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愛知県警が交通安全活動のため、反射材付きマスクを2020年11月に配布
残念ながら新型コロナウイルスの影響はとどまらず、大都市圏の緊急事態宣言も継続される運びとなった。
このコロナ禍では「密」を避け、自動車やバイク、自転車など「パーソナルな移動手段」へと日常の交通手段を切り替えた人も多いのではないだろうか。
だが、自ら運転する機会が増えるとなると、これまで以上に交通安全対策へ気を配りたいもの。
こうしたなか、横断歩道の日である2020年11月11日(1111が横断歩道のシマシマに見えることから)、愛知県警が歩行者保護と新型コロナウイルス予防を両立させた独自の取り組みを行った。
横断歩道手前の道路に描かれるひし形マークの認知向上のため、愛知県警中警察署管内の企業と個人の100人を「ひし形サポーター」とし、加えて、ひし形マークと同じ形の反射材が付いたマスクを配布したのだ。
愛知県警中警察署の交通課課長・長谷川さんによると「愛知県は交通事故死者数ワーストワンが続いており、中警察署管内では歩行者や自転車が被害者となる事故が多発しており、改めて歩行者保護を意識しもらうため」という思いから、この活動は行われたのだという。
道路に描かれたひし形マークの意味、覚えていますか?
また、「ひし形マーク」が何を意味するか意外に知られていないという背景も大きかったそうだ。
道路に描かれたひし形マークは「この先に横断歩道がある」ことを示しており、マークを見たらアクセルを戻す──車速が落ち、歩行者の発見を早くできるようになり、制動・停止までの操作も早くできるようになる──ことを心がければ、事故防止に繋げることができるためだ。
その活動で配布されたマスクを見ると意外な事実があった。
革ジャンを得意とするバイクウエアメーカー・ペアスロープのタグがついており、ベースとなっているのは同社のライディングウエア用麻素材を活用した「立体リネンマスク」に見える。
交通課課長・長谷川さんにその点を伺ってみたところ──。
交通安全の啓発アイテムは数を作って配ることが目的となりがちで、長く使えるちゃんとした物が少なかったのが気になっていたのだという。
そこで、ひし形マークをPRする反射材がついていて、繰り返し洗って使える丈夫なマスクというアイディアに至った。
しかし「反射材を組み込むとなると細かい作業が必要となるし、何より小ロットでの生産に協力してくれそうな企業はそう簡単に……」と頭を悩ませていたところ、自社工房で高品質な製品を生産し続けているペアスロープの存在が浮かんできたという。
というのも、長谷川さん自身がZZR1100やW650などを所有する1ライダーであり、ペアスロープ製ライディングウエアのユーザーでもあったのだ。加えて、同社立体リネンマスクも自身で使っており、使い心地や丈夫さについても信頼できる確証があったのだ──。
そこで長谷川さんからペアスロープの三橋代表に打診を行ったところ、「ライダーの事故防止にも繋がる」と趣旨に共感。かくしてひし形反射マスクが誕生したのだった。
なお、11月以降も「ひし形サポーター」活動は継続的に行われているというが、ひし形反射マスクを見たら、いや、道路のひし形マークを見たら「アクセルオフ」。そしてバイクを降りれば自身も歩行者──夜間は反射材を活用した物を身に着けるなど、この機会に交通安全への意識を高めたい。
まとめ●モーサイ編集部・上野 写真●愛知県警中警察署/ペアスロープ