ホンダ「MVX250F」の試行錯誤……250レプリカブームに埋もれた異色の2ストV型3気筒 【1980~2000年代に起こったバイクの改変 その10】

■1983年2月1日発売のMVX250F。3種のカラーリングでアグレッシブな雰囲気の外装は専用設計だったものの、車体はVT250Fと共通部分も多く全体のフォルムは似た印象。後に発生した車両の不具合をはじめ、登場時から性能値で優位に立てなかったこと、VT系フォルムが新規性に乏しかったこともライバルに対して見劣りした要因かもしれない。
写真はガルホワイト/モンツアレッド
ガルホワイト/ブラック
モンツアレッド/ブラック
■世界GP500ccの復帰初戦’79年英国GPを走る4サイクルレーサーNR500+ミック・グラント。異色の楕円ピストン採用V4レーサーは大きな注目を集めたが、予選タイムはトップYZR+K.ロバーツから7秒落ちが精一杯。結局2台のNRはミック車がスタート直後に転倒、もう1台片山敬済車も数周後に点火系トラブルでリタイアの苦い初戦となった。
■NR500での雪辱を期すべく、1982年シーズンから世界GPに投入の2サイクルV3レーサーNS500。ゼッケン40はF.スペンサーが駆り初優勝したベルギーGPでのマシン。
■ランキング3位でゼッケン3を付けた83年シーズン、NS500+F.スペンサーはヤマハYZRのキング・ケニーとの接戦を制し、チャンピオンを獲得。
■MVXが「レーサーテクノロジーを継承した」と誇ったNS500のエンジンは、Vバンクが112度で前1気筒/後2気筒のレイアウト。バランサーシャフト付きの1軸クランクで、フレームに収まるエンジンは前1気筒が前下方に傾斜し、後ろ2気筒がやや上方に前傾して搭載される。
MVX250F(手前)
■MVX250Fのカタログより。カタログネームの冒頭で1982年世界GPデビューで3勝を上げたNS500の功績を誇り、「世界を驚愕させた2サイクル水冷V型3気筒エンジン」「オンロードNSとも呼ぶべきロードマシンが出現」「NSレーサーのテクノロジーを受け継いで、今ロードに躍り出ました」と、MVX250Fを刺激的にアピール。
■4サイクルで2サイクルRZ250を打倒すべく投入されたVT250F(1982年)。90度V型2気筒DOHC4バルブは35ps/1万1000rpm、最大トルク2.2kgm/1万rpmの高回転型でRZに比肩する性能を出し大ヒットを記録。以後も同系エンジンの250Vツインモデルは息長く続いたが、さらに進化していく2サイクル車に性能面で追随するのは難しかった。
■MVX250Fのカタログより。
■カタログ内のV3エンジン紹介部分。ほぼ水平配置の前2気筒、直立した後方1気筒の90度V型レイアウトがよく分かる。このシリンダー配置が出来たアイデアとして、カタログでは「前方2気筒と後方1気筒の慣性マス重量をシリンダー内往復運動部分であるコンロッドなどでつり合わせ、バランスさせていることです。V4と同様のバランスが得られて理論上の1次振動が“0”になるなど、2サイクル特有の振動を解消しました」とある。
■V型3気筒の振動低減方式をホンダは「中央気筒バランス方式」と称し、プレスリリースで紹介。「前側のNo.1&No.3と後ろ側No.2のシリンダー用のピストン、ピストンピン、ピストンピンクリップ、コンロッド小端部ベアリング、コンロッドなどの慣性系部品に異なったものを使用」「また従来の120度クランクに見られたカップリング振動も、クランクピンの同軸上配置により発生しないレイアウトを採用」と説明。前2気筒のコンロッドに対し、後1気筒のそれが大端・小端部とも同じような太さの独特な形状なのが分かる。
■MVXの生産中止後、1984年5月発売のNS250R(写真)とノンカウル版NS250F。HRC製レーサーRS250Rと同時開発され、エンジンは基本設計の共用部分もある90度V型2気筒を新型アルミ製ダブルクレードルフレームに搭載(NS250Fはスチール製)。出力値で45psの上限に達してライバルに並んだもののトータルな運動性能では課題が残り、翌年登場のヤマハTZR250に間もなく苦戦。ホンダはさらに本腰を入れNSR250R(1986~)の開発に向かうこととなる。価格はNS250Rが53万9000円、同Fは42万9000円。
■MVX250Fのカタログより。
■MVX250Fのカタログより。
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