンジン形式がある。例えばドゥカティであればLツイン、BMWであればボクサーツインとなるだろう。とはいえ、そのほかにも様々なエンジンをラインアップするのが一般的である。
そうした中でモトグッツィというブランドは頑なだ。歴史をひもとけば過去には色々なエンジンレイアウトのマシンを世に送り出しているのだが、それを知る人は多くないだろう。モトグッツィといえば空冷の90度Vツインを縦方向に搭載するのが世間一般に知れわたっているイメージであり、そのエンジン形式のみのラインアップを数十年もの間、一貫して続けている。今となっては旧式とも言えるエンジンだが、ノスタルジーを感じさせる造形であり、乗り味も何だか牧歌的でほのぼの系。そこが売りであるように思われていた。

水冷DOHCエンジンに最新電子制御、一気に現代化した「V100マンデッロ」

しかし、ブランニューモデルとなるV100マンデッロはやや趣が異なる。これまでと同様に90度縦置きVツインという形式を採用しているものの、中身は完全に新設計。同社初となる水冷式となったことにも驚かされるが、年々厳しくなる排ガス規制など諸々の課題に対し、これからも独自性のあるバイクを作り続け、答えていくという意志を見せられたようでうれしくもある。
さらに、最新の電子制御を満載しているのも大きなトピックだ。6軸IMUを搭載することにより、高度なトラクションコントロールやコーナリングABSのほか、上級仕様の「S」にはオーリンズ製の電子制御サスペンションも奢られ、クイックシフターも装備されるなど、何だかちょっと心配になってくるような豪華さを誇る。

「オールラウンダー」をモデルコンセプトとしたV100マンデッロ。新設計水冷エンジンを同じく新設計のスチールチューブラーフレームに搭載する。「マンデッロ」は、モトグッツィ本社及び工場があるイタリア北部の街の名から。
「S」はオーリンズ製電子制御サスペンション、クイックシフター、グリップヒーターを装備し、メーターにはスマートフォン連携機能が付く。6軸IMUを制御に生かしたコーナリングABSやトラクションコントロール、4種のライディングモードはスタンダードと共通。

「らしさ」と最新技術のバランスが良い

今回試乗したのはV100マンデッロS。エンジンを始動すると、軽快さと重厚さが混じった心地よいサウンドを響かせる。アクセルをブリッピングしてみるが、従来のモデルで強く感じられた、マシンがグラリと傾くトルクリアクションはほとんど感じられず、クセはさほど強くない。クラッチも軽く、発進操作は恐ろしくイージーだ。
極低回転域から厚いトルクがモリモリと湧き出てくる。そして、それはとても優しくて味わい深い。最高出力は115馬力と、リッターオーバーの最新マシンとしてはかなり控えめな数値である。しかし、例えば200馬力を叩き出すパワフルな他社製マシンでは、この味わいを演出することは不可能であろう。
クイックシフターを用い、立て続けにギヤをかき上げていく。3500回転で最大トルクの90%を発生するエンジンは、パワーの落ち込みを感じさせる兆候など微塵もない。このときのフィーリングは他車にない面白さであり、このマシン&エンジンの真骨頂とも言えるだろう。

しかし、この水冷エンジンは味わいだけが特徴ではなく、高回転域に向かってもしっかりとパワフルだった。従来の同社製エンジンのような息苦しさは感じられず、それでいてしっかりと地に足が着いているかのようなフィーリングで、きれいにレブリミットまで回っていく。また、その際にも嫌な振動やメカニカルノイズがほぼ感じられないことも特徴である。
ハンドリングは至ってニュートラル。旋回力が高いとか、運動性が高いといったスペシャル感はないものの、しっかりと操っているという操作の実感=楽しみを感じさせてくれる。装備は最新ながら、ここにも最新のモデルとは異なる味わいが感じられる。

電動スクリーンや座り心地の良いシートなど、リラックスしながら長距離走行を楽しめそうな装備も充実している。ありふれてはいないがマニアック過ぎない。確かな走行性能とともに、個性をしっかりと感じさせるバランスの良さを持ったマシンである。他人と違ったマシンを好む天の邪鬼っぽい人以外にも、お薦めしたい。

排気量1042ccの水冷90度V型2気筒DOHC4バルブエンジン。最高出力115ps/8800rpm、最大トルク10.7kgf-m/6750rpmという性能。
シリンダーヘッドを従来の同社製エンジンから90度回転することで、吸気系やFIの構成部品の配置を合理化しつつ、ひざ周りのスペースも拡大している。
電動スクリーンは無段階で最大90mmまで上げられる。
世界初採用という「アダプティブ・エアロ・ダイナミックス」はサイドディフレクターが速度に応じて自動で開く機構。スクリーンと併せてライダーにかかる風を最大22%低減するという。レインモードでは常時展開される。

V100マンデッロS「テスターの注目ポイント」

ここが気に入った!

この時代に新設計のエンジンを投入してくれた心意気。心地良い鼓動感とトルクフルさ、パワフルさ。先進化し過ぎていない、ややクラシックテイストが残っている乗り味もいい。
速度によって可変するアダプティブ・エアロ・ダイナミクスは、今回の試乗コースでは効果のほどがよくわからなかったが、そういったものを採用する遊び心にも好感が持てる。

ここが気になる

電動スクリーンは装備されているものの、より大きなフェアリングやスクリーンを装備してツーリング性能を高めた仕様が欲しい。クルーザー系やアドベンチャー系など、このエンジンを使ったバリエーションモデルの登場も望む。
渋いデザインは好感が持てるが、若年層にもアピールできるデザインのモデルも欲しい。計画は既にある!?

足着き&ライディングポジション

フレームおよびシート幅がやや広いため、スッと足を降ろせる感じではないが、足着きは問題なし。ライディングポジションはシート位置がやや後方にある印象で、良い意味でちょっと古めのマシンに乗っているような感覚。ヒザ周りのフィット感も悪くない。ライダーの身長は165cm。

シート高は815mm。

V100マンデッロSの装備&機能

オーリンズ製の電子制御式セミアクティブサスペンション「スマートEC2.0」を採用。コンフォートとダイナミックの2モードがあり、ライディングモードによって自動で切り替わる。フロントフォークのインナーチューブ径は43mmで、ホイールトラベルは130mm。
フロントブレーキは320mmダブルディスクにブレンボ製対向4ピストンラジアルマウントキャリパーを組み合わせるが、こちらはスタンダードと共通。

リヤサスペンションのホイールトラベルは130mm、プリロードは手動で調整可能。リヤブレーキは280mmディスクにブレンボ製2ピストンキャリパーの組み合わせで、フロント同様にブレーキはスタンダードと共通。
リヤタイヤの駆動はモトグッツィ伝統ともいえるシャフトドライブ。純正装着タイヤはピレリ・エンジェルGT II。

メーターは5インチのフルカラー液晶。ツアー、レイン、ロード、スポーツの4種のライディングモードを備えるのはスタンダードと共通だが、「S」では各ライディングモードで電子制御サスペンションのモードが連携して切り替わる。

モトグッツィ V100マンデッロS主要諸元

[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクルV型2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:96mm×72mm 総排気量:1042cc 最高出力:86.4kW<115ps>/8800rpm 最大トルク:105Nm<10.7kgm>/6750rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2125 全幅:835 全高:── ホイールベース:1475 シート高:815(各mm) タイヤサイズ:F120/70R17 R190/55R17 車両重量:233kg 燃料タンク容量:17L
[車体色]
ヴェルデ2121、グリージョアヴァンガルディア
[価格]
264万円

ヴェルデ2121
グリージョアヴァンガルディア

試乗レポート●鈴木大五郎 写真●岡 拓/モトグッツィ 編集●上野茂岐

CONTACT

ピアッジオグループジャパン

ピアッジオコール TEL:03-3453-3903
https://www.motoguzzi.com/jp_JA/

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