サンタクロースといえば、トナカイがソリを引いて子どもたちの元へプレゼントを持ってくるというイメージがありますが、近年はサンタクロースのコスプレ衣装を着たままバイクに乗って子どもたちの前に現れる人がいます。
通称「サンタライダー」と呼ばれる彼らの正体は、主に児童施設に預けられている子どもたちを支援するボランティア活動をしており、クリスマスの時期だけサンタクロースの衣装に身を包み、施設の子供たちに袋いっぱいに詰め込んだお菓子やおもちゃを届けているといいます。
そのほか、渋谷などでサンタクロースのコスプレをしてパレードをする集団もいるなど、多種多様な形で日本各地「サンタライダー」が出没しています。
しかし、その中にはミニスカートのままバイクに乗ったりするなど、ちょっと危うい(安全面で)スタイルも……。
そこで当記事では、サンタクロースのコスプレのままバイクで走行するのは法的に問題ないのか、刑事事件や交通事故に詳しい坂口 靖弁護士に話を聞いてみました。
サンタ衣装のままバイクで走行するのは法律上問題ある?
──基本的に、サンタクロースに限らずコスプレ衣装を着たままバイクで走行するのは交通違反になってしまう行為なのでしょうか?
道路交通法では、運転者の服装に関する規定は存在していません。
したがって、原則的にはコスプレをして運転することは法律上の問題はないように思われます。
もっとも、各都道府県には道路交通法施行細則等の規定が設けられており、栃木県では「自動車又は原動機付自転車を運転するときは、木製サンダル、下駄等を用い、又は運転操作に支障を及ぼすおそれのある姿勢をし、若しくは服装をしないこと」と規定(13条1項)されています。
地域によってはサンタクロースのコスプレが運転に支障を生じるような服装であった場合(前が見えずらい、足や腕を動かづらいなど)には、道路交通法違反(71条6項、120条1項9号等)として5万円以下の罰金等に処せられてしまう場合があります。
東京都や千葉県など多くの都府県では、サンダル等の履物については一部規制されているものの「衣服」に関しては特段規制はされていないとのことです。
──バイクから降りて休憩したくなるときもあるかと思いますが、サンタクロースのコスプレ衣装のままコンビニやスーパーなど店舗に入ることなども法的に問題がありますか?
基本的に下半身を露出しているなどの事情がない限り、どのような服装をするかについては自由です。したがって、サンタクロースのコスプレをして店舗に入ることも、店舗側から拒絶されない限りは法律上の問題はないように思われます。
しかし、店舗側にも来店客を選ぶ自由は認められます。特に強盗等の犯罪防止のためには、コスプレや変装などをしている客の入店を拒否するというのも合理性が認められています。
店舗側が入店を拒否しているにも関わらず、強引にサンタのコスプレで入店するなどした場合には、刑法130条の「建造物侵入罪」や「不退去罪」などが成立してしまう可能性がありますので注意が必要です。
──サンタクロース衣装のままバイクで走行しているとき、警察から職務質問を受けることになった場合、「(子どもたちに)夢を運ぶために走っている」という言い分は……。
以前にバッドマンの服装で三輪バイクに乗車している「千葉ットマン」という方が話題になったことがありますが、運転に支障が生じたりしないよう警察とも協議した上で「千葉ットマン」は活動していたそうです。
このように、安全性を考慮していれば特段問題はないように思われます。
と、法的には問題ないことが分かりましたが、とはいえ編集部としては「サンタライダー」に扮する場合でも、衣装の下はバイク用ウェアやプロテクターなどを着用し、安全面に配慮したうえでのコスプレを推奨します。
監修●坂口 靖 まとめ●モーサイ編集部・小泉元暉
弁護士としてさまざまな刑事事件に携わり、YouTube「弁護士坂口靖ちゃんねる」でも活動中。
事務所名:プロスペクト法律事務所