ホンダでは週に1回しか提供されない幻の人気メニューがあるという。その名も
カレーうどん。
これが提供される毎週金曜日には多くの職員が食堂に押し寄せ、超長蛇の列を作る……とか、作らないとか。
しかも全国の研究所や工場ごとにそれぞれ味が違うそうで、ホンダ社員のカレーうどんに対する愛の深さと情熱の凄まじさが伝わってくる(なおカレーライスは常設メニューで、味も全施設共通)。
「社食の味を家でも楽しみたい!」という多くのファン(ホンダ社員)の声に応える形で、レトルトの“埼玉製作所味のカレーうどんの素”を作った。すると「うちの社食の味も作っておくれよ」という声が多方面から寄せられ、浜松工場、鈴鹿製作所、栃木研究所味の順番でバリエーションを増やし、2019年12月に登場した熊本製作所味を含め、現在5種類がラインナップされている(2020年2月時点)。
これまでは各事業所の売店でしか販売されていなかったが、2020年1月18日にリニューアルされたホンダウエルカムプラザ(東京都港区)でも販売を開始。
せっかく一般の人でも気軽に買えるようになったので、編集部でも5種類買い込んで味比べカレーパーティーを開いてみた。
作り方は至って簡単、5分湯煎(あるいは耐熱容器に入れてレンチン)してからうどんに掛けるだけ。
こちらは試食会の様子。左はモーターサイクリスト誌のスタッフ達で、右はドライバー誌スタッフとカメラマン。オジサンたちのほうが味に対する評価がシビアだった。
すべてにおいてオーソドックスな味、埼玉製作所味
1番最初に製品化された埼玉製作所味。口当たりもマイルドで辛さは控えめ、味の奥にはほのかにしょう油の酸味も感じられた。すべてにおいてオーソドックスなお味。小さなお子さんや辛いのが苦手な人にはこれがおすすめ(ほかの4つも驚くほど辛い訳ではない)。
圧倒的な“カツオ感”、浜松工場味
創業者の本田宗一郎氏のお膝元、浜松のカレーうどんはひと味違った。まず色がほかと比べて明らかに薄く、ルーの粘度も高い。食べてみると口いっぱいにカツオの風味が広がり、とてもダシが効いている。また、遅れてやってくるベーコンの風味も程よいアクセントに。
カツオの存在感が強く好みが分かれそうだが、昭和を生きたオジサン世代からはかなり高評価。ちなみにカツオの風味のせいか、ルーの粘度のせいか、驚くほどにご飯には合わなかった(ほかの4つはご飯でもイケる)。
辛さが後からやってくる? 鈴鹿製作所味
鈴鹿も埼玉製作所と同様に味、香りともにオーソドックスなひと品。ただし、口当たりはそこはかとなく甘く、食べてからひと息付いた頃にじわじわ辛くなってくるので埼玉よりはやや辛口。油断してもりもり食べると後で大汗をかくことになるかも? また、埼玉と比べるとややまろやかでしょう油の酸味もないので、「ホッとする味」と評する声も聞かれた。
ゴロゴロお肉が魅力的、栃木研究所味
浜松とは別ベクトルで個性的な栃木研究所味は、かなり洋風に寄せらている。“ブラックポーク”の名前のとおりにルーの色は濃く、具材がゴロゴロしているのが特徴的。食べた印象は“カレー”というよりはカレー風味のハヤシソース(あるいはビーフシチュー?)と言った感じ。一般的な「カレーうどん」をイメージして食べると少し面食らうことになるかもしれない。
スパイシーさNo.1? 熊本製作所
2019年12月からラインナップに加わた熊本製作所もかなりオーソドックスな見た目。ただし、ひと口目からピリッとした辛さがあり、埼玉研究所のものに辛味をプラスした印象。「食べたらすぐに水が要る!」なんて強烈なレベルではないが、辛いのが苦手な人は避けたほうがいいかもしれない。鈴鹿、埼玉と比べて具材が少し大きめなのも特徴だ。
それぞれに地域ごとの特色を感じられたが、王道が好みならば、辛さに応じて埼玉、鈴鹿、熊本から、和風がお好みなら浜松、洋風が好みならば栃木研究所味。と言ったところだろうか?
また青山本社含め、まだまだ商品化されていないカレーうどんもまだあるそう(青山本社ではクリーミーカレーうどんを出している)。今後商品ラインナップが増えた際には、どんな味なのかレポートしたい。