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メッツラー【ロードテック02】をテスト!マシンも天候も選ばない「走行モード付き」タイヤ!? ツーリングもスポーツも楽しめる

ドイツのブランド、メッツラーから「スーパースポーツツーリング」タイヤとしてリリースされたロードテック02。そのインプレッションを、豊富なレース経験と試乗経験を持つ二輪ジャーナリスト、鈴木大五郎のレポートでお届けする。

【メッツラー ロードテック02】1回目の試乗は踏んだり蹴ったり? ウエット路面だけでしか試せず…

遡ること1年前、私はメッツラーの新製品「ロードテック02」の海外発表試乗会に参加するため、イギリスに向かっていた。
ロードテック02は、さまざまな天候や路面状況にもしっかり対応する性能が備わったタイヤだという。

METZELER ROADTEC02(メッツラー ロードテックゼロツー)

その発表会にふさわしいということで選ばれたのが、気まぐれな天候のイギリスの中でも、世界最高峰の公道レース「アイル・オブ・マンTT」の舞台として知られているマン島だった。メッツラーがアイル・オブ・マンTTのオフィシャルタイヤパートナーであることも当然、会場選定に関係しているだろう。

レザースーツやフルフェイスヘルメットといった重装備をそろえて日本を出発した私だが、マン島に降り立ったときは手ぶらの状態。そう、ロストバゲッジに遭ったのだ……。しかも、主催者側が何とか装具を手配してくれて試乗には臨めたものの、当日は朝から土砂降りの雨……。

いや、そんな中でもタイヤの性能はすばらしかった。初めて走るマン島で、レースコースを1周。一部区間では一般通行が完全にシャットアウトされていて、マン島TTレーサーの気分も味わった。

マン島の風景

だが後日、私の手元に送られてきたのは大雨の中、どこで撮ったのかも誰が写っているのかも分からないような写真数枚。これでは記事を作るのは難しいという編集サイドの判断を受けて、そのままインプレッションがお蔵入りになってしまった……。悲しい過去である。

ウエット性能のインプレッションだけでも何とか記事にまとめられたのではないか?と思うかもしれない。しかし実のところ、それは私のポリシーに反するので、ボツの判断を甘んじて受けたという側面もある。

なぜなら、このタイヤのコンセプトは「ツータイヤ・イン・ワン」。ツーリング性能とスポーツ性能、2つの性能を高次元で実現しているというもの。ドライ路面でスポーツ特性をテストせずにこのタイヤを語ることなんてできなかったのである。

そして今回、ロードテック02のドライ路面での性能をテストする機会が、ついに訪れた。

従来モデルのロードテック01SE(水色)に対して、ロードテック02(紺色)はソフト・ハード両面でのハンドリング性能が大幅に向上している

【メッツラー ロードテック02】2回目の試乗でオンロード性能を確認! 素性の良さと驚きのテクノロジー

国内のサーキットで、ロードテック02を履いたバイクに試乗。写真はBMW R12 nine T

ロードテック02は、メッツラーと同じくドイツのブランドであるBMWのマシンとイメージが重なるようなしっかり感を備えている。

さらに、そこに付随する安心感はどうだ! まさに最新のBMW製バイクと同様のフィードバックとも言える。過去のBMWは、やや独りよがりのテクノロジーがライダーの感覚を上回ってしまっているように思われたものだが、現代のBMW製バイクはライダーへの歩み寄りを進めている。ロードテック02もそんな現代のBMWと同じように、分かりやすくも頼もしさを感じさせるのである。

また、かっちりとした剛性感の中に、肌触りの優しいキャラクターが垣間見える。世に出ているタイヤは、どれも同じゴム製品といえども、ブランドや銘柄によってそのフィーリングは大きく異なる。ロードテック02は高い走行性能と同時に、この感触を作り込むことに情熱を注いでいるのだろう。

その製品作りは結果的に、良好な乗り心地と同時にマシンを操っている楽しさをもたらしていることが、はっきり確認できた。

反面、この乗り心地にはちょっと耐摩耗性が心配になるような感触もあった。しかし、そこはツーリングタイヤとしてのロングライフ性を保っているとメーカーがテストしたうえで言っているのだから安心していいと思う。

従来モデルからシーランド比が見直されたトレッドパターンは、接地面積が増加し、バンク角の変化に応じてより均一かつスムーズな走行を可能する。正確なハンドリング、乗り心地の向上、ロードノイズの減少に貢献

さて、ロードテック02が快適性とともに挙げているもう1つのセールスポイント、スポーツ性能に貢献するテクノロジーにも触れておきたい。

ウエット路面での排水性やウォーミングアップ性の良さに貢献していると説明されているロードテック02のグルーブ(溝)だが、コーナリングでタイヤへの荷重が増していくとその一部が閉じていき、接地面積の増大と剛性アップに結びつくという。

ロードテック02は、スポーティなライディングでは、大きな荷重の伝達と横方向の推力によりタイヤの溝の一部が閉じて、コンパウンドのグリップ特性を最大限活用するようになる。この特徴は「アダプティブトレッドパターンテクノロジー」と名付けられている

半信半疑でブレーキをかけながらコーナーに進入。いやはや、手応えがリニアで接地感が豊富である。そのままリーンしていけば、しっかりフロントからグイグイと旋回していく。ソフトな感触から、確かな剛性感とリニアさへの遷移。リヤタイヤのショルダー部にはセンターよりソフトなコンパウンドを採用している効果ももちろんあると思われるが、スポーツライディングをしっかりサポートするグリップ感がある。

BMW R12 nine Tから、よりバンク角の深いドゥカティ モンスター+に乗り換えて走行してみても、全く不安がなく攻め込むことに夢中になれる。

ロードテック02の、のんびり走らせているときの乗り心地の良さや穏やかなハンドリングと、攻めた際のグリップ力とのギャップには驚かされた。アグレッシブすぎないタイヤのパターンを眺めていると、その性能はちょっと不思議にすら感じられたのである。

ロードテック02を履いたドゥカティ モンスター+でコーナーを攻める!

最新の高性能マシンはライディングモードを備え、1台でさまざまなキャラクターを披露してくれる。それは、機械的技術によって実現されたものだ。しかし、機械の備わらないゴム製品であるタイヤでそのような機能を備えているものが出てきたことに驚かされた、ロードテック02の試乗であった。 

ロードテック02 サイズラインアップ

BMW R1250R × メッツラー ロードテック02

【フロント】
110/80R19 M/C 59V TL
120/70R19 M/C 60W TL
120/70ZR17 M/C (58W) TL

【リヤ】
150/70R17 M/C 69V TL
160/60ZR17 M/C (69W) TL
170/60ZR17 M/C 72W TL
180/55ZR17 M/C (73W) TL
190/50ZR17 M/C (73W) TL
190/55ZR17 M/C (75W) TL
190/55ZR17 M/C (75W) TL(O)

【価格】
オープン

レポート●鈴木大五郎 写真●ピレリジャパン

CONTACT

メッツラー https://www.metzeler.com/ja-jp/home
メッツラーファンサイト https://pmfansite.com/metzeler/

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