バイクライフ

形には意味がある! ファッション業界気鋭のブランド『セヴシグ』が語る「バイカーのためのライダース」とは

自身も超バイク好き! セブシグのデザイナー・NORIさんにインタビュー

ライダースジャケットはバイクと切っても切り離せないファッションアイコン。バイカーなら誰しも一着は持っている、あるいは購入を考えているアイテムではないでしょうか。
最近ではストリートでもライダースジャケットの存在感がマシマシなので、いざセレクトするにしても目移りすることしきり。どんなライダースを選んだらいいのか、カッコよく着こなすにはどんなポイントをチェックすべきか、迷っているバイカーも少なくないでしょう。

そこで、モーサイwebではファッション業界でもバイクに寄っていることでも定評のあるセヴシグ(SEVESKIG)のデザイナー、NORI(ノリ)さんにインタビュー。ご自身もカフェカスタムされたCBX(1000)など数台を所有するバイカーなので、お話はとてもリアルで示唆に富んだものですよ!

■セヴシグのデザイナーにして代表をつとめるNORIさんこと長野剛識さん。暑くなければ、毎日でもライダースジャケットをはおり、自慢の愛車で原宿のアトリエに通っているそうです。インタビュー当日は、ホンダの6気筒エンジンを搭載したCBXが圧倒的な存在感を放っていました。

シングルかダブルか、重い方がいいのか

──まず始めに、ライダースジャケットを選ぶとき、シングルかダブルかで迷うことがあるかと思います。デザイナー目線ではどうなりますか?

NORI:僕自身バイクに乗るときはもちろん、暑くなければほとんど毎日ライダースジャケットを着ていますが、やっぱり着るのはダブルですね。「打あい」といって、あわせの部分が重なることで防風性が保てるので、バイカーに向いていると思います。ただ、お客様の中にはダブルはロッカーとかやんちゃ系のテイストがあるので好きじゃない、という方もいらっしゃいます。そういった場合は、シングルでも構わないと思いますが、ライダースとしての機能面も頭に入れてもらえればと思います。

──なるほど! では、ダブルでもシングルでもライダースを選ぶ際にどんなポイントをチェックすべきでしょうか?

NORI:ウチでは既製品も販売していますが、僕自身がすべての製作工程を担う「丸縫い」、いわゆるフルオーダーも行っています。その場合、数多くのポイントを吟味しながらオーダーに応えるように作るのですが、重要なことは「重すぎない」「硬すぎない」そして「可動域」このあたりじゃないでしょうか。

──重い、というとバイカー向けのライダースはたいていズッシリとした重量感があって、それが「守られてる感」につながる気もしますが。

NORI:たしかにそういう面もあるかと思いますが、重すぎると着るのがイヤになっちゃいませんか(笑)。バイクに乗っていても、疲れてしまっては意味がないでしょう。厚手の革はそれなりの重量感もあるものですが、重すぎるものは選ばない方が長く着られるはずです。

──では、硬すぎないというポイントですが、レザージャケットは着ているうちに柔らかくなるというか、馴染んでくるものではありませんか?

NORI:昔のヴァンソンやショットではずいぶん硬い革のジャケットがありましたが、ウチの場合は「芯を残した革」を使うようにして、着たときのピシッとした感触を保ちつつ、硬すぎて背中が痛くなるようなことがないようにしています。革の鞣(なめ)し方にもこだわり、街中で着るようなテロテロした感触でなく、背筋がシャキッとする感覚といったらいいでしょうかね。また、革は着こんでいるうちに馴染んでくるものですが、それでも芯というか、しっかりした手ざわりが劣化しないようなものが理想的です。

──そして、可動域というとバイカーゆえの肩甲骨や脇腹あたりですか?

NORI:そうですね。背中を丸めたり、脇をしめたり、バイカーの動きを計算して作るのがライダースジャケットですから、試着の際はいろいろな姿勢を試してみるのがいいでしょう。きちんとフィットしていても、アクションプリーツなどで可動域が確保されたデザインならば長時間のライディングでも疲れることはありません。

■ショールームの奥には工業用ミシンがおかれ、スペシャルオーダーの際にNORIさん自身が丸縫い(全行程)をする仕事場となっています。言うまでもなく、一般的なファッションブランドには望むべくもないテクニック&クオリティ。ご興味ある方、ぜひセヴシグまでお問い合わせください。

ライダースを着て実際バイクに乗るなら気にしたいところ

──ライダースジャケットのデザインは昔から変わらない普遍的な面があると思いますが、セヴシグのライダースジャケットはやっぱりカッコいい。工夫されているポイントなどはありますか?

NORI:はじめにお話ししたとおり暑いときは着ない前提なので、まずは風が入り込まない防風性を大切にして、僕自身がカフェカスタムしたバイクに乗るので、前傾姿勢を意識したデザイン、つまり丈が少し長く、背中側の襟が高くならないようにしています。これは背広でいう「ゴージ」にあたるのですが、あまり高すぎるとライディング中にあたって首の後ろが痛くなってしまうのです。
あとは風でバタつかないよう、フィット感も欠かせません。ゆるいとバタバタして運転に集中もできませんからね。それから、バイクを傷つけないよう、金具はできるだけなくしています。

──ライダースジャケットのポケットというと妙な位置にあって、実用性が薄い気がするのですが?

NORI:昔のルイスレザーや、ヴァンソンはデザインを優先しているのか、独特なポケット位置ですよね。ウチではオーダーでも受けるのですが前身ごろにあるDポケットの形状を大きくしたり、グローブをしたままでも開閉しやすい両玉ファスナーを使うなど、実用性をしっかり確保しています。カフェレーサーは積載性なんて皆無だし、できるだけジャケットのポケットが使えるようにしておきたいのです。

──レザージャケットの場合、雨に濡れたり、日ごろのお手入れが気になる方も多いと思います。やはりメンテナンスやケアはこまめにしたほうがいいのでしょうか?

NORI:ウチの革は買った後のことも考えて作っているので、こまめなケアなどは不要です。鞣す際にたっぷりと質のいいオイルを染みこませているので……そうですね10年はノーケアで大丈夫。なので、お客様へのアドバイスとしてなるべく長く着てくださいとお願いしています。革は放っておけば、内部のオイルだけが消耗していって硬くなり、パサついてくるもの。それをヒトが着ることで、汗などに含まれる油分を革が吸収してくれるのです。
よく、買ってすぐにオイルを馴染ませたりする方がいらっしゃいますが、それをすると今度は内部でオイルが余ってしまい、表面に白っぽく浮き出してしまうこともありますのでご注意いただきたいポイントです。

■鹿革をつかったライダースジャケット。独特のシボ(革独特の表面のシワ)や芯があるのに柔らかなタッチが特徴。また、防風性に優れ、かつ首の後ろが痛くならない襟の高さもセヴシグならではの逸品です。

■セヴシグが作るライダースジャケットはさまざまな素材を駆使しながら、バイカー目線の実用性も嬉しいポイント。大きめに作られたDポケットは、グローブをしていても出し入れがしやすい形状で、使い勝手も抜群です。

セブシグがバイクにこだわる理由「デザイナー自身の経験を反映」

──セヴシグのライダースジャケットは牛革だけでなく、鹿やヒグマといった珍しい素材を使っているのも特徴ですね。

NORI:いずれもライダースジャケットに適したもので、しかも表面のシボにそれぞれ特徴があるので好んで使っています。たとえば、鹿革はそもそも柔らかく、繊維が引き締まっているんです。すると、鞣す際に渋を多めに使ってしっかりした手ざわりに仕立てたとしても、着ればすぐに柔らかく馴染んでくれるのです。しかも、はじめの芯が失われることはないのでオーダーでも人気があります。
僕の祖父が猟師だったこともあって、幼いころからそういったジビエ系の革に親しみがあるんです。また、それらの革は北海道で害獣駆除として得られたものを仕入れていて、命あるものを最後まで使わせていただく、というのも祖父に習った考え方なのです。

──最後になりますが、セヴシグというファッションブランドと、ライダースジャケットやバイクとのつながりについてお聞かせください。

NORI:そもそもセヴシグを立ち上げたとき、僕はバイクの免許すら持っていなかったんです。それで、レザーブランドなのにバイクやロックとつながりがないというのは、いくらなんでもダメだろうと言われまして(笑)。
それと、革屋さんと仕事をするときも移動の手段が電車だけというのも心もとない。それで、アトリエのそばにあったバイク屋さんを紹介してもらい、最初にCRM250を手に入れたのです。これは、「シャア専用CRM」をイメージして徹底的にカスタムしたのですが、やはり遠くへ行くのに大型免許を取ることにしました。
で、V型エンジンを縦置きというのが気に入ってGL500を買ったのです。これもかなりカスタムしたのですが、バイク屋さんがデウス(Deus Ex Machina)のカスタムコンテストに応募してくれて、一般投票で一位になったのです。そのあたりからメディアやバイカーから注目されるようになり、僕自身がライダースジャケット大好きということもあって、続いているのじゃないかと思います。

■ライダースジャケットに用いる鹿革のサンプル。鹿は繊維が細かく、密度が高いとのことで、ベジタブルタンニンでしっかり鞣しても芯がありながら硬すぎないタッチに仕上がるのだとか。手ざわりも高級感と温もりがあるもので、ぜひチャレンジしていただきたいレザーのひとつです。

■ラックの先頭で異様なオーラを放っているのがヒグマの革を存分に使ったヒグマジャンパー、通称「クマジャン」です。また、その手前に下げられているのはクマジャン製作で余った革を使ったポシェット。「命あるものは最後まで無駄にしたくない」というNORIさんのポリシーが生んだ商品なのです。

■CBXのほかにも、CRM250やGL500といったカスタムマシンを所有するNORIさん。最近ではカワサキとのコラボ商品も数多く展開している縁もあって(?)、スーパーチャージャー付きネイキッドのZ H2も手に入れたそうで「ほんと、どこまででも走っていける素晴らしいマシン」と大絶賛。ライダースジャケットも似合いそうなバイクですよね!

■インタビューはショールームで。NORIさんが今シーズンの新作、今治タオルの極上生地を使ったアニマル柄のシャツで登場。「吸湿性がいいだけでなく、肌触りがめちゃくちゃいいんです」セヴシグのデニムともマッチングがよさそうです。


さて、ライダースジャケットについていろいろと語っていただきましたが、そろそろ欲しくなってきたのではありませんか?
初めての一着はもとより、すでに持っている方でもぜひNORIさんのアドバイスを参考にしてください! もちろん、セヴシグを訪れて一着オーダーするのもオススメです。きっと、ステキなライダースジャケットに巡り合えること請け合いですよ。

■ショールームにはライダースジャケットだけでなく、シーズンのコレクションがずらりとラインナップ。ブランドのコンセプト「ありそうでないもの」が一貫され、日本製にこだわったプロダクトは他では得られないものばかり。バイカーはもちろん、バイクに乗らない方も多く訪れる──というのも大いに納得です。

レポート●石橋 寛 写真●USHUN

セヴシグ(SEVESKIG)

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-33-5 パークノヴァ神宮前1F

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