バイクライフ

正装は“革ジャン”だ! 着こなしが難しくないモデル4選! 革デビューのライダーに推します!

■写真の革ジャンは「リューグーレザー UK SINGLE RIDERS JACKET(SRY06A)」

革ジャンには、歴史だけではなく「今着る理由」もある!

バイクとレザージャケット=革ジャンの親和性たるや! それは約1世紀前から認められてきた、伝統に裏付けられた黄金の組み合わせ。

アメリカの大御所レザージャケットブランド「schott」が初めて革製のライダースジャケットにジッパー(ファスナー)を搭載したモデルを発表したことを皮切りに、革ジャンはバイク乗りの間でバイクに乗る際に最も都合のよい衣類として長らく愛され続けてきました。

近年の機能性あふれた化学繊維のライディングジャケットは素晴らしい進化を遂げており、暖かく軽量で温度調節も容易な多重構造をとりつつ、各種プロテクターにより安全性も抜群。それらに対して機能性や利便性で革ジャンが勝つことは叶いませんが、それでもあえて革ジャンを着る……だってカッコイイんだもの! そんな選択の仕方があってもよいのではありませんか?

革ジャンを着た者だけが享受できるメリット

化学繊維のジャケットを持ち上げておいてなんですが、実は革ジャンにも革ならではの性質による優位性があるんです。

■高い耐摩擦性

これはレーシングライダーが革製のツナギを着ていることから察しがつく部分ですが、革製品はとにかく「擦れ」に強いです! どの動物の革なのか、鞣し方によっても革ごとに強さの差がありますが、バイク用の革ジャンに用いられる革ならば一般的なテキスタイル生地よりもべらぼうに破れにくい強さを持っています。転倒時の安全性に一役買う強さ、これが革の第一の魅力です。

■適度な堅さで疲れにくい

これは個人によって感じ方に差のある部分ではありますが、筆者としては常に感じており、ぜひ薦めたいポイント。革ジャンは特別に柔らかいモデルを除けば、どれもある程度の厚みと堅さを持っています。

初めて着用した際にはその堅さに面食らうかと思いますが、毎日のように着ることで自分の体の可動部(肘、肩周りなど)だけが柔らかく、それ以外の部分はコシを残した“自分専用の服”へと変化していきます。

そうして育て上げた革ジャンは、適度なサポーターのような堅さで上半身をホールドしつつ、またツーリングなどで長時間走行風を体に受け続けるシチュエーションにおいては一切バタつかず、長距離走行後に疲労感が残りにくいのです。

革ジャンで、逆に気をつけなければならないこと

実際に革ジャンを着るならば、意識しておかなければならないこともあります。オシャレは我慢とはよく言ったもの。

■防寒性に欠ける

革ジャンを着たことがない方にはピンとこないかもしれませんが、高機能なテキスタイルジャケットと比較すると革ジャンはあまり暖かくありません。裏地に保温性のあるアルミライナーなどを搭載した革ジャンもありますが、それでも真冬はキツいのが実情……。心地よく着られる時期は、東京基準で言えば10月〜12月上旬、3月〜4月中旬くらいかもしれません。

この防寒性の低さは厚みのある革そのものが走行風によって冷えていくことが原因であり、構造的な宿命と言えるでしょう。しかし革ジャンをカッコよく着るためにもインナーを重ね着した「着ぶくれ」状態をとるのはちょっといただけない。電熱インナーなどを駆使し、あくまでもスマートに内側からの暖かさを確保するのがオススメです。

選び方のポイントは……シングル・黒色・シャツカラーのモデルを選ぶ

ここまでの説明で革ジャンの性質をなんとなくご理解いただけたかと思います。では実際に着てみよう……と、言いたいところですが、革ジャンはいかんせん高い! これは否定しようのない事実。そのため、革ジャン選びに失敗は許されません。そこで今回は失敗しづらい革ジャン選びのご参考に、選び方のポイントと、オススメのモデルを4つご案内いたします!

初心者にオススメしたいのは、ボタンではなくシッパーで前を閉める、シングルライダースのタイプ。革ジャンには斜めにジッパーが搭載されたダブルライダースと、正中線をまっすぐ貫くようにジッパーが搭載されたシングルライダースがありますが、シングルライダースのほうが汎用性の高いオーソドックスなデザインと言えます。なかでもスタンドカラーよりも、シャツのような襟が付いたシャツカラーのモデルのほうがやや柔和な雰囲気を醸し、街なかに溶け込みやすくなっています。

ダブルライダースはたしかにバイク乗りらしくてカッコイイのですが、ともすればロックミュージシャンのようなワイルドさが拭いきれず、着る場所を選ぶ機会が増えてしまうこと請け合い。

また、同様の理由で色も黒がオススメです。黒色ならばどんなパンツとも合わせやすく、革ジャンを着る季節に似つかわしい落ち着いた色合いとして着回せます。

はじめはこうした汎用性を基準にモデルを選ぶと革ジャンライフを始めやすいでしょう。さて、そんなポイントを押さえた革ジャンのオススメは以下の4つ!

カドヤ TCR 2

価格:6万8200円(S〜LL)、7万1500円(3L)

日本発の革ジャンメーカーとして浅草の地に根ざす職人集団、カドヤ。1935年に創業し、以来日本のモーターサイクルシーンに寄り添った「バイク乗りのための革ジャン作り」を貫いてきました。近年はアパレル用品の拡充にも努め、幅広い商品展開を見せています。

さてそんなカドヤからは、シンプルな襟付きシングルライダーススタイルの落ち着いたTCR 2がオススメ。革質はコシがありつつも柔らかめのソフトステアを採用しており、やや細身のシルエットがモダンな印象。シャンパンゴールドの裏地が上品で、総じて街着にしやすいスペックです。

しかし、バイクに乗る際に前傾姿勢がとりやすいアクションプリーツ(肩の可動範囲を広げる肩周りの機構)と、ジッパーからの風の侵入を防ぐフラップも装備されるのは、カドヤの革ジャン作りのこだわりといったところ。

このモデルならばライディング時も街歩き時も、どちらも違和感なく過ごせることでしょう。

デグナー LEATHER JACKET(17SJ-1-BK)

価格:3万5200円(M〜LL)

こちらも日本の皮革製品メーカーの雄として、特にレースシーンで存在感を放ってきたデグナー。革ツナギのオーダーメイドを始まりとしながら今では革製品全般を得意とし、革製のサドルバッグが特に人気の高いシリーズとして定着しています。

さて、そんなデグナーからは羊革を採用した革ジャンがオススメ。こちらも先述のポイントどおり黒・シングルライダース・シャツカラーといった構成のモデルですが、特筆すべきは生地に使われている羊革。

今回オススメで挙げているスタイルをもった革ジャンの多くは牛革を採用していますが、羊の革は牛革よりも柔らかく軽い質感が特徴です。コシの強さや耐久性は求めづらいですが、その分だけ日常着としてのスペックが高いと言えるでしょう。

ただしバイク用品メーカーの打ち出す革ジャンですから、ライディングに不向きということは一切ありません。このモデルの面白いところは、シャツカラーでありながら、ジッパーの上端部に首元の開口面積を狭めるためのボタンつきフラップが搭載されていること。バイク乗りのためのさりげない心遣いが嬉しい逸品です。

RIDEZ RR VALIANT JACKET OLIVE RR02

価格:4万1800円(M〜XL)

衣類のみならず、ヘルメットやグローブ、アイウェアなど、バイクを楽しむ者のトータルコーディネートを揃えることも可能なRIDEZ。「MOTORCYCLE LIFE GEAR」を標榜する姿勢に偽りなくラインアップを誇る同社からは、舶来品のエッセンスを感じる革ジャンがオススメ。

ブラックも展開されていますが、あえて少し外したオリーブカラーの落ち着いた色合いを選んでみてはいかがでしょう? やや褪せたようなカラーはシックなイメージを与えつつ、襟周りの少し感覚の広いステッチに野性味を残しており、RIDEZらしいスタイリッシュなデザインが目を引きます。

また、こちらも上記のデグナー同様に羊の革を用いた軽やかな質感であり、フロントのジッパーはスライダーを2つ備えたダブルファスナー仕様、袖口はジッパーではなくボタン仕様、そして肩周りは前傾姿勢を取るための余裕は持たせつつアクションプリーツ機構は無しと、かなり日常着に寄った作り(もちろんプロテクター装備用ポケットは搭載されているのでご安心を!)。どちらかというとトラッカージャケットのような使い方で「ちょっとそこまで」なんてお出かけにも気軽に羽織れる汎用性が、ライフスタイルに変化を与えてくれそうです。

リューグーレザー UK SINGLE RIDERS JACKET(SRY06A)

価格:2万3980円(S〜3L) カラー:ブラック ワインレッド ネイビー グレー オフホワイト アンティークブラウン レッド

ボールチェーン付きジッパースライダーや、ジッパー下端部をカバーしてガソリンタンクへの傷つきを軽減するガードフラップなど、イギリスで流行った革ジャンのスタイル、通称“ロンジャン”のテイストを織り込んだシングルライダースも、革ジャンが初めての方にオススメです。これまで紹介してきたラギッドなモデルとは異なった繊細さを醸し出すディテールは、色気のあるスタイルを完成させるでしょう。

ただ、実はここで言いたいことはそんなことではありません。今回特筆すべきは、リューグーレザーであるということ。その名前は2005年に突如として革ジャン業界に現れ、じわりじわりと存在感を増していきました。なぜなら異様に安いから。今回ご紹介した製品も2万円台前半と、円安の目立つこの時代とは思えない価格で販売されています。それだけに、革ジャンへの入り口として非常にオススメのブランドです。

ちなみに筆者もリューグーレザーを購入させていただき手に取ってみたことがありますが、革の質感・縫製精度ともに、価格を考えればオーバークオリティと言えるほどしっかりとしたものだったことを付記しておきます。


探せばそんなに高くない革ジャンもあります。また意外と着やすいモデルもあります。もうすぐ厳冬期が到来しますね。まさしく今が今シーズン最後の革ジャンを着られる時期と言っても過言ではありませんが急げば購入も間に合います! もっと寒くなっても電熱を駆使して着こなす手もあります! あなたのライディング時のファッションスタイルに、“革”という選択肢を追加し、ちょっと気取ってみませんか?

レポート●緒方誠一 写真●カドヤ/デグナー/RIDEZ/リューグー(順不同)

CONTACT

○カドヤ

https://ekadoya.com/

○デグナー

https://www.degner.co.jp/

○RIDEZ

https://ridez.jp/

○リューグー

https://www.liugoo.co.jp/

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