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フレディ生誕記念。スペンサーカラーを振り返る

12月20日はフレデリック・バーデッド・スペンサー、いわゆるフレディ・スペンサーの誕生日です。1983年、ホンダにWGP最高峰クラスのタイトルを16年ぶりにもたらした天才レーサーも今年61歳を迎えました。おめでとうございます。

1983年に遂げた21歳8ヶ月での最高峰クラスタイトル獲得は2013年にマルク・マルケスに更新されるまで長いあいだ最年少記録でした。なお、1985年のWGP500ccクラス、250ccクラスのダブルタイトル獲得は今でもWGP史上最後の2クラス同時制覇の記録であり、現在ではダブルエントリーはレギュレーションで禁止されているので、今後も破られることはないでしょう。

さて、2023年1月26日に発売されるホンダ CB1300 SUPER FOUR、CB1300 SUPER BOL D’ORのカラーリングは銀色ボディにネイビーとブルーのラインが引かれたものですが、これは通称スペンサーカラー(正式色名はデジタルシルバーメタリック)と言われています。

2023年1月26日に発売されるCB1300 SUPER FOUR。価格は156万2,000円。
CB1300 SUPER BOL D’OR。価格は167万2,000円。色名は両車ともにデジタルシルバーメタリックです。


この銀/青のカラーはもともとは北米向けCB-Fの純正色でしたが、1982年のAMAスーパーバイク デイトナ100マイルレースでフレディ・スペンサーがこの色のCB750F改で勝利し、今に至るまで多くの人々の記憶に鮮烈に残っていることから、いつしかそう呼ばれるようになりました。

モーターサイクリスト誌1982年6月号に掲載されたホンダの広告ページ。一応、CBX400Fの広告なのですが、この年のAMAスーパーバイク デイトナ100マイルレースでホンダがポディウムを独占したことを全面的に打ち出しています。リザルトは1位フレディ・スペンサー、2位マイク・ボールドウィン、3位ロベルト・ピエトリでした。ちなみにこの広告ではCB750FベースのホンダRS1000が…と書いています。

このデイトナ100マイル時のCBはサイドカバーにCB750Fと記されていますが、エンジンはRS1000のパーツを使い、A.H.M(アメリカン・ホンダ・モーター)が独自に製作したもの。RS1000は世界耐久レギュレーションのため999ccの排気量ですが、こちらはAMA仕様で排気量は1016ccとなっています。いろいろな呼称はありますが、一応現在のホンダではCB750Fデイトナレーサーと呼ばれることが多いようです。

ホンダコレクションホールに収蔵されているCB750F改デイトナレーサー。キャブレターはクイックシルバー、マフラーはマイクベラスコ製のメガホン管とアメリカ製パーツが装着され、フロントまわりはNS500のパーツを流用して16インチ化されています。エンジンはドライサンプでオイルタンクをサイドカバー内に収めています。

そして上述したCB1300 SUPER FOUR、CB1300 SUPER BOL D’OR以外にもホンダは過去に幾度か、このカラーに塗られた機種を発売しています。以下に順に紹介していきましょう。

CB400 SUPER FOUR (2000年)

HYPER VTECを採用した最初の世代のCB400 SUPER FOUR。カラー名はフォースシルバーメタリック(ストライプパターン)、発売時の価格は61万9,000円で、ストライプはソリッドカラーよりも1万円高価でした。

CB750・スペシャルエディション(2007年)

CB750(RC42)の特別仕様車。発売時のリリースでもフレディ・スペンサーがデイトナで勝ったカラーを再現……と誇らしげに書かれていました。カラー名はデジタルシルバーメタリック。発売時の価格は79万8,000円。グリップエンドがメッキ仕上げだったり、リアサスペンションのリザーバータンク部分がグレーアルマイト仕上げとされるなど、細部がスタンダード車とは異なっていました。

モンキー・スペシャル(2004年)

限定2,500台(!)で発売されたモンキー・スペシャル。カラー名はプレアディスシルバーメタリック。発売時の価格は21万円。現在のUSED市場においてはプレミア値で取引される機種です。
モンキー・スペシャルのカタログ。タンク上にゼッケン19のステッカーとフレディのサインがあったり、スペンサーカラー車としてもっともらしい装備が充実しているのがこのモデルです。鍵にもフレディのサインが記されていました。黒仕上げの足まわり、リヤサスの赤いスプリング、カーボン調表皮の特別シートなどを装備しています。

スペンサー・カラーは意外に何度も登場しているのですが、モンキー・スペシャルのようにフレディのキャラクターを製品に落とし込んだものはこの機種以外にないのが不思議なくらいです。2022年はCB1000、1300シリーズの登場30周年にあたる年でした。記念すべき年(発売は2023年ですが)のスタンダードモデルにスペンサーカラーがラインアップされたのは古くからのCBファンにとっては感慨深いものがあります。

レポート●飯田康博 写真●ホンダ/八重洲出版

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