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水冷ハーレー、乗らず嫌いは損をする!?「3エンジン毎に違う世界観」アドベンチャー、スポーツ、クルージング

ライバル勢の急追と、新しいチャレンジ

近年のハーレー・ダビッドソンからは、「伝統の継承だけにこだわっていたのでは、今後の2輪業界を生き残れない。新しいチャレンジをしなくては」という意気込みがヒシヒシと伝わって来る。まあでも、それは自然なことだろう。と言うのも、欧米の2輪メーカーの多くは21世紀に入ってどんどん新境地に進出し、かつてとは異なる支持層を獲得しているのだから。中でもドゥカティやBMW、トライアンフがクルーザーの世界で成功を収めていること、同じアメリカのインディアンが年を経るごとに勢力を拡大していることは、同社にとって頭の痛いところではないかと思う。

そういった状況を踏まえて、ハーレー・ダビッドソンが開発したエンジンが、最新技術を随所に導入したDOHC水冷60度Vツインの「レボリューションマックス」である。伝統のOHV空冷45度Vツインとは共通点が見当たらないと言っていいだろう。

そしてこの新世代パワーユニットを搭載するモデルとして、2021年にはパンアメリカ1250/スペシャルとスポーツスターSが登場し、2022年からはナイトスター、2023年からはナイトスタースペシャルの発売が始まっている。

もっとも、ハーレー・ダビッドソンが水冷Vツインで新境地の開拓を目指すのは今回が初めてではなく、2002~2017年にはVロッドシリーズ、2015~2020年にはストリート750/ストリートロッドを販売していた。ただしそれらと比べると、レボリューションマックスの懐は相当に深いと思う。何と言っても、前述した3機種のエンジンとは異なり、各車各様のフィーリングを実現しているのだから。

さて、前置きが非常に長くなったけれど、当記事の主眼はレボリューションマックスの魅力を記すことである。以下に登場順で、各車各様のエンジンの特徴を紹介しよう。

■伝統の空冷45度Vツインは言うに及ばず、V-ROD系/ストリート750系が搭載していた水冷60度Vツインと比較しても、レボリューションマックスはコンパクト。シリンダーの冷却フィンが皆無の構成は、ハーレー・ダビッドソンにとってはスーパーバイクのVR1000以来。

■レボリューションマックスのシリンダー挟み角は、V-ROD系/ストリート750系と同じ60度。ただし30度位相クランクを採用しているので、爆発間隔は90度Vツインと同じ0→270→450→270→450°……(位相ナシの60度Vツインは0→300→420→300→420°……)。

実直なパンアメリカ1250/スペシャル

テスト車は上級グレードの「スペシャル」

いい意味でも悪い意味でも実直。それが、パンアメリカ1250に搭載されたレボリューションマックス1250に対する、僕の印象である。まずはいいほうの話をすると、このエンジンは極低回転域から超高回転域まで、どんな領域でも扱いやすいのだ。2500rpm近辺での巡航が快適にこなせる一方で、6000rpmあたりからはシャープで爽快な吹け上がりが堪能できる。アドベンチャーツアラーのエンジンとしては、この特性は大正解だし、ライバル勢と互角に戦える152psの最高出力を獲得したことも(アドベンチャーツアラー界の盟主と呼ばれるBMW R1250GSは136psで、クラス最強のドゥカティ・ムルティストラーダV4は170ps)、これまでの同社のスタンスを考えれば特筆するべきことだろう。

では悪い意味の話として、僕がどんなところが気になったのかと言うと、鼓動感や豪快さが希薄なこと……である。もちろん鼓動感や豪快さは、アドベンチャーツアラーとしての快適性や走破性を阻害する要素になり得るので、同社の判断は間違いではないのだ。でもハーレー・ダビッドソンらしさを期待してパンアメリカ1250に乗ったら「意外に普通?」という感じでガッカリする人がいるのかもしれない。

パンアメリカ1250/スペシャルが搭載する「レボリューションマックス1250」。排気量1252ccの水冷V型2気筒DOHC4バルブで、可変バルブタイミング機構を備える。最高出力152ps/9000rpm(スペシャルは152ps/8750rpm)、最大トルク13.1kgm/6750rpm。

豪快なスポーツスターS

テスト車は純正アクセサリーを装着

パンアメリカ1250のレボリューションマックス1250に対して、スポーツスターSが搭載するレボリューションマックス1250Tは、低中回転域のトルクを増強するべく、吸排気系やピストンなどを専用設計している。もっとも、最高出力は152→121ps、最大トルクは128→127Nmに下がっているので、当初の僕はあまり期待していなかったのだが……。

実際に乗ったらビックリだった。現代的に洗練されたレボリューションマックス1250とは異なり、レボリューションマックス1250Tは「これぞ内燃機関」と言いたくなる、漢気溢れるフィーリングを実現していたのだ。具体的な話をするなら、低回転域では一発一発の爆発力が明確に伝わって来るし、中高回転域では上半身がのけぞるほどの豪快な加速が味わえる。もちろんこういった特性は、ロングランにはあまり向いていないのだが、レボリューションマックス1250を長距離ランナーとするなら、レボリューションマックス1250Tはスプリンターという印象で、僕は2機種のエンジンの差異にしみじみ感心することとなった。

スポーツスターSが搭載する「レボリューションマックス1250T」。排気量は1252ccでパンアメリカ1250用と変わらないが、Tはトルク重視型を意味し、最高出力122ps/7500rpm、最大トルク12.7kgm/6000rpmの性能となっている。「レボリューションマックス1250」と同様、可変バルブタイミング機構を採用している。

まったりが楽しいナイトスター/スペシャル

2023年モデルで初登場したナイトスタースペシャル

ナイトスター用として各部の刷新を受けたレボリューションマックス975Tは、末尾の数字が示すように排気量を縮小し(ボア・ストロークは105×72.3mm → 97×66mm)、可変バルブタイミング機構を吸気側のみとしている(レボリューションマックス1250/Tは吸排気の両方に装備)。ちなみに、最高出力は89ps、最大トルクは95Nmで、前述した2車と比べるとかなり控えめになっているのだが、僕としてはそのこと以上に、レボリューションマックス1250/Tとはまったく異なるフィーリングが構築されていることが驚きだった。

端的に言うならレボリューションマックス975Tは、2022年で生産が終了した空冷スポーツスターシリーズを思わせる、穏やかで優しいキャラクターを実現しているのだ。と言っても既存のOHV空冷45度Vツインと比較すれば、このエンジンはパワフルで振動が少なく、ここぞという場面で右手を捻ったときの反応は確実に良好である。でも中回転域を維持して淡々と走っていると、空冷スポーツスターに通じる鼓動感や充実感が得られて、その特性を把握した僕は何だかホッとしてしまった。

ナイトスター/同スペシャルが搭載する「レボリューションマックス975T」。排気量975ccの水冷V型2気筒DOHC4バルブで、最高出力89ps/7500rpm、最大トルク9.6kgm/5750rpmの性能は2車ともに変わらず。

水冷Vツイン攻勢はまだまだ続く?

以上、3機種のレボリューションマックスの特徴を記してみたが、ハーレー・ダビッドソンの新世代水冷Vツイン攻勢がこれで一段落かというと、そんなことはないだろう。開発の中止と再開が噂されている、ストリートファイターのブロンクスがどうなるかは定かではないけれど、個人的にはネオクラシック系ネイキッドやダートトラッカースタイル、フルカウルを装備するスーパースポーツなどがあっても、面白いような気がしている。いずれにしてもレボリューションマックスは、すでにハーレー・ダビッドソンの勢力拡大に貢献しているし、このエンジンを搭載する車両の増加は、ライバル勢にとっては驚異になり得ると思う。

ナイトスター/スポーツスターS/パンアメリカ【水冷ハーレー】3シリーズの特徴を解説

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