そろそろ冬の寒さも本格的なものになりつつある今日この頃、皆さんどうお過ごしでしょうか。
私、やっと掛け布団を押し入れの封印から解き放ちました。二輪車WEBサイト「モーサイ」の編集部員さとうです。
時の流れは早いもので、この【編集部さとうのVITPILEN 701日記】を始めてもう半年、今回でひとまずは最終回となります。
前回記事では1泊2日ツーリングの1日目をご紹介。今回は2日目をば。
まだ前回記事を読んでいないよという方はコチラからお読みくださいませ。
スパルタンな見た目のVITPILEN 701は果たしてロングツーリングに向いているのか、それとも向いていないのか? その答えを出すために、実際にロングツーリングに出かけて確かめてみよう! というのが今回の目的です。
早速見ていきましょう!
やはりビーナスラインは楽しい
2日目の朝、荷造りを済ませ出発。
こういった荷物の多いツーリングの時、純正オプションのサイドバッグは本当に便利です。
荷物も多く入るし防水ですし、何より取り外しがワンタッチな事が素晴らしいポイントです。

●サイドバックの取り外しは1個10秒かかるかかからないか。装着時の見た目もライディングの邪魔にならないところも嬉しい
長野・信州といえばそう、ビーナスラインですよね。
冬期は雪で通行止めになってしまうので走るなら今しかない! という事で走ってきました。

●ドライブイン・霧の駅。残念ながら現在は閉鎖中。再開が待ち遠しい

●標高が高い分気温も低いため、暖かい装備は必須。夏はメッシュジャケットでは寒く感じるときがあるので注意しよう。
1日目では街中を走りましたが、やはりVITPILEN 701の得意とするフィールドはワインディングでしょう。
アクセルを開ければ即座に加速、コーナーでは描いた通りのラインを走り、マシンの挙動は思うがままです。
眼下に広がる広大な草原を見ながら颯爽と走る様はまさに白い矢。多少路面温度が低くても、高性能なタイヤとどれだけグリップしているか感じ取れる繊細でいて頼もしい足回りが存分にコーナリングを楽しませてくれます。

●バンクをしてもサイドバッグは地面に当たらないのでご安心

●ビーナスラインで唯一すれ違ったライダー。お互いの安全を願って自然にピースサインを
気付けば撮影そっちのけで走りを楽しんでしまう私。まさに人馬一体! 愛車と私がシンクロしているのがわかり、コーナーをクリアすればするほどテンションが高まっていきます。
あやうく仕事を忘れてしまいそうになるほどの楽しさ! いやはや、これは良くない(汗)。

●ビーナスラインに数多くあるお店も冬期休業中か。営業していれば温かいきのこ汁が飲めたのにとガックシ……。
ビーナスラインを超えてアザレアラインへ
さぁ、ひとしきり走りと景色を楽しんだ後は昼食のジビエを食べに行きましょう。
目的地の長野県大町市へ行くには、諏訪方面からビーナスラインを登り、松本方面へ続くアザレアラインを抜けていくのが黄金ルートでしょう。
しかしここで恒例行事と言うべきか、雨と相まみえてしまいました。

●アザレアラインに入った途端、路面に落ち葉などが増えてきた。これは危ない予感
この連載を始めてから、取材では必ず雨に降られている雨男。降水確率は驚異の100%です。
嬉しいことに雨はすぐ止みましたが、路面が濡れているので注意が必要。VITPILEN 701のトラクションコントロールに助けられながら、長い下り坂を降ります。

●ルート選びはどうやら失敗の様だ……
ウエットかつスリッピーな路面。この時ほど「軽さは正義」と思ったことはありません(笑)。
多少滑ってもトラクションコントロール(と言っても、落ち葉が多すぎて効き目は少し)と自身の気合で容易に車体が戻ってくれて本当に助かります。
一度ズルっと大きく滑りましたが、気合いと根性+トラクションコントロールのサポートで見事リカバリー。これが重量級の車両だったらこうはいきません。軽量なVITPILEN 701だからこそクリア出来たと言っても過言ではないでしょう。
地面を覆い尽くす量の落ち葉(?)に涙目になり、GPライダー顔負け(?)のリアスライドをしながら坂を下ること1時間。松本市が見えてきました。

●気付けば空も青く、地面も乾いている
コンビニで休憩がてら、お昼を頂く予定の「鹿ジビエと手作り定食 カイザー」のHPを拝見。
ん? どうやら今日は定休日の様です。いや〜、事前の調査を怠りがちな癖が出てしまいましたね。
しかし、これで慌てないのがさとうです。代替案ももちろん用意しております。
第2の候補は国道20号線沿いにある「カントリーレストラン匠亭」です。こちらも美味しいジビエが食べられると大変評判なお店なんです。
幸いにも、現在地から1時間程度なのでランチの時間にも間に合いそう。早速向かいます。
しかし、まさかの事態はまだ続きます。

●驚くべきことに、臨時休業である
お店に到着してみると……まさかの臨時休業っ!!
今日ツイてないな? と思いながら、「長野 ジビエ」で検索。しかしヒットするのは遠い所、これではランチに間に合わずお店が閉まってしまう……。
当初の予定とは大分外れてしまいましたが、現在地から近い山梨のジビエ料理を食べられるお店、「仙人小屋」へと向かうことにしました。
濃厚なお肉ときのこに舌鼓
やってまいりました、仙人小屋。
壁のいたるところに熊の皮が、玄関には熊の剥製が飾ってあり期待が高まります。

●コーナー途中にひっそりと現れた
店内は静かで、知る人ぞ知る名店といった感じです。
頼んだメニューは「熊肉丼」と「きのこのホイル焼き(単品)」。
そして運ばれてきた料理がこちら!
The ボリューミーです。
久しぶりの熊肉を恐る恐る食べると、これは美味しい!
噛むとホロッと身が崩れ、何となく豚の角煮の様な感じ。味はとても濃いめですが、調理の仕方か脂は少なめ、さっぱりです。野趣あふれる料理です。
熊肉丼と一緒に出されたきのこ汁も、醤油ベースの汁にきのこの濃厚な旨味が出ていて、しかもトロミがあってきのこも大きくて……。もう最っ高です。

●きのこ好きは是非とも訪れてほしい
あまりの美味しさに落ちるほっぺを拾いつつ食べていると、「ゴロゴロゴロ……」と空から不穏な音が。携帯の天気予報アプリを開いてみたら、「雷注意報」の文字。
こりゃたまらん と急いで身支度を済ませ帰路につくも既に手遅れ、下着までびしょ濡れの豪雨に見舞われてしまいました。
なんともまぁ締まらずに終了してしまった1泊2日ツーリング。1度でいいから雨に降られること無く取材をしたかったものです。

●今回のツーリングの走行距離は559.2km
VITPILEN 701はロングツーリングに向いているか?
結論から先に言ってしまいましょう。
さとう的にVITPILEN 701によるロングツーリングは全っ然アリです!
ツーリングには「美味しいものを食べたり温泉に浸かったり綺麗な景色を観たりする」と「観光なんて二の次でとにかく走る走る走る!」の2パターンがあるかと思います。
ちなみに私は後者で、ツーリングの時間をめいいっぱい使って走りまわることがほとんど。
私と同じように、目的地にどこかの名物が食べられる飲食店を設定しても、必ず峠を通るようなルート設定をする「バイクで好きなだけ走りたい!」、「観光よりも走っていたい!」と言うライダーであれば、VITPILEN 701はドンピシャでしょう。
常にライダーのやる気に同調し増幅させ、「楽しさ」という最大の燃料を投下し続けてくれるVITPILEN 701。走り主体のツーリングを行う人には自信を持ってオススメできます。
おっと、こんな書き方をしてしまうと、観光をしながらツーリングを行うライダーには向いていないと捉えられてしまいますね(汗)。
少し訂正させていただきますと、VITPILEN 701はライダーをやる気にさせる要素がある半面、ロングツーリングに向いている要素も多く持っているバイクでもあります。
フラットなシートは腰の位置が自由自在で、シート前端に座れば前傾姿勢が軽くなりますから疲れません。
大型排気量車でトップクラスの軽量さは、乗っているときのみならず取り回しでも恩恵を受けられます。
「本当に単気筒か?」と思うほど少ない振動(過去に試乗した上司も振動の少なさには舌を巻いていました)、前々回で判明した驚異の低燃費性、ストレスなくスピーディにギアが操作できる上下対応イージーシフト、ライドバイワイヤやトラクションコントロールにABS……。
VITPILEN 701の乗りやすさを挙げだしたらキリがないほど、優しい要素を持っています。
「ツーリングは美味しいものを食べたり温泉に浸かったり綺麗な景色を観たり」というツーリングが好みのライダーさんであれば、VITPILEN 701の各種装備がその一助になってくれるはずです。
“乗りやすさ”は“乗っていて疲れない”とイコールです。私がVITPILEN 701でのロングツーリングを疲れ知らずでこなすことが出来たのは、この懐の深さがあればこそ……と言えるのでしょう。
なお、VITPILEN 701に欠点があるとすれば、他にライバルのいない唯一無二のスタイルがあまりにもカッコよすぎて、走行風を軽減する汎用品のスクリーンを付けようと思えないことと、私のようなライダーは気持ちを高揚させられすぎてしまう所でしょうか(苦笑)。
いずれにせよ、VITPILEN 701のユーザーフレンドリーさはかなりのもの。しっかりと対話しながら走っていれば、日本一周だって簡単にこなしてしまうでしょう。
素晴らしい1台と出会えたと、心の底から言えます。
このVITPILEN 701日記を始めてからあっという間の半年間、読んで頂いた皆様本当にありがとうございました。
掲載記事は今後もモーサイWEBにてお読み頂けるので、「このバイク良いな!」と思った際には是非もう一度お読み頂いて、購入しようかの指標にして頂ければなと思います。
もし、街中で私を見かけた際には気軽にお声がけくださいね!
VITPILEN 701主要概要
●メーカー希望小売価格:138万100円(消費税10%込)
●エンジン型式:水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒
●始動方式:セル式
●総排気量:692.7cc
●ボア×ストローク:105×80mm
●最高出力:55kW/8500rpm
●最大トルク:72Nm/6750rpm
●変速機:6速
●フレーム:クロームモリブデン鋼 トレリスフレーム(パウダーコート)
●サスペンション(F/R):WP製倒立フォークφ43mm/WP製リンク式モノショック
●サスペンションストローク(F/R):135mm/135mm
ブレーキ(F/R):Brembo製ディスクφ320mm/Brembo製ディスクφ240mm(BOSCH 9M+2チャンネル)※ABSは解除可能
●タイヤF/R:120/70-ZR17 / 160/60-ZR17
●ホイールベース:1434±15mm
●シート高:830mm
●燃料タンク:約12L
●半乾燥重量:約157kg
●保証期間:2年間
●生産国:オーストリア
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