バイクライフ

キャブと最新技術が融合!? ケーヒンとミクニの技術展示にワクワクがとまらなかった@東京モーターショー2019

東京モーターショーに行った方、たくさんいると思います。ただ、華やかなコンセプトモデルやニューモデルだけ見て帰っちゃったという人、少なくないんじゃないでしょうか?
ですが「部品・機械器具部門」に、バイク好きがオオッと思ってしまう技術展示が……。

クルマに比べ趣味性の高いバイク世界では「キャブならではの乗り味がたまらない!」という声も聞きますが、原付だって、空冷車だってインジェクションが当たり前となっているこの時代に、なんとキャブレターにまつわる技術展示があったんです。

インジェクション車でもFCRキャブの特性を味わえる!?

まずひとつめは、燃料噴射装置などを手掛けるケーヒン。純正パーツのサプライヤーでもありますが、好きな方は「FCRキャブ」でおなじみですね。
そんなケーヒンが展示を行っていたのが「E-FCRコンセプト」。これはケーヒンのレーシングキャブレターFCRの利点を引き継いだ電子制御式スロットルボディで、キャブレターそのもののようにボディ内に燃料が送り込まれ霧化する部品ではなく、空気の量を決めるパーツとのことでした。

●フラットバルブ+スムーズボアでエンジンパワーを向上。エンジン直上にインジェクターを配置することで、レスポンスも向上させるという「E-FCR」。

 

展示品は1200cc程度のバイク用を想定しているそうで、形状が楕円形になっているのは、最近のエンジンの吸入ポートの形状に合わせた結果だそうです。実装テストなどの段階ではまだないものの、FCRキャブレターの特性である、高レスポンス化、高出力化が期待できる模様。
さらに2つのボディにつき、1つのモーターで制御しているため、気筒休止システムなどへの対応も可能といいます。まだコンセプトということで、市販に関しては全く未定との返事しか会場ではもらえませんでしたが、訪れる人が「FCR」の名称にひかれ興味深くのぞいていく様子に、ケーヒンでも手応えを感じているように見えました。

高性能キャブTMRを電子スロットル対応に!?

ケーヒン同様に燃料噴射装置などを製造するミクニ。こちらは「TMRキャブ」で好きな人にはおなじみですが、ミクニブースにはなんと6連キャブレターが展示されていました。パネルには「プロトタイプ」と書かれていて、新技術の展示とのこと。
クルマの旧車で定番の日産L型エンジンのヘッドに装着されいていたのは、まさにそのレーシングキャブレター、TMR。説明不要の人も多いかもしれませんが、箱型形状のフラットバルブが特徴の高性能キャブレターです。

ミクニは過去にもモーターショーでクルマの旧車用にインジェクションキットを展示したことがありましたが、今回も「何か面白いことを試したいよね」という社内の声でこの企画が始まったそうです。
ブースに置かれたモニターにはTMRキャブが日産S30型フェアレディZのL型3.1Lエンジンに装着され、実際にクローズドサーキットを走る様子が流されていました。

キャブレター本体はバイク用そのもので、口径は41mm径(1000ccクラス用のサイズ)を使っていて、テスト走行したドライバーのコメントによると「すごくパワフルで楽しい!」という。ただし燃費は強烈に悪化したとも……。ちなみに、ダイナモにかけての測定は行っていないそうです。

●ベースのエンジンは旧車でおなじみの日産L型エンジン。

 

テスト走行時はリンケージによるスロットル操作だったものの、展示品版はスロットルがアクチュエーター駆動になっていて、いわゆる電子スロットル対応になっている点が注目のポイント。
スライドバルブのキャブレターはスロットルが張り付いてしまうのが弱点ですが、バイクのように戻り側にもワイヤーを設けて強制開閉式にすることがクルマでは難しく、その解決策として、開け側、戻し側をワイヤーで操作できるよう「電スロ化」したとのことです。
ただ、この仕様ではまだ走行テストしておらず、まったくのショー用で市販化の予定はないとのことでしたが、今後もテストでデータ取りは重ねていくそうです。

●アクチュエーターを組み込んでワイヤー操作に。いわゆる「電スロ」化が行われている。

 

(レポート●飯田康博 まとめ●モーサイ編集部・上野 写真●飯田康博)

 

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