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サスペンションブランドとして、世界で生産されるモーターサイクルでのOEMシェア率50%を超えるSHOWA(ショーワ)から、カワサキ Z900向けのリプレイス用サスペンションが2025年春に発売予定だ。
この製品を、すでに発売済みのカワサキ Z900RS向けリプレイス用サスペンションと併せて、栃木県にあるSHOWAブランドテストコース、塩谷プルービンググラウンドにてテスト。レース経験も試乗経験も豊富な二輪ジャーナリスト、鈴木大五郎氏がレポートする。

*なおSHOWAは、キャブレターやFIでおなじみのケーヒン、ブレーキシステムのNISSIN(ニッシン)とともに日立オートモティブシステムズと2021年に経営統合。日立Astemo(2025年4月1日からはAstemo株式会社に商号変更)の中の1ブランドとして従来どおりの活動を行っている。
優れた減衰特性を持つ「バランスフリー」構造を採用
ベストセラーモデルランキング上位に輝き続けるカワサキ Z900RSに向けて作られたリプレイス用サスペンション「SHOWAハイパフォーマンスシリーズキット」は、発売からこれまで300セットほどを売り上げているという。より個性を引き立たせるドレスアップパーツとしてだけでなく、走りのレベルをさらに引き上げるというのがスペシャルサスペンションの魅力であるが、それをボルトオンで装着できるというのも大きなセールスポイントだ。
フロントフォークはアクスルホルダーが削り出しとなっており、高級感あふれる作りとなっている。実はこのフォーク、1日に1本しか作ることができないような、手間の掛かる製作工程があるという。それでいて物価高騰のこのご時世で、税込み33万円で販売されているのはちょっと驚きである。
*対応モデルは2018年型以降で、フロントフォークはZ900RS SEには適合しない。



性能面では、フロントはBFF(バランスフリーフロントフォーク)、リヤはBFRC-Lite(バランスフリーリヤクッションライト)と命名されており、ともに「バランスフリー」構造を採用している。レースシーンからのフィードバックが大きいこのシステムは、ユニット内のピストン、減衰バルブ、サブタンクを独立して内蔵。圧力バランスを抑えることで減衰力の効果を本来のカタチで発生させているという。
バランスフリー構造とは

バランスフリー構造のサスペンションの模式図。ピストンとは別に設けられたダンピングフォースチャンバー内のオイル通路は伸び側と圧側とで完全に独立しており、サスペンションの動きに対してスムーズかつ的確に減衰力を生み出すことが可能。
また、窒素ガスが封入されたコンプレッションチャンバーは、ダンピングフォースチャンバーの内圧増加をコントロールし、安定した減衰力の発生を可能にする。なお、BFFとBFRC-LiteはカワサキスーパースポーツモデルのフラッグシップであるニンジャZX-10Rに標準装備されている。
Z900RS用の乗り味は「無闇にハードではなく、公道ユースで快適なセッティング」
走行テストは、まずはZ900RSのSTDから開始。テストコースの周回路は一般的なサーキットとは異なり、さまざまなレイアウトのコーナーとともに複数のギャップが設けられている。なかなかここまで過酷な一般道もないと思われるが、だからこそ幅広いシチュエーションに向けたサスペンションを作ることができるという。
十分バランスが取れていると感じたSTDのテスト後は、リプレイス用サスペンション「SHOWAハイパフォーマンスシリーズキット」を装着したマシンに乗り換える。すると、明らかに1ランク、いや2ランクほど走りのグレードが高まったとすぐに感じられる。リプレイス品にありがちな、闇雲に荷重設定が高いものとはなっておらず、乗り心地は快適性の高いものである。


もともとの作動性の良さに加え、減衰力がリニアに立ち上がるのが分かる。スムーズに走らせるだけであればSTDにも不満はないが、ギャップ通過時の衝撃吸収性や落ち着き、またブレーキ掛け始めのフィードバックや、コーナーへハードに攻め込むなどサスペンションへの要求が高まった際の動きの精度が明らかに高まっている。
同時にスロットルを開けていった際のフロントからリヤへの荷重の受け渡し、そしてリヤタイヤのグリップ感もライダーに非常に分かりやすく伝えてくれる。結果として走りに余裕が生まれ、楽しさにつながっていく。基本的にスムーズなサーキット路面での性能向上ではなく、あくまでも一般道、それも飛ばすばかりではないさまざまなシチュエーションに向けた設定はある意味珍しいとも言えるが、実は多くのライダーが欲しているような性能を持たせた仕様となっている。


Z900用が2025年春に発売予定! 「よりスポーティな走りが楽しめる」
次はZ900用を試すが、このマシンはZ900RSのベースとなったモデルだけに共通部品も少なくない。しかし走りのキャラクターは大きく異なり、よりシャープでスポーティな乗り味となっている。とはいえ、メーカー標準のセッティングは幅広いスキルや好みを持つライダーを対象とすることを考慮したものである。
そして標準車に対して、もう少しスポーツバイク寄りの走りへのニーズに応えたのが、2025年春に発売が予定されているBFFとBFRC-Liteの前後サスペンションだ。


走り始めはやや硬さを感じたものの、マシンの軽快性は高まり、車体がひと回りコンパクトになったような印象だ。実際、走行ラインもSTDに比べるとインに寄りやすくなり、旋回性の向上が実感できる。特に少しハードに攻め立てた際に、ピタリと路面に張り付くようなフィーリングが頼もしく、STDでは物足りなくなったライダーも納得の性能だ。
一方で、ギャップ通過時はハンドルにショックを多めに伝えてくる。しかしキックバックを受けるような場面でも、その後の収束は素早く、フリクションの少なさと適切なダンピングによって安定性が確保されているのも実感できる。
SHOWA製リプレイス用サスペンションの魅力「ハイクオリティを現実的な価格で手に入れられる」
SHOWA製リプレイス用サスペンションは、フリクションを低減したり高精度なパーツを使用したりしていても、耐久性はしっかり確保されているという。また、スペシャルショップによるオーバーホールも可能。
通常であればかなり高額にならざるを得ないスペックであるが、低価格に抑えられたのは、SHOWAの持つ生産体制とともに、エンジニアの熱意があったからだろう。レースシーンではなく、日常で使える高性能と信頼性を身につけたスペシャルなサスペンションを現実的な価格で手に入れられるというのが魅力である。



レポート●鈴木大五郎 写真●Astemo/カワサキ





































