BMWの水平対向エンジンが、やっと「左右対称」に! 新型R1300GSのエンジン進化がすごいって話

BMW新型R1300GS 従来型=R1250GSから排気量を拡大するのみならず、エンジンの構造はほぼ別モノと言えるほど大変更が行われている。
BMW R1300GS 2023年11月23日発売で、価格は284万3000円~336万8000円。
真上から見て左右シリンダーがほぼ対称に位置するR1300GSの新型ボクサーツイン(右)と、先代R1250GS用エンジン(左)の左上比較図。このほか、左下図の比較ではエンジン前後長のコンパクト化もよく分かる。先代のR1200GS/1250GS(2013年〜)のボクサーツインでも、ミッションをエンジン下部後方に潜り込ませる2階建て構造で相応に前後長をコンパクト化したものの、ミッションをエンジン下に配置した新型はそれ以上にコンパクトになった。
R1300GS用新エンジンの構造。6速ギヤボックス=①がクランクシャフトの下に配置され、従来よりエンジン前後長が短縮。
カムギヤ&チェーンラインが左気筒用=①と右気筒用=②で独立配置となり、左右シリンダーブロックの前後ズレをほぼ解消しているのが分かる。
空水冷化した先代ボクサーツイン(2013年~/R1200GS&1250GS)。エンジン後部に左右気筒用のカムギヤ&チェーンラインを配置したこのエンジンは、一見して左右シリンダーが前後にズレていた。ただし、エンジン前後長のコンパクト化をねらってミッションがエンジンクランクの斜め後方に潜り込むように配置された2階建て構造となったり、吸気ポートがシリンダー上面/排気ポートが下面となりストレートポート化したのはこのエンジンから。ちなみに、それ以前のボクサーツインは吸気ポートがシリンダー後方、排気がシリンダー前方だった。
今回から数えて先々代に当たる2004~2012年までの空油冷ハイカムOHV4バルブのボクサーツイン(2010年以降はDOHCヘッドに変更)の透視図。エンジン前側上部に配置の発電機を、ベルトを介して駆動。エンジン後端部に大径の乾式クラッチを繋ぎ、その後方にギヤセクションがボルト止めされる構造。エンジン前側に発電系統、エンジン後ろ側にクラッチと別体のミッションケースが付く構成は、それ以前のボクサーツインも同様。このエンジンには伝統的な直進性の味わいが息づいていると感じられ、個人的に好きなパワーユニットだ。現在も同エンジンのDOHCヘッド仕様がRnineTシリーズ各車に搭載され生き残っている。
前出の空油冷ボクサーツインの後部に、別体ミッションケースが付いた状態。これを見ると、最新のボクサーツインがいかにコンパクト化したかが分かる。
空冷OHV2バルブ時代のボクサーツイン(1998年頃まで存続、空油冷ハイカムOHV4バルブの登場は1994年から)。上から見た写真のR75/5(1970年式)での、左右気筒とステップ位置のズレがよく分かる。また右ブレーキペダルが吸気ダクトとキャブレターにやや隠れていることから分かるように、ライダーの右足とキャブレターボディはかなり近い位置だった。だが、そうしたエンジンシリンダーの前後ズレ、ステップ位置の前後ズレともにあまり気にならない。
1990年代半ばまで続いたR80/100系空冷OHV2バルブエンジンのカット図。この時代までのボクサーツインのカム駆動はプッシュロッド方式だったが、エンジン部との間に乾式クラッチを挟んで後部にミッションケースを配置する構成は連綿と続き、後の空油冷ハイカムOHV4バルブエンジンへも継承された。エンジンから別体ミッションケースまでが直線的に並ぶこの構造に加え、縦置き水平対向エンジンの、進行方向と同じ向きでクランク軸が回転する感触が、直進性のよさを際立たせていた記憶がある。往年のボクサーツインの濃い味好きなおじさんは、そこに郷愁を覚えるのだ。
BMW R1300GS
BMW R1300GS
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