目次
もし、高速道路で落とし物をしてしまったら、あなたはどうしますか?スマホの固定が甘かったことに気付いたり、ズボンから財布が落ちそうだったり、シートに積んだ荷物のぐらつきを感じたり……走行中にヒヤリとした事は誰でもあるはずです。一般道であればいったん停車して荷物を固定しなおす、万が一落としてしまっても拾いに行く、という行動が取れますが高速道路ではなかなかそうはいきません。
「あっ荷物が落ちた!どうしよう!?」と、気づいた瞬間は焦ってしまうものです。しかし一般道と同じように拾いに行く行為は非常に危険。いざという時に冷静に対処できるよう、どうしたらよいか知っておきましょう。
路肩に停車し、自分では拾わずに道路管制センターに通報
財布やスマホ等、大事なものは特に急いで拾いに行きたくなりますが、まずは他の車両の妨げにならないよう安全にスピードを落として路肩に停車。そして自分で取りに行くのではなく、非常電話・道路緊急ダイヤル(#9910)で道路管制センターに通報してください。
通報時には落とし物の特徴、落とした場所を具体的に伝えましょう。似たような景色が続く高速道路でも、100m間隔で設置されているキロポスト(路線における起点からの距離を示す標識)等の情報を伝えることで具体的な場所を知らせる事ができます。
通報を受けるとNEXCO交通管理隊や首都高パトロールなど、高速道路・自動車専用道路の保守を担う部隊が出動し、落とし物を回収してくれます。
回収物の引き渡し等については状況によって異なるため、通報時に確認・相談し、指示に従いましょう。
しかし落としたのが道路である以上、落とし物が無事に回収できる保証はありません。走行前に荷物はしっかり固定されているか、ライディングジャケットのポケットやシートバックのファスナーが締まっているか、必ず確認しておくことが大前提です。
なお、停車する場所にも細心の注意が必要です。例えば「非常駐車帯」と書かれている場所は駐停車禁止であり、非常時以外の駐停車は認められていません。あくまでも故障車・道路管理車両などが停車することがこの駐車帯の目的であり、 単に「落とし物をした」というのは“非常時”に当てはまらないと判断されることが多いため、駐停車は交通違反(反則点2点・罰金7000円・二輪車の場合)になってしまいます。
通報手段がない場合、安全な停車が難しい場合は最寄りの料金所まで進む
停車して通報することががスムーズに行かない場合でも大丈夫!焦らないでください。高速道路には非常電話が1km(トンネル内は200m)おきに、またサービスエリア・パーキングエリアにも設置されています。料金所の係員に直接報告をするという通報手段もあります。
なのでスマホを落としてしまった場合や、道が混んでいて安全な停車が難しい場合は、いったん最寄りのSA・PA・料金所まで進みましょう。後で通報することを念頭に、可能であれば標識やキロポストなど落としてしまった地点を伝える際に役立つものを覚えておくと回収がスムーズです。
どこで落としたのか地点が曖昧……という場合でも、まずは冷静に通報。
回収できないと決まったわけではありません。
パトロール中の交通管理隊が発見・回収できれば警察署に届けられます。
落下地点が非常に離れていたり、発見に時間がかかったりして本人が既に遠くへ行ってしまっていても、回収されていれば通常の落とし物と同じように警察署で引き取りができます。
1日700件以上!?実は毎日たくさん発生している落とし物
実は、高速道路の落とし物は毎日たくさん発生しています。国土交通省が発表する「高速道路会社の落下物処理件数」は年間約32万1000件(令和3年度)。1日あたりに均すと約880件です。
落下物はスマホや財布といった小さなものだけでなく、時には貨物車両の積載物といった大きなものも。バイクが踏むと即・命取りになる落下物も意外と多いため、気に留めておきましょう。
大きな落下物がある場合など、他の車両にとって危険度が高いケースでは電光掲示板に”落下物注意”といった警告が表示されています。
それら落下物を迅速に発見・回収するため、NEXCO交通管理隊や首都高パトロールなど、高速道路・自動車専用道路の保守を担う部隊は常にパトロールをしています。いつも黄色いパトロールカーを見かけるのはそのためだったんですね。
停車して通報がキホン!! 落とした場所を正確に伝えることで発見率UP
高速道路で落とし物をしてしまったら?
①路肩に停車し、道路管制センターに通報(#9910)
非常駐車帯には停車しない
②停車が難しければ、最寄りの料金所・PA・SAに進んでから通報
連絡手段を持っていなくても非常電話等で通報できます
③回収物の引き渡しについては、通報時に確認・相談し、指示に従う
※高速道路には毎日たくさんの落とし物が。自分が落としていなくても注意!
バイクは「車内」という概念が実質的に無く、構造的に落とし物をしやすい乗り物です。荷物が落ちないよう気を付けるのはもちろんですが、もしもの時も慌てずに。
一緒に走っている仲間が高速道路で落とし物をしてしまった際も、冷静にサポートしてあげたいですね!
レポート●穂高いずる 写真●モーサイ編集部/NEXCO中日本