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見た目は過激でも……ヤマハ「3代目MT-07」はフレンドリーなストリートファイターだ!

MT-07 ヤマハ 2022 2023

MT-07はヤマハ 「CP2」エンジンの原点モデル

1970年代から4ストパラレルツインの魅力を追求してきたヤマハ。
クランク位相角が270度のパラレルツイン(並列2気筒)を、近年の同社はCP2=クロスプレーン2気筒と称している。もっともこの呼称を使用する以前から、ヤマハは他メーカーに先駆ける形でクランク位相角が270度のパラレルツインを実用化し、量産第1号車は1995年型TRX850、第2号車は1996年に仕様変更を受けたTDM850、第3号車は10年にデビューしたXT1200Zスーパーテネレだった。

そして現在のCP2シリーズの原点は、2014年から発売が始まったMT-07(700cc並列2気筒)である。そんなMT-07の登場前夜を振り返ると、僕を含めた多くのライダーは、一足先に市場に投入されたMT-09(900cc並列3気筒)の弟分的なキャラクターを想像していた……のではないかと思う。とはいえ、クロスプレーンコンセプトを共有していても、2台は完全な別物だった。

MT-07 初代 ヤマハ 2014
2014年に発売された初代MT-07
初代MT-07の688cc並列2気筒エンジン。クランク位相角は270度で、ヤマハはCP2エンジンと呼称している。

初代MT-07の688cc並列2気筒エンジン。最高出力73ps、最大トルク67Nm(6.8kgm)の性能は現行型まで変わらず。

具体的な話をするなら、アグレッシブなストリートファイターのMT-09に対して、MT-07はフレンドリーなオールラウンダー。その差異をどう受け止めるかは人それぞれだったものの、各車各様のキャラクター設定は大正解で、2台のMTは世界中で大ヒットを記録。以後はXSRやトレーサー、テネレ700、YZF-R7といった派生機種が追加され、MT-09は2017に2代目、2021年に3代目に、MT-07は2018年に2代目、2021年には3代目へ進化している。

なお2台のMTの進化の方向性は、お互いの距離を縮めていくかのような展開で、MT-09が世代を重ねるごとにフレンドリーになったのに対して、MT-07は徐々にストリートファイター色が強めている。そして初代MT-07の抜群の親しみやすさや、80年代以前の旧車に通じる優しさに感銘を受けた身としては、2代目以降の進化には違和感を覚えなくもなかった。

ところが、最新のCP2エンジンシリーズ全車(MT-07、XSR700、テネレ700、YZF-R7)を同条件で試乗したところ、僕の現行MT-07に対する印象はガラリと変化。コレはコレで大いにアリ!!という気がしてきたのだ。

現行型=3代目MT-07 2023年は2022年型が継続販売される。価格は83万6000円。

MT-07の大きな魅力「軽さと小さ」 車重184kgで、ホイールベース1400mm

久しぶりに乗ったMT-07で、僕が改めて感心したのは軽さと小ささ。初代と比較すればガソリンタンクカバー周辺はボリューミーになっているし、リラックスした乗車姿勢を求めてハンドルをワイド&アップ化した現行モデルは、当初の凝縮感が弱まっているけれど、それでも他メーカーのライバル勢と比べれば十分に軽くてコンパクト。1400mmのホイールベースと184kgの車重は、同価格帯のミドルクラスの中では最短にして最軽量。この感触なら、エントリーユーザーや小柄なライダーも不安を感じることはないだろう。

それに続いて僕がグッと来たのは、扱いやすくて抑揚に富んだエンジンフィーリング。近年のミドルクラスの基準で考えれば、73psの最高出力と67Nm(6.8kgm)の最大トルクは取るに足らない数値だし、昨今ではヤマハ以外のメーカーも270度位相クランクのパラレルツインを採用しているのだが、トラクションのわかりやすさや2気筒ならではの鼓動感という面では、やっぱり長きに渡ってこの形式のエンジンを手がけて来たヤマハに一日の長があると思う。

では僕が違和感を抱いていた現行モデルのキャラクターはどうかと言うと、乗り始めてしばらくはこれまでと同様に微妙な戸惑いを感じた。とはいえ兄弟車と同条件で比較することで、スロットルとブレーキを用いた車体姿勢の変化の起こしやすさ、CP2シリーズで最も軽快なハンドリング、YZF-R7を凌駕する常用域での旋回性など、今回の試乗では3代目MT-07ならではの魅力を実感。

ヤマハ MT-07

さらにはXSR700が、初代MT-07と同様の資質を維持している事実を認識したことで、兄弟車との差別化を考えれば、MT-07がストリートファイター路線に舵を切ったのは自然な流れだったのではないか──と思えて来たのである。
ただし、初代と比べればスポーティでアグレッシブな特性になっても、MT-07は決して乗り手を選ぶバイクではないし、オールラウンダーとしての資質が失われたわけでもない。と言うより、805mmのシート高や前述した車重の軽さを考えれば、MT-07はCP2シリーズで最も親しみやすいモデルなのだ。

ヤマハCP2エンジン搭載車のシート高/車重

MT-07:805mm/184kg
XSR700:835mm/188kg
YZF-R7:835mm/188kg
テネレ700:875mm/205kg

最新ヤマハ「CP2エンジン」搭載車。左からMT-07、テネレ700、XSR700、YZF-R7。

レポート●中村友彦 写真●岡 拓/ヤマハ 編集●上野茂岐

ヤマハ MT-07主要諸元

【エンジン・性能】
種類:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:80.0×68.5mm 総排気量:688cc 最高出力:54kW<73ps>/8,750rpm 最大トルク:67Nm<6.8kgm>/6,500rpm 燃料タンク容量:13L WMTCモード燃料消費率:24.6km/L 変速機:6段リターン

【寸法・重量】
全長:2,085 全幅:780 全高:1,105 ホイールベース:1,400 シート高:805(各mm) 車両重量:184kg タイヤサイズ:F120/70ZR17 R180/55ZR17

【価格】
83万6000円

【車体色】
パステルダークグレー、ディープパープリッシュブルーメタリックC、マットダークグレーメタリック6

パステルダークグレー
ディープパープリッシュブルーメタリックC
マットダークグレーメタリック6

ヤマハ MT-07の機能&特徴

■独創的にしてコンパクトなフロントデザインはMT-09とよく似ているものの、実は各車専用設計。ヘッドライトはロービームとハイビームを一体型とした「バイファンクションLED」となっている。

■スチール製のフレームは、エンジンを強度部材として使用するダイヤモンドタイプ。ライダーの足元をできるだけスリムにするため、スイングアームは外支持式を選択。

■2代目まではウェーブタイプだった前後ブレーキディスクは、3代目ではオーソドックスな円型に変更。フロントは外径を282→298mmに拡大している(リヤは初代、2代目と同じ245mm)。純正指定タイヤはミシュラン・ロード5。

■テーパー形状のハンドルはアルミ製。ネガ表示のLCDマルチファンクションメーターは、ハンドルクランプの上にマウントされている。樹脂製タンクカバーは3分割式。

■シートは前後分割式で、タンデムシート裏面には格納式の荷物積載用ベルトが備わる。左タンデムステップ基部に見えるヘルメットホルダーは、日本仕様ならではの装備。

CONTACT

■YSP(ヤマハ モーターサイクル スポーツ プラザ)

https://ysp-shop.com/

 

■ヤマハ発動機(バイク・スクーター)

https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/

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