ヤマハ純正オイルブランドとして半世紀以上の歴史を持つヤマルーブ(YAMALUBE)。その多彩な4ストエンジンオイル群の中で2015年から最高峰に君臨するRS4GPが、2023年にリニューアルされた。
従来品と同じくベースオイルは100%化学合成油。新RS4GPは「より体感できる性能向上」をテーマに掲げ、エンジンレスポンスやシフト&クラッチフィーリングの向上と、それらが長期間持続する耐久性が追求されている。
これを実現するため、ベースオイルの低粘度化に加え、添加剤に最新の粘度指数向上剤を採用することで従来と同じ10W-40の粘度グレードを維持しつつ、実用領域では低温側のさらなる低粘度化も達成。40度動粘度は旧RS4GPやレースユースを視野に入れた他社製の5W-30と同程度で、逆に100度動粘度はそれらより高い。
最新粘度指数向上剤の導入によるもうひとつの効果で、耐せん断性も飛躍的に向上。エンジンオイルがせん断を受けると粘度が低下して性能が落ちるが、新RS4GPはオイル交換時期まで安定した高性能を保つことができる。
レーサーにも対応するオイルだが、温度による粘度変化やせん断による粘度劣化が少ないという長所は、さまざまな環境で長距離を走るツアラーにも向く。もちろん、ヤマハ車以外にも使えるぞ!
ヤマルーブ RS4GP
オイル粘度とは?
エンジンオイルの粘度は米国自動車技術者協会が定めるSAE粘度グレードで示される。現在はマルチグレードオイルが主流なので「10W-40」のように表記。前半の数字が低い方が低温でも柔らかく、後半の数字が大きいと高温でも硬さを保つ。
ライター田宮がリニューアルしたRS4GPのフィーリングをチェック!
生産終了モデルのヤマハ トリッカー(249cc空冷単気筒エンジン)に、新RS4GPを入れてみた。ハイグレードな他社製10W-40からの交換だったが、まず気づいたのは始動性の改善。セルスイッチを押している時間は明らかに短くなった。始動直後のシフトタッチもスムーズになったが、それ以上に違うと感じたのは低中回転域の滑らかさ。エンジンの雑味が減ったような印象を受けた。
ちなみに、トリッカーのような小排気量帯の空冷エンジンは、非力で高回転を多用しがちなので熱を持ちやすい。つまりエンジンオイルには過酷な環境であり、新RS4GPの優れた耐久性も魅力だ。
report●田宮 徹 photo●永田まさお/編集部