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2021年に起こった交通事情を振り返る
新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、不要不急の外出を控えるなどの要請があったほか、学校の休校やイベント自粛など、2021年は多くの人のライフスタイルが激変した一年になったかと思われます。
人が密集してしまう電車を利用するのではなく、手軽に乗れるスクーターで通勤したり、実証実験が行われている影響もあってか電動キックボードを利用する人などが増えました。
一方、コロナ禍によってガラガラになった首都高を走る「ルーレット族」が増えるといった問題も……。
2022年も新型コロナウイルスよる影響、あるいはこれまでとは違う新たな変化があるのでしょうか。
当記事では2021年に起こった交通関係の出来事を振り返りつつ、アフターコロナの時代が来るとされる2022年の交通事情を元警察官・刑事の鷹橋 公宣さんが予測していきます。
まず、2021年春から初夏にかけて様々なメディアで報道されていたのが「首都高ルーレット族の増加」です。外出自粛や在宅勤務の推進などを背景に交通量が減少したことで、夜間の首都高もガラガラ状態に……。
また、東京オリンピック・パラリンピックの期間には、首都高のマイカー等の通行料金に1000円を上乗せをする「ロードププライシング」が実施されたことも首都高の交通量減少に拍車をかけていました。
そこへ「道が空いていて走りやすい」と集まった「ルーレット族」が首都高を走り回り、さらに、PAなどにその様子を見る人たちまで集まってくるという事態に。
この問題を解決するために、首都高にあるPAの閉鎖、警視庁の取締強化といった対策が講じられたものの、コロナ禍によって娯楽が規制された状況では「暇すぎて運転するくらいしか楽しみがない」と高速道路や首都高を走るドライバーやライダーも少なくなかったようです。
また、2021年秋ごろから年末にかけては例年よりも飲酒運転が増加しました。
緊急事態宣言中は自宅での深酒が原因の飲酒運転が多発し、摘発時のアルコール量も増加。多量にお酒を飲みすぎたまま運転する人が増えたともいいます。
緊急事態宣言が解除された時期になると、飲酒の機会が増えたことで全国的に飲酒運転の摘発数が増え、一部地域ではコロナ禍以前よりも飲酒運転による死亡事故が増加したのです。
いずれにせよ、新型コロナウイルスの感染予防で外出ができず「コロナ疲れ」となり、精神的に参ってしまった結果がもたらしたものだと考えることができます。
2022年は「取締りの強化」と「交通整備」が活発的に!?
では、2022年から警察は新型コロナウイルスがどのような施策を取っていく予定なのでしょうか?
2021年3月、内閣府は交通安全対策の計画を立てるために作成した「第11次交通安全基本計画」によれば、2021年から2015年までに無免許運転や飲酒運転、妨害運転などを重点的に取り締まったり、信号無視や一時不停止なども指導警告をして交通事故死者数を減少させる計画を立てています。
そのほか、歩行者専用道路や標識など、歩行者を保護するための環境整備も次々と進められる予定です。具体的には、生活道路や通学路などで制限速度を30km/hとする「ゾーン30」、2車線道路の中央分離帯として開発された「ワイヤロープ式防護柵」を設置するそうです。
「ワイヤロープ式防護柵」とは、高速道路では正面衝突事故が多いことから設置された防護柵。その特徴として、人力で脱着可能なため設置に伴う工事費用も削減できるほか、従来の防護柵と比べて乗員が受ける衝撃を小さくするので高い安全性を確保しています。
警察では、上記のような設置物を利用して死亡事故を減らしていこうと計画しているのです。
警察の取締りが強化されることは間違いない!
様々な課題が残されたまま、なだれ込むようにスタートを切った2022年。
日本でも新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の市中感染が報告されるなど、まだまだ新型コロナウイルスへの警戒を解くことができない状況ですが、やはり「コロナ禍はひと段落ついた」と気が緩んでいるように見えます。
その背景として、新型コロナウイルスの新規感染者の減少に伴って、飲食店への時短要請がほぼ全面的に終了し、イベントの人数制限も緩和されているため、以前よりも外出する人たちが増えたというのがあると思います。
忘年会・新年会は7割超の企業が開催しない方針を示したそうですが、会社規模でやらなくても個人間で忘年会や新年会を予定している方も少なからずいるでしょう。
また、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、お盆シーズンは帰省を含め、夏休み期間中は県をまたいだ移動を中止する「ロックダウンのような都市封鎖」をした反動もあってか、年末年始の交通事情は例年と比べてかなり混雑することも間違いありません。
今後はコロナ禍でガマンしていたお花見や海水浴のほか、大人数でキャンプするなど人の動きが活発的になるため、渋滞も発生して交通事故が増加する危険性があるでしょう。
このように交通事故や違反が増加するのだから、警察の取締りが強化されるのは当然です。
加えて、昨今メディアに取り上げられるなどして問題が広く認識されたあおり運転(妨害運転)の取締りもより一層強化されることは間違いありません。
とはいえ、無謀運転や飲酒運転を繰り返す人の数は、コロナ禍のピーク時より減少が予測されるものの、急激に減少するとまではいかないかと思われます。
2022年も交通事故を起こさず無事に乗り切るためには、気を引き締めて運転をする……だけでは物足りません。
過度なスピードを出したり、信号を待たずに発進する人など、久々の外出で注意力が散漫になっている人がいないか、ある程度の注意を払うことも自分や家族の身を守るために大切な心構えになってくるはずです。
レポート●鷹橋 公宣 編集●モーサイ編集部・小泉元暉

元警察官・刑事のwebライター。
現職時代は知能犯刑事として勤務。退職後は法律事務所のコンテンツ執筆のほか、noteでは元刑事の経験を活かした役立つ情報などを発信している。