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きっかけはホンダ X-ADV/ADV150?「SUVスクーター」が世界的に増加中
クルマの世界で今や人気&定番となったジャンル「SUV」。
ご存知の方も多いかと思いますがSUVとは「Sport Utility Vehicle」の略で、「スポーティでありながら多目的に使える乗り物」という意味になります。具体的には、高めの車高や4WD機構などでいわゆる乗用車より高い走破性を有しつつ、日常での快適性や実用性も備えているのが特徴です。
そんなSUVのテイストを感じさせるスクーターが世界的に増加中。我々モーサイwebではかねてからこのトレンドに注目しており、勝手ながら「SUVスクーター」というジャンルで呼ぶことにしてきました。それらの中には、サスペンションを伸ばして最低地上高を高めていたり、ブロックパターンタイヤを履いていたりと、実際の未舗装路走破性が考えられているモデルも少なくありません。
その先駆けとなったのは、ホンダが2017年に発売した初代X-ADV、2020年に発売したADV150だと思われます(*)。
ホンダ ADV150(2020年発売)

いや、オフロード系スクーターといえばBW’SやディオXRバハなど昔にもあったじゃないか、という声もありますが、それらはどちらかと言うとオフロードバイクのテイストをスクーターと融合させたものと言えるでしょう。
一方、我々がSUVスクーターと位置づけるモデルは、コンセプトとして「四輪のSUVの要素を取り入れた」と公言しているものや、シティーユースを意識したデザイン・使い勝手を備えているものです。
*註:ホンダ X-ADVはNC750シリーズのプラットフォームから生まれたモデルで、トランスミッションはCVTではなくDCTを採用。ホンダはスクーターのデザインと実用性を備えたモーターサイクルであり「大型クロスオーバーモデル」と位置づけていますが、当記事ではSUVスクーターの源流のひとつとしています。
ホンダ ADV350(写真は2025年モデル)

アプリリア SR GT200/125(2021年発表)

プジョー XP400GT(2022年発表)

台湾キムコの新型車「CV-R5」はダカールラリーのマシンをイメージ

前置きが少し長くなりましたが、そんなSUVスクーターに新たなモデルが登場。台湾のキムコが2024年11月に開催されたEICMA(ミラノショー)で新型車「CV-R5」を発表しました。
この新型車についてキムコは「急速に成長するADVスクーターセグメントにおける新たなアプローチ」であり、ダカールラリーマシンをイメージしたタフなデザインに、快適性と実用性を盛り込んだモデルとしています。
エンジンは427cc単気筒で、最高出力34.4ps、最大トルク4.0kgmのスペック。電子制御スロットルを採用しており、エンジン特性の切り替えが可能。トラクションコントロールも装備されます。
車重は210kgとなり、シート高は800mm。シート下にはフルフェイスヘルメットが収納できるトランクスペースが設けられます。




注目は車体構成。フロントフォークは倒立式でモーターサイクル同様にハンドルトップブリッジまで繋がったタイプとなっているほか、リヤサスペンション懸架がスイングアーム式でチェーン駆動を採用している点です。
このあたりを見るとスポーティな走りが期待できそうですが、キムコが発表した資料には「デイリーユースでの快適性と安定した走りを重視し、サスペンションはソフトなセッティング」という記述も。どちらかと言えばオンロード重視のシティSUV的なモデルなのでしょうか。



現状、詳細なスペックなどは公開されておらずプロトタイプ的なものと思われますが、EICMAの会場で実車を見る限り、すぐに市販されてもおかしくないような雰囲気を感じました。
とはいえ、427ccという排気量は日本市場では大型二輪免許が必要となってしまうので、正直日本への導入は難しいと思いますが……。
ちなみに…キムコには320ccと125ccのSUVスクーター「DTX」シリーズが既にある
なお、キムコは既にSUVスクーターとして「DTX」シリーズをラインアップしています。320ccと125ccの排気量があり、そのコンセプトは「アドベンチャークロスオーバー」。通勤や街乗りだけでなく、休日にはレジャーも楽しめるというのをセールスポイントとしています(どちらも日本未導入)。

まとめ●モーサイ編集部・上野 写真●キムコ/モーサイ編集部・上野