バイクライフ

スズキ&意外なプジョー!実は少ない同ブランド間「クルマ×バイク」コラボモデル

2輪、4輪の兼業メーカーはいくつかあるが、同じバッジをつけていてもなかなかクルマとバイクの繋がりをユーザーが感じられないというのも事実。だが、2輪が持つスポーティーなイメージを4輪に、4輪が培った研究データを2輪に使うといった手法が近頃見られるようなってきた。モーターショーで2輪、4輪が同じブースに置かれるのも今では当たり前に。
タイヤの数に関係なく、ユーザーにブランドイメージを訴求している。

スズキ スイフトはカタナやMotoGPマシンとコラボ

1920年3月鈴木式織機株式会社として始まったスズキは、1953年にパワーフリー号で2輪に、1955年にスズライトで4輪事業に進出。これに加え現在では船外機も手掛ける総合メーカーだ。
2020年に創業100周年を迎え、その記念すべき年にロードレース世界選手権MotoGPにおいてジョアン・ミル選手が駆るGSX-RRが年間チャンピオンを獲得したのも記憶に新しい。

そんなスズキは2017年の東京オートサロンで、前年(2016年)のMotoGPマシン「GSX-RR」と同じカラーリングの「スイフト レーサーRS」と、全日本モトクロスIA1クラスで小島庸平選手がゼッケン1を付けて戦った「RM-Z450WS」と同じカラーリングの「イグニス モトクロスエディション」を登場させている。

東京オートサロン2017に出展された参考出品車「スイフト レーサーRS」。
MotoGPマシン「チームスズキ エクスターGSX-RR」イメージのカラーに彩られるほか、17インチアルミホイールや専用シートなどスポーティな装備が与えられている。
東京オートサロン2017に出展された参考出品車「イグニス モトクロッサースタイル」。
全日本モトクロスで活躍するモトクロッサー「RM-Z450WS」イメージのカラーリングをまとい、オフロードタイヤなどを装備している。

さらに、2020年の東京オートサロンでは復活したカタナのカラーリングを施した「スイフトスポーツ カタナエディション」を出展している。
いずれもショーカーだが、「SUZUKI」を感じさせたモデルたち──。
新興国において、まず2輪が先行して販売され、その後浸透した販売網、顧客、イメージを4輪が引き継ぐというケースもあるので、こうした流れが市販モデルに取り入れられる日が近いのかもしれない。

東京オートサロン2020でKATANAと一緒に展示された参考出品車「スイフトスポーツ カタナエディション」。
KATANAの造形をヒントにしたというワイドフェンダーを装備し、KATANAをイメージさせるシルバー×レッドのカラーに彩られている。

プジョーは308ツーリングカーレーサーのイメージをスクーターに注入

2020年に創業210年を迎えたフランスのプジョーも4輪・2輪を手掛けるブランドで、意外かもしれないが、2輪製造を始めたのは1898年からという長き歴史を持つ。現在2輪はプジョー・モトシクルという別部門が担っているが、ライオンのエンブレムが付いたモビリティを作るのは同じ。
皆さんよくご存知の「ライオンマーク」だが、その由来はというと、創業当時に製造・販売していたノコギリに「ライオンの歯のように鋭く丈夫だ」といった宣伝コピーを付けたのがきっかけといわれている。

編集部註:2021年から、4輪/2輪ともライオンの顔がアップになった新ロゴになった。下はプジョー・モトシクルの新しいロゴだが、ライオンのエンブレムは4輪/2輪同様。

4輪と2輪、ライオン同士のコラボはこれまで何度か行われていて、1997年に登場した2サイクルエンジンを搭載のスポーツスクーター「スピードファイト」は当時4輪プジョーが参戦していたWRC(世界ラリー選手権)のマニュファクチャラータイトル3連覇を記念した206WRCカラーや、その後参戦車両が307に変わった後もWRCカラーを用意した。

ちなみに当時プジョーの4輪の車名はすべて数字3ケタで、真ん中はどれもゼロ、始めの数字はクルマのサイズを表し、最後の数字は世代が更新されるたびに増えていた。この法則は80年以上続いてきたのだが、2012年に変更され、最初がサイズ、真ん中はゼロか、ゼロゼロ、最後の数字は新興国向けが1、欧州向けが8に統一された。

ツーリングカーレース参戦を想定したマシンのプジョー 308レーシングカップと、プジョー スピードファイトR-CUP。

現在のスピードファイトは第4世代に更新されエンジンも4サイクルへと変わっているが、レーシングスピリットを受け継ぐカラーは健在で、「R-CUP」というモデルがラインアップされている。
カタログやウェブサイトの画像でスクーターとともに収まるクルマは「308レーシングカップ」。308のスポーツバージョン「308GTi」をベースにプジョーのモータースポーツ担当部門「プジョースポール」が製作したサーキット走行専用車両だ。
プジョーの4輪の純正指定オイルでもあり、各レーシングカテゴリーでプジョーをサポートしてきた石油ブランド「トタル」のイメージ色、赤を取り入れたカラーリングに仕上げられている。

フロントのハンドル下には、フランスの石油ブランド・トタルとプジョーのライオンロゴ──フランスブランドのダブルネームロゴがあしらわれる。

プジョー スピードファイト R-CUP主要諸元

スピードファイト125 R-CUP

【エンジン・性能】
種類:水冷4ストローク単気筒OHC2バルブ ボア×ストローク:52.4mm×57.8mm 総排気量:125cc 最高出力:8.1kW(11PS)/7400rpm 最大トルク:10.8Nm(1.1kgm)/5600rpm 燃料タンク容量:8L 変速機:無段変速式
【寸法・重量】
全長:1895 全幅:700 全高:1150 ホイールベース:── シート高:800(各mm) 車両重量:116kg(乾燥) タイヤサイズ:F130/60-13 R130/60-13
【価格】
36万7400円

プジョー スピードファイト125 R-CUPは11馬力の水冷4サイクルOHC2バルブエンジンを搭載。125はハンドルにスマートフォンホルダーが標準装備される。

スピードファイト50 R-CUP

【エンジン・性能】
種類:空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ ボア×ストローク:37mm×46mm 総排気量:50cc 最高出力:2.64kW(3.6PS)/7500rpm 最大トルク:3.5Nm(0.4kgm)/6500rpm 燃料タンク容量:8L 変速機:無段変速式
【寸法・重量】
全長:1895 全幅:700 全高:1150 ホイールベース:── シート高:800(各mm) 車両重量:100kg(乾燥) タイヤサイズ:F130/60-13 R130/60-13
【価格】
32万8900円

プジョー スピードファイト50 R-CUPは3.6馬力の空冷4サイクルOHC2バルブエンジンを搭載。フロントサスペンションが倒立フォークとなる。

レポート●飯田康博 写真●飯田康博/プジョー・モトシクル/スズキ 編集●上野茂岐

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