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カワサキ KLX230SM解説「久々の国産モタード登場!さすがDトラッカーでブームを先駆けたカワサキ」

KLX230SM カワサキ

国産モタードの先駆車と言われるカワサキ Dトラッカー

カワサキは新型車・KLX230SMを2022年10月15日に発売する。同車はデュアルパーパスモデル・KLX230Sをベースとした派生モデルだが、車名に付く「SM」とはスーパーモトのこと。
スーパーモタードという呼び名の方がなじみがあるかもしれないが、これは同ジャンルレースの火付け役となったフランス語風のもので、世界選手権や日本では「スーパーモト」の呼称で競技が開催されている。

さて、1990年代後半から2010年代にかけ、スーパーモタードの本場・欧州メーカーのみならず、日本メーカー各社がラインアップしていたスーパーモタード系モデルだが、昨今は海外メーカーの車両が細々と販売されるのみだった。

価格はKLX230Sに対して6万6000円高の57万2000円だが、かつての人気カテゴリーが一つ復活するのは嬉しいことだ。それがカワサキからというのも少々感慨深い。

カワサキ KLX230SM。2022年10月15日発売、価格は57万2000円。KLX230S同様に、インドネシアで生産される。
ベース車となったカワサキ KLX230S。価格は50万6000円。

遡れば、国内4社の中でこのカテゴリーのモデルを最初に発売したのもカワサキ。1998年登場のDトラッカーがその先駆車だった。
だが、車名でわかるとおり同車の由来は「ダートトラッカー」。これはアメリカのAMAで開催されているフラットダートでの周回レースのことで、そこから派生し、オンロード、オフロードの混じったコースで一時期開催されたスーパーバイカーズレースの参戦マシンがモチーフになっている。
ちなみに小排気量モデルのKS、KSRシリーズも同様だ。

初代Dトラッカー

カワサキ Dトラッカー(1998年モデル)。

■デュアルパーパスモデル・KLX250をベースに、オンロードスポーツに仕立てられたDトラッカー(D-TRACKER)は1998年に登場。初期のカタログでは「新世代スクランブラーが、弾ける」というキャッチコピーがあるなど、「スーパーモタード」というカテゴリーが確立される前だったことがそこからもうかがえる。


Dトラッカーシリーズは2016年モデルまで続いた

細かい話をすれば、欧州で1980年代から開催され発展してきたスーパーモタードが着想ではないのだが(競技内容はスーパーバイカーズと大きく違わない)、KTMやハスクバーナなどの欧州メーカーがスーパーモタード系モデルを登場させ日本でも人気が高まったため、スーパーモタードの方がカテゴリー名として通りがいい。

実際、Dトラッカーが登場したのは日本でスーパーモタードが人気を集めるほんの少し前。オンオフモデルに太めの17インチロードタイヤ履かせたスーパーモタード風カスタムが個人やショップレベルで出始めた時期だったが、当時バイク雑誌の編集部に在籍していた筆者には「完成車メーカーがこれをやるのか?」という意外性があった。

そして、発売当初のDトラッカーがそれほど人気だった記憶はない。各誌の試乗記事では異端、あるいは変わった派生モデルという見方が少なからず漂い、評価が定まっていないように思われた。国内にライバルがいない中での登場だから、さもありなんだが。

ところが登場から1、2年経ち、Dトラッカーの評価はじわじわと上昇。2003年にはホンダもXR250モタードを発売し、ヤマハは2007年にWR250Xを投入。小排気量クラスのホンダ XR50/100モタードや、400ccクラスにスズキ DR-Z400SM(2007年)も登場し、スーパーモタード系モデルは2000年代に一カテゴリーを築くほど定着した。
車名でモタードと名乗らなかったものの、カワサキのDトラッカーは、登場からしばらく後に先駆車と認められるようになる。

……というのが日本におけるモタード系モデルの大まかな変遷だが、今回登場のKLX230SMは最初から「SM」を車名に入れている。これまでに定着していたDトラッカーを名乗ってもよさそうなものだが、海外展開を踏まえ(東南アジアでも販売される)、世界的に通じやすいものとしたのだろうか。

DトラッカーX/Dトラッカー125

カワサキ DトラッカーX(2008年モデル)。
カワサキ Dトラッカー125(2010年モデル)。

■初代Dトラッカー登場以降、国内各社からもスーパーモタード系モデルが登場し、カテゴリーとして認知されるようになったのは2000年代半ば以降。Dトラッカーはその後も堅調な人気に支えられ、2008年に新型KLX250(タイ生産モデル)の新登場に合わせて、同車ベースの「DトラッカーX」へモデルチェンジ。また原付二種クラスでも、一回り小ぶりなKLX125ベースの「Dトラッカー125」が2010年モデルとして登場(前後ホイールは14インチ)。両車とも2016年モデルで日本向けの販売を終了した。

カワサキ KLX230SM解説

前置きが大変長くなったが、KLX230Sから派生したKLX230SMの特徴を以下に紹介していこう。ちなみに、KLX230Sは従来のKLX230の車高をローダウンしたモデルで、今年2022年に登場。シート高を830mm(KLX230は885mm)として、オフロードの走破性を確保しつつ、親しみやすさを増したモデルだ。
「S」の登場とともに、国内ラインアップではKLX230は販売終了となった。

デザイン「ヘッドライトやフェンダーはSM用に変更」

コンパクトなLEDヘッドライトを採用し、スポーティかつアグレッシブなフォルムに。また前後17インチホイールのスーパーモタードスタイルに合わせ、フロントフェンダーもスポーティなデザインとなっている。
加えて、エンジン、フレーム、スイングアーム、ハンドルバーなどをブラックで統一し精悍な印象に仕上げられている。

カワサキ KLX230SM。
カワサキ KLX230S。

エンジン「KLX230ベースだが、ECUを調整」

低・中回転域で扱いやすく、ピックアップの素直な232cc空冷単気筒OHC2バルブエンジンはKLX230系から継承。
そのうえで、ECUのセッティングが調整され、始動時のアイドリング回転数を低くすることで暖機時のエンジン音を低減、大気圧補正の見直しで標高の高い場所におけるパワーフィール向上、低気温時のスロットルレスポンスの改善などが行われている。

また、17インチホイール装着に伴い、リヤスプロケットは45Tから43Tへ変更され二次減速比を最適化。そのほか、SM専用の新型LEDヘッドライトへの変更に合わせ、ジェネレーター容量の変更も行われている(18.0A/5000rpm→16.5A/5000rpm)。

232ccの空冷単気筒エンジンは最高出力19ps/7600rpm、最大トルク1.9kgm/6100rpmの性能。

足まわり「オンロードに合わせた造り込み」

言うまでもなく、KLX230Sの前21インチ/後ろ18インチから、前後17インチホイールへ換装されているのが最も大きな特徴だが、タイヤもスポーツツーリングタイヤに(純正装着はIRC製RX-01)。オンロードではシャープなハンドリングを発揮するという。

フロントサスペンションはインナーチューブ径37mmの倒立フォーク。フロント周りの剛性感アップに貢献するほか、スーパーモタードらしいデザインの一要素にもなっている。
デュアルパーパスモデルのKLX230Sに対し、ストリート向けの特性を狙い、ホイールトラベルは204mmと多めに取られた一方(KLX230Sは158mm)、ブレーキング時のノーズダイブを抑えて安定性を高めた設定となっている。

一方リヤは、窒素ガス封入式シングルショックでプリロード調整機構を持つ、ニューユニトラックリヤサスペンションを装備。ホイールトラベルはKLX230Sと同じ168mm。

ステップはオンロードでの乗り心地を向上させるベく、ラバーパッド付きとなっている。

フロントブレーキは300mmの大径セミフローティングペタルディスク(KLX230Sは265mm径)+ツインピストンキャリパーの組み合わせ。十分な制動力を発揮するのみならず、スーパーモタードらしいルックスにも貢献している。
一方リヤブレーキは、KLX230Sと同等の220mm径シングルペタルディスク+シングルピストンキャリパーの組み合わせ。前後ともにABSを装備する。

フロントタイヤのサイズは110/70-17。
リヤタイヤのサイズは120/70-17。

カワサキ KLX230SM主要諸元

[エンジン・性能]
種類:空冷4サイクルOHC2バルブ単気筒 ボア・ストローク:67.0×66.0mm 総排気量:232cc 最高出力:14kW(19ps)/7600rpm 最大トルク:19Nm(1.9kgm)/6100rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2050 全幅:835 全高:1120 ホイールベース:1375 シート高:845(各mm) タイヤサイズ:F110/70-17 R120/70-17 車両重量:136kg 燃料タンク容量:7.4L
[車体色]
エボニー
[価格]
57万2000円

なお、純正アクセサリーとして、スキッドプレート、フレームカバー、ハンドガード、ファットタイプハンドルバー、リヤキャリア、ハンドルバーパッドなどを用意。また、アクセサリーのリヤキャリア内に収納可能なアンテナ別体型のETC2.0車載器キットも、オプションで用意されている。

まとめ●阪本一史 写真●カワサキ/八重洲出版 編集●上野茂岐

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