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常時点滅する一灯式の信号機、赤点滅は「一時停止」の義務あり
交通量の少ない細い道路同士の交差点や農村地帯の十字路等で常時点滅する一灯式の信号機を見たことがあるでしょうか。出会い頭事故防止のために設置されていて、ドライバーに交差点を通行する際の注意を促しています。
いくつかタイプがありますが、一番スタンダードなタイプは下の写真のような2方向が黄点滅、残りの2方向が赤点滅となっており、黄点滅側が優先道路で他の交通に注意して進行することができ、赤点滅側が一時停止の義務があります。
初めて設置されたのは福岡県
この4方向に設置された一灯式の信号機は福岡県で初めて設置され、その後全国的に増加していきました。発祥の地である福岡県では現在でもたくさんの一灯式の信号機を見ることができますが、この一灯式の信号機では各都道府県で好き嫌いが分かれ、たくさんある県もあれば、ほとんど見かけない県もあり、設置されている数にはかなり偏りがあります。
また基本的に通常の信号機を設置するほどの交通量がない路地や農道の交差点に設置されることが多く、幅員の広い主要な幹線道路に設置されていることはまずないため、ドライバーにとっての認知が薄いのが現状となっています。(個人的意見としては道交法施行令第二条“信号の意味等”にて信号機の黄点の灯火の点滅、赤色の灯火の点滅自体は定義されており、ドライバーの方々にはしっかり把握してほしいところではありますが、一灯式の信号機自体が見慣れないという感覚もあるのかもしれません)。
減りつつある一灯式の信号機、警察庁も「撤去進める方針」
この一灯式信号機はドライバーからの認知の薄さに加え、一時停止標識で代替が利くこともあり、全国的に撤去が進んでいます。
2015年12月には警察庁から出された「『信号機設置の指針』の制定について(通達)」の5(2)に、「一灯点滅式信号機その他の常に灯火の点滅を行っている信号機については、一時停止の交通規制その他の対策により代替が可能な場合は、信号機の撤去を検討するものとする。」と記載があり、この指針は現在でも継続(指針の有効期限は2026年3月31日までに設定されていますが、延長される可能性もあります)されています。実際一灯式の点滅信号を撤去したほうが交通事故が減少したという報告もあったりと信号機マニアにとっては残念ではありますが、今後も撤去されていくのはやむなしかなと考えております。
実は様々なバリエーションがある一灯式信号機
ところでこの一灯式の信号機にはバリエーションがあり、なかにはユニークなものもあるのでここでいくつか紹介します。
まずひとつ目が下の写真のような宮城県や滋賀県等で時折見かける4方向全てが赤となっている一灯式の信号機です(ただし宮城県では現在はほとんどが撤去済)。4方向全てが赤点滅現示ということになり、優先道路はなく全ての方向の車両に一時停止の義務があるということになります。こういった交差点は一灯式のある交差点だけでなく止まれ標識がある交差点でも全方向止まれとなっているところがあり、点滅式の信号機であっても一時停止の標識であっても意味は同じでいずれも一時停止後譲り合いながら交差点に進入することを促しています。
次は筆者の地元、北海道によくある一灯式の信号機で下の写真のような赤点滅側にのみ白と緑の背面板が付いている信号機です。こちらは意味合いは通常の4方向の一灯点滅と同じですが、一時停止義務のある赤点滅側のみ信号機を目立たせるため、背面板を設置していると思われます。
他にも五差路にある下の1枚目の写真のような5方向の一灯式の信号機や、逆に丁字路にある下の2枚目、3枚目の写真のような3方向の一灯式の信号機、さらに島根県大田市には下の4枚目、5枚目の写真のような通常よく見る信号機のレンズ(色が点灯している部分)の1.5倍〜2.25倍サイズの直径450mm(通常は250mmか300mmが主流でさらに一灯式は200mmのものも多い)の非常に大きな一灯式の信号機があったりとバリエーションが豊富でマニアとしては探すのが楽しいです。
撤去が進む一灯式信号機。一時停止標識に取って代わられ、今後見ることは減っていくと思いますが、撤去するにしても残すにしても、少しでもその交差点の交通状況にあった形態の交差点となり、交通事故の減少に繋がることを願っています。
注1:ここで取り上げた一灯式の信号機はあくまでも通常の3灯式の信号機がない交差点に設置されている信号機で、3灯式の信号機がある交差点にある交通量の少ない道路向けの赤の一灯式や、予告信号として設置されている黄の一灯式の信号機は除外して紹介しています。
注2:上記で記述の通り、一灯式の信号機の撤去が著しいため、ここで紹介している写真のものも既に撤去されている場合があります。
レポート/写真●信号機マニア・丹羽拳士朗 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実