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2022年も残りわずかになりました。記事が読まれているときは、もう2023年かもしれませんね。
12月中旬までに各地の「冬の交通安全運動」は終了しましたが、12月は月別死者数が最も多い月なので、交通安全運動が終わっても取り締まりの手は緩みません。
一年の締めくくりに違反切符をもらってしまうなんて気分の悪い思いをしないため、また事故のせいで年末年始を台無しにしないためにも、このタイミングでとくに気を付けたい交通違反を挙げていきます。
<飲酒運転>……「飲んだら乗るな、飲むなら乗るな!」を改めて強く意識したい
コロナ禍のせいで自粛していた忘年会を久々に開催したという方も増えていますが、飲酒の機会が増える年末年始は飲酒運転が多発するタイミングなので、取り締まりも一層強化されます。
警察に発覚してしまう最も典型的なケースが、飲酒のうえで交通事故を起こしたといったパターンでしょう。交差点で前の車に追突した、不注意でほかの車に接触したといった事故のほか、壁や電柱に衝突した、路肩にハマって動けなくなったといった自損事故でも警察の目に止まれば「飲んでるんじゃない?」という疑いの目が向けられてしまいます。
では、事故を起こさなければ大丈夫なのかといえば、それは間違いです。主要道路での一斉検問、飲食街近辺でのスポット検問のほか、ウインカーを出さなかった・前照灯が消えていたといった理由で停止を求められて発覚するケースもあります。
軽い酒気帯びでも90日の免停、基準値が重い酒気帯び運転や酒酔い運転なら一発停止で、さらに懲役または罰金が科せられて前科がつく重大な違反です。「飲んだら乗るな、飲むなら乗るな」とはまさにそのとおり。
飲酒の機会があるときはマイカー利用は控えて公共交通機関を利用するのが利口です。急な会合に誘われたなら運転代行を依頼して帰るか、無理せず宿泊の計画を立てたほうがいいでしょう。
飲酒後に「少し時間が経ったから」と運転するのも危険です。飲み会が終わって車に乗り込み数時間の仮眠から覚めたあたりが、身体にアルコールの影響が出やすい最も危険なタイミングなので、仮眠したから大丈夫などと考えてはいけません。
飲み会の翌日に車で出勤するなら、出発前にアルコールチェッカーで検査しましょう。沖縄県警が実施した調査によると、飲酒運転が最も多く摘発された時間帯はなんと「午前7時台」だったそうです。前日に飲み過ぎて二日酔いで車を運転していると摘発される可能性が高まります。
最近では比較的安価なアルコールチェッカーが多いので、事前に購入しておくことをおすすめします。
<速度超過(スピード違反)>……「つい出し過ぎた」は事故のもと。制限速度や状況に合わせて!
スピードが高くなるほど事故時の死亡率が高くなるのは統計から明らかです。年末年始は重大事故の抑止に向けてスピード違反の取り締まりが全国各地で重点的におこなわれます。幹線道路ではパトカー・覆面パトが常に遊撃的な取り締まりをしているので、制限速度を守った安全運転を心がけましょう。
法律の定めに従えば制限速度から1km/hたりともオーバーしてはいけないのが原則ですが、実際にはそこまで厳密に法律を守るのは困難です。もちろん「ちょっとくらいなら法律を守らなくてもいい」とはいいませんが、交通の流れに逆らってノロノロ走っているとあおり運転を受けてしまう危険もあります。
制限速度に近い程度、せめて制限速度プラス10km/h以内をキープしておけば、周囲の反感を買うようなことはないでしょう。プラス15km/hオーバーあたりから容赦なく検挙されます。周囲の車が速く流れている幹線道路でも、プラス10km/hを上限にしながら走るのが取り締まりを受けないコツです。
くれぐれも、車道と歩道がわかれていない生活道路や中央線のない狭い道路で制限速度を超えるような運転をしてはいけません。制限速度が30km/hの道路だからといって歩行者や自転車が行き交う状況なのに30km/hギリギリで走るのは危険です。
都道府県によっては、速度取り締まりの予定を警察のホームページなどで公開しているところもあります。こういった情報発信にも目を向けることで、大切な免許を守れるはずです。
<放置駐停車違反>……「意外と高額な違反金」で、痛い! 駐車場を利用すること。
年末・年始だからといって重点的に取り締まりがおこなわれるわけではありませんが、思いがけず検挙されやすいのが駐停車違反です。年末・年始は親戚や知人宅を訪ねる機会も増えます。「ちょっとの時間だから」「付近の交通量が少ないから」といった理由で路上駐車していると、近隣からの通報で警察官が出動することになるかもしれません。
駆けつけたパトカーは、通報者にも「ちゃんと来ましたよ」とアピールするために赤色灯をつけて、マイクで「ナンバー〇〇の運転手さん、今すぐ車を移動してください」と広報します。これに気づかず車を移動させなかった場合は、とくに違反処理するつもりがなかったとしても駐停車違反で処理せざるを得ません。
法律に違反している、交通の流れを阻害しているといった理由があるのは当然ですが、通報者に「ここで路上駐車してもいいんだ」と誤解を与えてしまう事態も避けたいという思惑もあります。
放置駐停車違反の違反金は意外に高額です。普通車の場合、駐車禁止場所なら15,000円、駐停車禁止場所だと18,000円で、ほかの交通違反と比べると高い金額が定められています。正月早々に思わぬ「落とし玉」を支払うハメにならないよう、長居するなら車を有料駐車場などに移動させるよう心がけましょう。
<取り締まりを受けない!>……そのために気を付けたいことは? 規制が難しくない道路を走る!
インターネット上の情報をみていると「こうすれば切符を切られない」「交通違反で停止させられてもこうすれば切り抜けられる」といったコツやテクニックが紹介されています。しかし、違反が発覚したときに検挙を逃れるコツやテクニックなどありはしません。文句をつけようが、署名・押印を拒否しようが、容赦なく切符を切られます。
おそらく、故意に交通違反を犯すドライバーなんてほとんどいません。ほとんどの交通違反はミスや不注意によるものです。つまり、ミスや不注意を防げば、取り締まりを受ける危険度も軽くなります。年末・年始は、日ごろ通ることの少ない、通ったことのない道を走る機会の多い時期です。走り慣れていない道路では、とくに標識や標示による規制の見落としに注意を払うべきですが、それでもミスは起きます。
見落としやうっかりミスを回避する可能性を高めるコツは「できるだけ規制が難しくない道路を走ること」です。一時停止・一方通行・進入禁止などの規制が多い道路や、信号機によって規制されていない交差点が多い道路は守るべきルールが多く、違反・事故に遭遇する危険が高まります。
渋滞を避けたい、早く目的地に到着したいなどと考えて近道や抜け道を選択していると、わざとではなくても違反を犯してしまうかもしれません。少々交通量が多いように感じても、危険度が低いのは車線・信号機による規制がしっかりした幹線道路です。目的地を目指してできるだけ大きな道路を通ることが、違反・事故を回避する最大のコツだと心得ておいてください。
ただし、幹線道路ではちょっとした操作ミスや不注意が重大事故につながってしまうので注意してください。
一年の締めくくりとスタートとなる時期です。違反や事故があると晴れ晴れとした気分も台無しになってしまうので、安全運転を心がけてハンドルを握ってください。
レポート●鷹橋公宣

元警察官・刑事のwebライター。
現職時代は知能犯刑事として勤務。退職後は法律事務所のコンテンツ執筆のほか、noteでは元刑事の経験を活かした役立つ情報などを発信している。