コラム

【異世界感ある信号機】色や矢印じゃなく文字表記!!「デ」「セ」の意味は?マニアが見方と設置理由を解説

車両用の信号機は、通常光る部分が円形で青・黄・赤の色に光りますが、中にはその車両用信号機と同じ形のものを使用して文字が表示される信号機が設置されている場所がいくつかあります。

「でんしゃ」の「デ」が表示される岡山県岡山市の路面電車用信号機

“で”んしゃの「デ」が表示される岡山県岡山市の路面電車用信号機。非常に古い昭和40年製のヴィンテージもの。
「でんしゃ」の「デ」が表示される岡山県岡山市の路面電車用信号機。令和元年製の新しいLED信号機のもの。

まず紹介するのは岡山県岡山市にある路面電車用の信号機で、カタカナで「デ」と表示される信号機です。意味は極めて単純明快で「でんしゃ」の「デ」から来ているようです。

路面電車が進行可能のときに点灯するような信号サイクルとなっています。路面電車用が従う信号機で、進行が可能な際に黄の矢印が点灯する交差点は他の路面電車が走る街でも見ることができますが、「デ」というカタカナが表示されるのはインパクトがあって面白いですね。

岡山市の中心市街地に2箇所あり、1枚目の写真は非常に古い昭和40年製のヴィンテージもの、2枚目の写真は令和元年製の新しいLED信号機のものとなっています。

電車「せっきん」の「セ」が表示される富山県富山市の路面電車用信号機も

電車「せっきん」の「セ」が表示される富山県富山市の路面電車用信号機。電球式。
電車「せっきん」の「セ」が表示される富山県富山市の路面電車用信号機。LED式。LEDの素子をカタカナのセの文字に配置されているのが非常に面白いです。

富山県富山市も路面電車が市街地を走っており、富山駅付近には「セ」というカタカナが表示される信号機があり、こちらは(路面電車)接近の「セ」だというのが通説です。

こちらも電球式のものとLED式のものとある(3枚目、4枚目の写真)のですが、LED式のほうは4枚目の写真のように上手くLEDの素子をカタカナのセの文字に配置されているのが非常に面白いです。

「左」「右」「直」「曲」進行方向を示してくれる路面電車用信号機

進行するべき方向を示してくれる路面電車用信号機。
進行するべき方向を示してくれる路面電車用信号機。
路面電車用信号機。
路面電車用信号機。

続いて5枚目〜8枚目の写真は長崎県長崎市にあるもので、5枚目・6枚目は「左」「右」と表示され、7枚目・8枚目は「直」「曲」と漢字が表示されるものです。こちらも路面電車用となっていて、それぞれ路面電車が屈折、交差するポイント箇所に設置されていて、進行するべき方向がこの文字の信号機で示されているものと思われます。こちらも非常に器用にLED素子を並べて漢字を描いているのが面白いです。

赤信号に「止マレ」の文字を併用!! 心配性な(?)大阪府池田市の自動車用信号機

赤信号に「止マレ」の文字を併用!! 心配性な(?)大阪府池田市の自動車用信号機

上記のものは路面電車用の信号機で普通のドライバーは従わない信号機でしたが、続いて紹介する9枚目のものは大阪府池田市にある信号機。

普通の信号機の下になんと「止マレ」と表示される信号機が設置されています。赤信号で止マレなのは当たり前ではないかとツッコミをいれずにはいられない信号機ですが、設置されているにはそれなりの理由があります。

この交差点は高架道路を挟んで2つ連続して信号交差点があり、それぞれ別の交差点として制御されていますが、その連続した交差点同士の距離が近いため、一つの交差点だと勘違いして停止せずに進んでしまうのを防止するため、停止すべきであることを強調して赤のときに「止マレ」と表示されるようです。

因みにこの池田市のものは実際の普通の信号機を加工して止まれと表示されるようになっていますが、近年は電光表示板で止まれと文字が表示されるものに交換が進んでおり、この普通の信号機を流用したタイプは大阪府内ではここしか残っていません。

インパクト大!! 電球式信号機を加工して「←方向1車線」と表示される沖縄県那覇市の自動車用信号機

電球式信号機を加工して「←方向1車線」と表示される沖縄県那覇市の自動車用信号機

最後に紹介する10枚目の写真のものは沖縄県那覇市にある信号機。使っている信号機自体は普通の電球式信号機を加工したタイプ「←方向1車線」と赤い文字で表示されるものです。

6文字が一度に赤く点滅するようになっているので非常にインパクトがあります。この文字の信号機の横には普通の青・黄・赤のLED信号機が並んで設置されています。

この信号機はT字路にあるのですが、このT字路を曲がった先のメインの道路はリバーシブルレーンという時間帯によって道路の車線数が変動する仕組みとなった道路で、平日の通勤時間帯(7:30〜9:00)のみ左折した方向が片側1車線(反対車線が片側3車線)に変更になる(通常時は両方向片側2車線)ため、それを周知するためにこの信号機が設置されているようです。

信号機マニアである筆者はこの信号機が点滅するところをどうしても見たかったので、なんとか平日の時間を確保して住んでいる北海道からはるばる沖縄県まで行きました。

文字が表示される信号機は通常の交差点ではほぼ見ることはなく、路面電車用や特殊な用途でしか見ることはありませんが、実際に見ると非常にユニークで、マニアにとっては魅力的な信号機です。

レポート/写真●丹羽拳士朗 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実

著者プロフィール

●信号機マニアの丹羽拳士朗です。4歳の頃から信号機に興味を持ち、大学入学後の2014年からは積極的に全国各地に信号機撮影に出かけ、2017年に全都道府県を制覇しました。今まででLCC等を駆使し、宿泊はネットカフェ・夜行バスで済ませながら、居住している北海道の外へ116回信号機撮影に出かけ、全国の792市の6割程度に訪問しています。

現在はホームページ「Let’s enjoy signal!!」やtwitter(@LED60590495)で珍しい信号機などを発信しています。好きな信号機はヴィンテージものの信号機や赤黄赤、黄黄赤などの変わった配列の信号機等です。好きな食べ物はラーメン、パスタなどの麺類ですが、信号機優先のため旅行の際も食事は蔑ろになりがちでネットカフェでカップ麺をすすることも。

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