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■ここまで錆落としをしたものの、Vツインの後方が実は穴だらけ。結局狩野溶接さんの「匠の技」で延命処置をすることに。
悩ましき穴空きエキパイ問題から、ひとときの逃避
前号、第4話の終盤で外して調子に乗って磨いていたエキパイに、小さな穴ぼこを多数発見してしまった!
そこで(!?)イヤ~な予感がしたので「見なかった事にしよう♪」と、数日間はほかの作業に没頭したのでした。

車体右側のマフラーを外した内側にはリヤブレーキのマスターシリンダーだの、キック始動に関連した部品など色々ありますが、外側からやれそうな箇所としてマフラーステーと思しき鉄の部材を外してみたり、リヤのマスターシリンダーを外して取り付けの構造や部材の構成を見学(?)してみました。へぇ、こんな風に補強が入ってら……みたいな造りもありました。



そうして部品を外していくと、フレームのステー等の角が面取りされていなかったり、溶接のスパッタがそのまんまになっている部分を発見。掃除ついでにやっておこうと、ベルトサンダー等でちょこちょこと粗い部分を削っておきました。後になって作業した際など、手の切り傷が防げますからね。
サイレンサーを懸架するステーも錆と塗膜の劣化で機関車風味の肌になっていたので削り落とし、磨きっぱなしでは錆びるため錆止めのクリヤーを暫定的に塗装して保管しておきます。
フレーム後部の処置に集中した後で、以前錆を落としてあったタンデムステップのステー部材も再度外してピカピカに研磨。劣化エキパイの悩ましい問題から、いっとき逃避の日々を過ごしたわけです。









劣化エキパイの処置は他力本願しかない? ……いざ、狩野溶接へ!

明らかに自分のやれる範囲を超えた作業は、無理せずプロの技に打開策を委ねる以外に方法はありません。自分でアーク溶接などやろうものなら、致命的な大穴を空けるのは確実なので、今や駆け込み寺のように頼っている都内葛飾区堀切の狩野溶接に連絡を取り、工房にエキパイを持ち込んでみました。「穴ボコ数個の補修ならば、狩野社長が何とかしてくれるだろう♪」と、当初はまだ軽~く考えていたわけです(本当)。
くだんのエキパイを、TIGで使っているタングステンの棒でプスプスつついていた同社の藤枝クンが「これ、ダメなんじゃねーの?」と笑いながらエキパイを振り回して遊んでいるのですが、この男、私と学生時代からのバイク仲間で、実に率直かつ遠慮なくモノを言ってくるのです。
そうして見れば、持ち込んだ時よりも穴ボコがいつの間にか増えてるじゃありませんか。「なんで増えてんだよ?」と目をパチクリしていると狩野社長が「チ~ン!」と終了のテーマを発した。
しかし「いやいや、捨てるわけにはいかないんですよ」と、筆者はすがるような視線を向けるのでした。
かくして、狩野社長の神業が炸裂!
すると、数秒考えるふりをしていた狩野社長。おもむろにノギスでエキパイの寸法を計り(外周ではない)、工房の隅っこから鉄板を引っ張り出してきたのです。

ただの平たい鉄板で何をするつもりなのか、そこからはカメラを構えて作業を見てる(撮ってる)だけの私でした。
エキパイのダメな部分を切り取る前に、切れ目を入れた鉄板をあらかじめエキパイの曲率に重ねて叩き合わせてから、エキパイの劣化部分周辺を切除。その部分にピッタリ合うように点付け溶接をしながら内外から叩き、細かくアールを合わせて切れ目も溶接で塞いでいくという作業となりました。やっぱり、こんな職人芸は私には到底無理でした。















そうして出来上がった、エキパイのリヤバンクの排気口付近。塗装前提の仕上げですが、十分元通りの曲率になって継ぎ目がまるで分からなくなっていました。これは筆者のローライダーに限らず、交換する部品が完全に欠品した車両にも“一筋の光明”的な技と言えそうです。圧巻の出来栄え!
エキパイの問題がこのように解決したので、あとは良い塗料でしっかり塗装するのみ。そんな想像をしていたら、狩野さんが穴空きを恐れて深追い研磨しなかったエキパイの一角を磨いてしまった。同じように磨けという暗黙の指令でしょうね。はい、この後はしっかり塗装させていただきます。 (つづく)


■取材協力
有限会社・狩野溶接工業
https://kano-w.com/
文と写真●小見哲彦
小見哲彦(こみ・てつひこ)
無類のバイク好きカメラマン。 大手通信社や新聞社の報道ライダーを経験してバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。2021年からは、防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を依頼されている。





































