バイクライフ

バイクやクルマ、今や当たり前のLED「メリット多しだが、意外な弱点もあった!?」

LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」

バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり前といった時代になっている。

ご存知のようにLED以前においては白熱電球/ハロゲン電球がスタンダードだった(クルマのヘッドランプにはHIDが多用されていた時期もあったが)。LEDへの置換が一気に進んだのは、白熱電球に対して、長寿命かつ省電力というメリットがあるからだ。

あらためて整理すると、白熱電球の仕組みは「電気抵抗の大きいフィラメントに電気を流すことで発熱させ、結果として光を放射する」というものだ。ハロゲンガスを封入することでフィラメントの耐久性向上を図ったハロゲン電球も構造的には同じと言える。一方、LEDは発光ダイオードという和名からもわかるように「電気エネルギーをそのまま光に変換する」ことができる。

シンプルにいえば、光を求めるという点において発熱というのは無駄なエネルギー消費でしかない。LEDが省電力につながるのは発熱量が少ないからといえる。また、白熱電球のフィラメントは徐々にやせ細り、劣化していく。そのため、ある程度の寿命で切れてしまうのは避けられない。

振動によってフィラメントが傷むこともあるため、モビリティに使うのは本質的に向いていない部分もある。バイクやクルマにおいてヘッドランプからウインカー、メーター照明など様々な灯火類がLEDに置き換わっていったのは必然といえる。

さらにLEDには光の向きをコントロールしやすいという特徴もある。そのため必要な方向に光を集中させやすい。これはヘッドランプやウインカーのユニット自体を小型化しやすいということだ。つまり、スタイリング面においての自由度が上がるというメリットもある。

ヤマハの1000ccスーパースポーツ「YZF-R1」。ヘッドランプ、ポジションランプにはコンパクトなLEDを採用。まるで灯火類の無いレーシングマシンのようなデザインを実現している
ヤマハ YZF-R1:ヘッドランプ/ポジションランプ消灯時
今の時代、クラシカルな「丸目ヘッドランプ」もLEDだったりする(写真はヤマハ XSR900)

発熱量の小ささが仇になる!?

逆説的な話をすると、全般にLED化された今どきのバイクやクルマにおいては、かつてのようにヘッドランプのハロゲン球が切れたタイミングでLED化するといったように手を加える機会は減っているといえるかもしれない。もっともウインカーについては流れるシーケンシャルパターンへの変更や小型化といったカスタマイズをサードパーティのアイテムによって楽しめるのは、ご存知の通りだ。

また、LEDの発熱量が小さいことが問題になることもある。バイクで雪道を走るといったライダーはそうそういないが、雪国でクルマに乗るとヘッドランプに雪が付着するという問題が起きる。ハロゲン球ヘッドランプだった時代には発熱によって自然と雪は溶けていたが、LEDヘッドランプになると溶けづらいため、ヘッドライトウォッシャーのような機能が必要になっていたりするのだ。問題解決のつながるソリューションはあるが、全体としてはコストアップ要因になるといえるだろう。

長寿命だが、万が一修理となると費用に驚くかも…

そもそもLEDの灯火類は白熱電球タイプに対してコスト高の傾向にあり、当然ながら修理費用も高くなる。注意したいのは複数のLEDを使っている灯火類における一部の球切れだ。

複数のLEDを使っているケースは、ブレーキランプで見かけることが多いが、そのうちひとつでもLEDが点かなくなっていると、保安基準的にはNGとなることがほとんどだ。構造的にLEDをひとつだけ修理することは難しく、すなわちユニットの全交換となってしまうのだ。

白熱電球を使ったブレーキランプであれば、球切れを修理するのであれば数百円で済むところが、LEDブレーキランプでは数千円~数万円となってしまうケースもあり得る……。修理費用の見積もりをみて「こんなにかかるのか!」と憤慨したくなる気持ちはわからないでもないが、その点は頭に入れておきたい。

LED化が進んでいるのは大排気量車だけではない。ホンダ スーパーカブ50も今やLEDヘッドランプを採用している(ただしウインカー、テールランプは通常の電球だ)

レポート●山本晋也 写真●ヤマハ/ホンダ 編集●上野茂岐

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