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2025年全日本ロードレースJSB1000が開幕。ドゥカティが優勝、3位はBMW!新時代の到来を告げる表彰台

水野涼 カガヤマ パニガーレ V4 JSB1000 もてぎJSB1000 もてぎ 2025

2025年全日本ロードレース開幕戦レポート「もてぎ2&4レース」

2025年4月19日から20日にかけて、栃木県のモビリティリゾートもてぎで「もてぎ2&4レース」が開催されました。国内外7メーカーの1000ccスーパースポーツマシンと、国内トップライダー29名が参加し、日本国内最高峰の全日本ロードレース選手権JSB1000が開幕しました。

F1の開催時期の影響で、昨年は3月に開幕したJSB1000ですが、低い路面温度に苦しむライダーも多かったようです。今年は開幕戦の舞台を鈴鹿サーキットからモビリティリゾートもてぎに移し、4月半ばという比較的遅い日程で開幕戦を迎えました。

3月に開幕したMotoGPでの小椋 藍選手の活躍で、レースファンの熱が高まってきたところでの全日本開幕となりました。ちなみに同時開催のスーパーフォーミュラは3月に開幕していて、今回のもてぎ2&4レースは第2戦となります。

ドゥカティとBMWのファクトリースペックが予選から躍動

事前テストから好タイムを連発していたのが水野 涼選手(3番・ドゥカティチームカガヤマ)です。昨年、参戦初年度ながら3勝を挙げ年間ランキング3位になったドゥカテイ パニガーレV4Rは、日本の各サーキットの走行データが揃い、今年は一段高いレベルからセッティングを煮詰めてレースに臨めます。今回の予選でもポールポジションを獲得しました。

注目を集めていたのは、昨年までスペイン・スーパーバイク選手権を走っていた浦本修充選手(31番・オートレース宇部)です。ファクトリースペックといわれるBMW M1000RRはポテンシャルが高く、浦本選手のライディングにより予選3位を獲得し、フロントローからのスタートとなりました。

プライベートチームのオートレース宇部が高スペックの外国車とライダーを揃え、予選で3位につけます

日本車勢もファクトリーのスポット参戦でにぎわうスターティンググリッド

昨年のチャンピオンである岡本裕生選手は、今季はワールドスーパーバイク選手権のSSPクラス参戦のため、ゼッケン1番は不在となりました。2025年に創立70周年を迎えるヤマハ発動機が運営するヤマハファクトリーレーシングの中須賀克行選手(2番)は、ウイング付きの新型YZF-R1で予選4位に。
長島哲太選手(ダンロップレーシングチームウィズヤハギ)と、昨年ランキング4位の野左根航汰選手(4番・アスティモプロホンダSiレーシング)のホンダ CBR1000RR-Rはそれぞれ進化を遂げており、予選は5位と6位で2列目からのスタートとなります。

さらにこの開幕戦には鈴鹿8時間耐久レースに向けてホンダHRCとスズキファクトリーがスポット参戦しました。髙橋 巧選手(5番・ホンダHRCテストチーム)は、ファクトリー仕様のCBR1000RR-Rで予選2番手。津田拓也選手(4番・チームスズキCNチャレンジ)のGSX-R1000Rは、カーボンニュートラル推進を目的としたマシン開発ですが、予選8位と高いポテンシャルを示しました。

コースイン前にトラブル発生。水野選手とドゥカティはスタートできるのか?

順調に見えた水野選手とパニガーレV4Rでしたが、スターティンググリッドに向けてピットを出る瞬間にクラッチが繋がらないトラブルが発生しました。エンジンのかかったパニガーレV4Rに跨った水野選手は発進できず、そのままエンジンを停止してバイクはガレージに戻されました。

このピットからグリッドへ向かうサイティングラップは「走行する/しない」が任意であり、走行しないことへのペナルティはありません。そこで水野選手は歩いてコース内へ移動し、バイクを待つことに。ほかの選手はコースを1周走ってグリッドへ着きます。やがて水野選手のマシンもピットクルーに押され、ポールポジションの位置に収まりました。

決勝レーススタート、トップ争いを抜け出したのは?

フロントローにはドゥカティ、ヤマハ、BMWの3台が並びました。全日本のJSB1000クラスも、世界選手権と同様に外国車が優位となる時代が到来しようとしているのでしょうか。スタートで最初の1コーナーに飛び込んだのは水野選手でしたが、ウォームアップ性能に優れるダンロップタイヤを使用する長島哲太選手が、3コーナーまでにCBR1000RR-Rをトップへと浮上させます。

序盤は長島選手と水野選手の間で、何度か順位を入れ替えながらのトップ争いが繰り広げられました。この時、水野選手は若干ペースに乗れていませんでしたが、スタートラインに運ばれたパニガーレV4Rがスペアマシンの2号車であったことに水野選手は気付いていませんでした(ドゥカティチームカガヤマでは、パニガーレV4Rを2台運用しており、どちらも同じ仕様で決勝に備えていました)。

写真は1周目の5コーナー。ダンロップレーシングチームウィズヤハギの長島哲太選手が、ホンダCBR1000RR-Rでトップに躍り出ました

YZF-R1対M1000RRの緊張感あふれる2位争い

4周目からは水野選手がペースを上げ、後続を引き離してそのまま優勝。昨年からの3連勝となります。一方、2位争いは長島選手、中須賀選手、浦本選手、名越哲平選手(SDGチームハルクプロホンダ)、髙橋選手の5台に絞られました。この中から中須賀選手と浦本選手が抜け出し、最終ラップまで僅差で争いました。

2位争いの先頭を行く中須賀選手は、JSB1000クラスで12回のチャンピオンを獲得した絶対王者です。「YZF-R1のモデルチェンジで追加されたウイングを活かすセッティングが、まだ煮詰め切れていない」とレース後に語りました。一方、浦本選手は「最後のスパートにはついていけない」と言いつつも、慣れないM1000RRで最後まで中須賀選手を追いかけ、うれしさと悔しさが入り混じる3位入賞となりました。

2位争いを繰り広げる中須賀克行選手(ヤマハファクトリーレーシングチーム・YZF-R1)、浦本修充選手(オートレース宇部・BMW M1000RR)、そして少し離れて高橋 巧選手(ホンダHRCテストチーム・CBR1000RR-R)

2025年もてぎ2&4レース JSB1000決勝レースリザルト

2025年の開幕戦の表彰式。3名のうち2名が外国車という、これまでにない顔ぶれとなりました。近い将来、外国車が表彰台を独占する日が来るのでしょうか?

JSB1000各ライダーとマシンの紹介

2025年の開幕戦を圧倒的な速さで制した水野 涼選手と、ドゥカティチームカガヤマのパニガーレV4R
長島選手は序盤トップを走るも、13周でリタイアとなりました。名越哲平選手(SDGチームハルクプロホンダ・CBR1000RR-R)は5位に入賞しました
スタート前のトラブルでマシンの入れ替えがありましたが、それをものともしないレース展開で優勝した水野選手とドゥカティ パニガーレV4R
今回は2位となった中須賀選手。新型ヤマハ YZF-R1のセッティングを整え、第2戦以降の活躍に期待がかかります
鈴鹿8時間耐久ロードレースへのマシンテストを兼ねて、今回のみスポット参戦した髙橋選手。マシンはHRCのファクトリーCBR1000RR-R
こちらも鈴鹿8耐へのマシンテストを兼ねてスポット参戦した津田拓也選手。マシンはスズキファクトリーのCNチャレンジGSX-R1000R
伊藤和樹選手(ホンダドリームRT桜井ホンダ・CBR1000RR-R)は7位に入賞
岩田 悟選手(チームATJ・ホンダ CBR1000RR-R)は8位に入賞
関口太郎選手(サンメイチームタロウプラスワン・BMW M1000RR)は9位に入賞
児玉勇太選手(マルマエチームコダマ・ヤマハ YZF-R1)は10位に入賞
ドゥカティチームカガヤマのパニガーレV4R。ワールドスーパーバイク用のファクトリーマシン
予選、決勝ともに3位入賞を果たした、オートレース宇部のBMW M1000RRもファクトリースペックのマシン
時間がない中で開幕戦に間に合わせた、決勝22位の岡谷雄太選手とハイシティレーシングアプリリアのRSV4 1100ファクトリー
髙橋選手が乗り、予選2位、決勝4位となったホンダHRCのCBR1000RR-R。鈴鹿8耐に向けたテストを兼ねてスポット参戦
決勝ではトップに迫る走りを見せましたが、惜しくも2周目で転倒リタイアとなった野左根航汰選手(アスティモプロホンダSiレーシング・CBR1000RR-R)です
ウイングを装備した新型YZF-R1。今年のヤマハファクトリーは中須賀選手の一人体制です
津田拓也選手(チームスズキCNチャレンジ)のGSX-R1000Rは決勝6位に入賞しました。次戦SUGOにも参戦予定です
カワサキ車はKRP三陽工業RSイトウからニンジャZX-10Rが2台エントリー。写真は25番 新庄雅浩選手のマシンです

今後の2025年全日本ロードレース選手権日程

5月24日~25日 宮城県・スポーツランドSUGO
6月21日~22日 茨城県・筑波サーキット(J-GP3、JP250クラスのみ開催)
8月23日~24日 栃木県・モビリティリゾートもてぎ
9月13日~14日 大分県・オートポリス
10月4日~5日 岡山県・岡山国際サーキット
10月25日~26日 三重県・鈴鹿サーキット


レポート&写真●柴田直行 まとめ●モーサイ編集部

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