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■タイトル写真:「さて、どう料理してくれようか?」喜ばしいやら泣きたくなるやらの状態の車体右側面です
タンク上のメーター台座に着手!
前号(第3話)でコクピット周りのハンドルとトップブリッジの位相ズレの修正まで進めたローライダー君。まだブレーキは復旧していないけれど、押し歩きのしっかり感は大幅に改善出来ました。この時に後回しにしていたのが、ステアリング付近とタンク上をバラした際に外しておいたメーターと台座部分(※以降ベースと表記)です。
かつては結晶塗装風だったと思われるベース表面はすっかり風化。タンクと接触するゴム部材も全周にわたってひび割れており、物悲しさ満点の趣です。ハンドルに手を伸ばしてシートに座れば視界に入るメーターですし、この風化ぶりは「ヤレた風合いを楽しむ」といったレベルではありません。
実働すればガソリンが付着する可能性もあるので後でウレタン系で保護するにせよ、この表面の荒れは削ぎ落とすしかなさそう。ベースの剥離と磨きに際し、マウントされているメーター自体を外すと「なんとなく復元が大変かも?」と考えてそのままにし、メーターを何重にもマスキングして磨き作業で「当たる」であろうペーパーや真鍮ブラシでメーターリムを傷めないよう対策。
様子を見つつ真鍮ブラシとインパクトで風化した塗装を落とし、地肌が出てからはポリッシャ&240番のペーパーで力を抜き気味に表面を慣らします。メーターと同一面は手作業で磨き、地肌が綺麗になったら脱脂してサフ→艶消しブラックで塗装しておきました。
これで見栄えは良くなったものの、メーター内部は固着している模様で、トリップカウンターをリセットで回してみても不動。「作動メカについては専門店に依頼しないと駄目かも?」と、こちらはいったん保留。







一方、ベースの下側を囲み、クッション材の役割を果たすゴムの部材は、試しにセメダインの「シューズドクター」でどこまで補修が出来るか実験をしてみました。十分水洗いをして乾燥させたら、さらに脱脂。ひび割れを広げながら、シューズドクターを染み込ませるように指で押し込んで数日放置。乾燥したのを確認してからサンドペーパーの細目で気長に削り、はみ出た部分を落としたらプラスティディップの黒を噴射。手間を考えると新品が入手出来た方がいいんでしょうが、骨董品の復元みたいで作業自体は楽しいものでした。

S&S製キャブレター&エアクリーナーを初分解
当初、転がり抵抗の大きなローライダーを移動させるのは面倒でした。鎮座させた当初に車庫に収まった向きも、オイル漏れしたプライマリーもたまたま左側でした。それで車体左側の作業から始めたため、右側=エアクリーナーやマフラー等吸排気系には手をつけていなかったんですね。そこで、車体を一度引っ張り出して向きを変え、ハーレー用キャブ周辺やマフラーの脱着に取りかかりました。
まずはエアクリーナーを取外します。このローライダーは純正ではなくS&S製のキャブが装着されており、エアクリーナーもS&Sの丸っこいタイプが付いていましたが、このエアクリーナーカバーの「クロームめっき」も、なかなかの荒れ具合。元の材質がアルミと分かったので、この際「気長にバフ仕上げにしたろ!」と、傷んだクロームめっきを削ぎ落とすことに決めたものの、元はけっこうしっかりしたクロームで、めっき層の強固なことったら!
傷んだ部分と無事なクローム層の差があるので、地肌を削り過ぎないよう苦心惨憺です。無事なクローム層が強固で剥がれないのなんの。「敵ながら天晴れである!」などと意味不明な事を口走りながら数日……。最終的には自宅の洗面台で600番のペーパーで水研ぎし、暫定仕上げに至るまでこのS&Sカバーとの戦いは続きました。
そしてカバー以外は、クリーナー裏面や内部の清掃ほか、エンジンと固定するステーのぶっきらぼうな形状を僅かにテーパー加工したり磨きを入れたりしておきました。ここはステンレス材のようなので、鉄部品で削り後に使う「錆止めクリア」を塗らなくても大丈夫そう。また、分解直後にポロポロと崩れたエアエレメントは新品をネット通販で購入。エアクリーナー周辺は、その辺で留めて室内に保管することに。
キャブレター本体は、錆だらけのエキパイの再生に目星が付いたら、じっくり分解作業をすることにしましょう。













大御所「エキパイ&マフラー」の取外し!
次なる大物は、ローライダーで特徴的なマフラーです。サイレンサーは初期段階で一度磨いてみて、エンジン側の傷みはあるものの外観的には何とかなりそうな印象でした。ところがエキパイを外してみると、錆が至る所に進行。ポリッシャに中目のペーパーを付けて懸命の作業をしても。そう簡単にはツルツルにならない。かといってあまり削っても穴が開いてしまうので、さすがに慎重にならざるを得ない感じ。








ポリッシャの入らない箇所は電動ベルトサンダーを低速で使ったり、ベルトだけ利用して手作業で錆を落としていきました。そうこうして、一体何時間を費やしたことでしょう。「表面の錆が食った凹みは仕方がないけど、塗装前提ならなんとかなるかな?」という程度まで磨けたところで、一度車体に仮組みしてみました。
すると、当初とは比較にならないほどカッチョ良くなり、努力の甲斐があったな~と飲むコーヒーの旨さよ。(昔のコーヒーCM「ダバダ~♪」を回想していただきたい)。

ところが……車体に取り付けたエキパイを再び外し、細目ペーパーを当ててクリーナーで汚れを落としてみると、リヤバンク側のエキゾーストポートに近い湾曲部に不穏な小穴が複数……。
喜んだのも束の間、小穴のみならず素材の肉厚も怪しそうで、絶望感に打ちのめされたのでした。 (つづく)


文と写真●小見哲彦
小見哲彦(こみ・てつひこ)
無類のバイク好きカメラマン。 大手通信社や新聞社の報道ライダーを経験してバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。2021年からは、防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を依頼されている。




































