バイクライフ

「FRPダートラシート製作・冬の樹脂作業で格闘する日々」 潮風に当たったエイプをメンテ&カスタム!━━10 【プロカメラマンの作業記録】

■塗装前ですが、ダートラシート加工修正後の接続具合です。タンクの後端からの繋がりにご注目!

ダートラシートの追加加工・厳冬孤軍奮闘記

オーズさんから入手した当初の、ヤマハTZM50R用ダートラシート

こんにちは、カメラマンの小見です。前回はネットオークションでFRP製のミニバイク用ダートラシートを購入したことと、社外品のZ2テールカウルをザッパー風に改造した作業をご覧いただいたと思います。

ザッパー風にいじくり回したシートカウルは、サフを吹いて塗装待ちの状態まで進められたのはいいんですが、今回紹介するダートラシートの追加加工は、樹脂の硬化待ちや削り修正作業の連続で、一層根気の要る作業となりました。

折しも2024年冬の入り。寒くなり始めて、樹脂の硬化も鈍くなる季節。まず、大阪のオーズさんで販売されていたダートラシートは、ヤマハTZM50Rのタンク後端に合わせた先端形状なので、もちろんエイプのタンク後端とはそのままではつながりません。そこで、用意したガラスマットやガラスクロスを追加積層して先端を延長し、少しテーパー状にしてスポーツ的な走行をする際に前後の体重移動がしやすいように加工することに決定。

シート表面の白いゲルコート層を削り、FRPの層が出たところからガラスマットを貼り、樹脂を浸透させつつ空気を抜く作業を実施。さらに、時折ガスバーナーで温かい空気を下から当てて、硬化を促進させてみました。

硬化剤の分量も少し増やす一方、ガスバーナーもちょっとずつ使って温めるという貧乏性な発想で進めます。でも、よく考えたらコーヒーを温めたりラーメンを沸かすガスはどんどん消費してたというのが実情。作業時はまるで頭に浮かびませんでしたが……。

エイプのフレームに載せた場合、荷重のかかりそうな箇所の肉厚を増して強度アップ。ダートラシートの他の部分もあちこち追加積層しておきます
最も手のかかるシート先端部の追加積層作業。中央部のゲルコートを削って積層を開始
シートベースの中央部を、エイプタンクのボルト固定部に合わせるべく徐々に盛り上げていきます
普段はラーメンなどを茹でるガスバーナーで、ガラスクロスの硬化の促進。バーナーは冷えたコーヒーの加熱でも活躍してます
シート側面のほうも、少しずつ幅を増やすように追加積層を開始

積層を続けつつ、はみ出た部分をポリッシャーで面出ししながら削り、タンク後端に合わせるためシート先端を徐々に盛り上げていくうちに、通算40プライ(?)ほども異常に積層をしたかも。応急的な型を作って対処すればそんな無駄をせずに済んだかもしれませんが、その都度タンクと合わせて削る繰り返しになったため仕方なかったようにも思います。しかし、これはかなり時間がかかりました。

いざ固まってみると、あまり上側のほうに膨らんでおらず、落胆しながら削り直し
そこで、しつこく上へ上へと積層を重ね、だんだん丸く積層出来てきた状態
気泡が入ってしまった部分は、樹脂を浸透させたり削ったりの繰り返しで対処
タンク後端の逃げ部分がうまく出来て、喜んで削っていたら穴が空いてしまいました(血涙)
積層の繰り返しでシート先端が伸び過ぎたので、ベルトサンダーで削って時々修正
タンク後端のネジ部がすっぽり収まるように、シート先端側が成形出来たところ
ポリパテをこねこねして、シートの下側のデコボコを慣らしておきました
長くて寒い格闘の作業を経て、やっといい感じで先端のつながりが出来た!

エイプ用フレームへの固定を考え、事前のプチ工作

シートの固定を検討中に、エイプのフレーム側で丁度良さそうな穴を発見。これを固定に利用してみよう
旋盤で両端のネジ径をM6とM8で穴空けして、シートを固定するカラーを製作
実に粗雑ですが、この後ネジ穴加工とバリ取り&研磨を経て固定用のカラーが完成

次なるシートベース製作も、孤軍奮闘なのだ

かくして、ようやくほぼ納得出来る先端形状になったので、次はシート本体も作らなくちゃいけません。サンデーレース用のマシンなら、ウレタン敷きのままでもいいと思うものの、先々ストリートでの使用も視野に入れるなら、表皮で覆いたいところ。ならば、「シートベースもFRPで作りましょ!」ということで、ベースの製作へ進みます。

ひとまず完成したダートラシートにサランラップでカバーをして、その上からガラスマットとクロス、さらには余っていたカーボンマットも動員してシートベースを製作。これが完全に硬化した後、ウレタンを貼り合わせて着座部分のベースを作りました。

さらに、角の部分をなだらかに成形するため、カッターで荒削りしてから電動のベルトサンダーでじわじわ削って肩を整えていきました。

市販のラップを養生テープで留めて、樹脂が直接シートにつかない措置をします
シートの幅以下のベース製作なので、割と気楽にガラスクロスの貼り込んでいきます
4層目くらいまで進めたところで、以前カヤックの改造に使ったカーボンクロスもオマケで積層
ついでに下側もカーボンを貼り、「なんちゃってサンドイッチ構造」にしてみました
その後、外周を容赦なくベルトサンダーでバリバリ削って、着座部分のベースを作ります
着座部分が、でけた♪ この作業のせいで、衣服は粉だらけになりました
「テール形状を斜めにした方が速そうかも?」と、テープを貼った部分から下を最終的にカットすることに

そして、表皮に使ったのはホームセンターで普通に売っていた黒の合皮。ボンドG17(多用途速乾接着剤)を十分乾燥させながら、思いっ切り引っ張っては、ベースと貼り合わせてみました。なかなかの力技で、指も接着剤でベタベタになるので、FRPの作業も含めてアセトンもだいぶ消費しましたよ。

シートのクッションと表皮材料をホームセンター調達。まとめ買いして揃えたところ
シート先端が3次元的に丸いので、クッション材は薄手のものを曲げて重ね貼りします
カッターで端を切っただけでは不揃いでエッジが目立つため、ベルトサンダーで削りつつ整形
エッジが丸く成形でき、だんだん体裁が良くなってきたもんだから、一人で狂喜乱舞
表皮を張る作業。引っ張り過ぎて端が破れそうになったりで、手の力加減がけっこう大変でした
細かいシワが出来ちゃったけど、まあヨシ! シート本体との接合加工は塗装後にやります

今回は塗装編までご覧いただきたかったのですが、シートの作業工程が多かったので、ご了承ください(平伏)。気温が低いと作業も遅延気味になりますね~!    (つづく)

シートベースはハンドルを塗ったブルー系(左)にする予定ですが、外装の下地色は右のシルバーにしよう
サフ塗布後、トヨタ用シルバーメタリック(1F7)をベース色として塗装。シートに時間がかかったけど、あとはマスキングしてライン入れです!

文と写真●小見哲彦

著者プロフィール

小見哲彦(こみ・てつひこ)

無類のバイク好きカメラマン。
大手通信社や新聞社の報道ライダーを経験してバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。2021年からは、防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を依頼されている。

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