6月7日、最終日を迎えたマン島は朝からときおり雨が降る曇り空だった。そのためシニアTTのスタートは順延され、19時スタートがアナウンスされた。
編集部註:シニアTTとは、その年に活躍した選手たちの選抜レースのような位置づけで、ライダーたちは戦闘力の高いスーパーバイクTT(1000cc4気筒の市販車ベース、スーパーバイク世界選手権準拠の改造)を戦ったマシンを選択する。
16時に山間部、17時には一般道がクローズされ、準備は整った。そしてレース前のコースインスペクション(参戦ライダーによるコースチェック)が行われ、シニアTTに出場するライダーがスネーフェルマウンテンコースを1周した。
主催者発表によれば、走行を終えたライダーたちはレースオフィスに集まった。決勝レース決行に賛成するライダーもいたが、路面は乾いているものの風が強く、さらに突風も吹きつける。また、これまでの2週間と異なる方向から風が来るため予測がしにくい、と危険を訴えるライダーもいた。
そしてレース管理者のゲイリー・トンプソン氏は、ライダーたちの意見を聞いたうえで総合的に判断し、シニアTTの中止を決定したのだった。
110年以上の歴史を持つマン島TTで、シニアTTが中止になったのはこれが2回目だ。トンプソン氏は次のようなコメントを発表した。
「予選やレースを延期または中止することは、決して容易な決断ではありません。もちろんこのような状況では、シニアTTの名声と知名度のことが頭に浮かびますが、それよりもはるかに重要な問題があります。
私たちはイベントを可能な限り安全な方法で開催するために努力していますが、残念ながら、今夜はそれが実現できないと判断せざるをえませんでした。
この機会を借りて、困難なイベントを通して忍耐強く協力してくれたすべての人々、特にマーシャル、医療従事者、役員、ボランティア、そして競技者に感謝したいと思います」
また、シニアTT後に開催予定だった、6月6日に行われたレースの表彰式も中止となった。

こうして2025年のマン島TTは消化不良のまま終わることになってしまった。しかし予選ウィークからの悪天候を考えれば、シニアTT以外のレースをすべて開催することができたことだけでも幸運といえるかもしれない。また、今年はシリアスクラッシュがなかったことも特記しておきたい。
最終レースがなくなったマン島の首都ダグラスでは、23時になるとダグラス湾に浮かんだボートから花火が打ち上げられ、夜空を彩った。TTライダーはもちろんのこと、主催者や関係者、そして多くの観客たちが花火を見つめながら、来年のマン島TTに思いを馳せていたことだろう。


最後に2025年のマン島TT決勝レースを制したライダーとマシンを紹介しておこう。
●スーパーバイクTT(6月2日)
デイビー・トッド選手(BMW M1000RR)
●スーパースポーツTT・レース1(6月2日)
マイケル・ダンロップ選手(ドゥカティ パニガーレV2:955cc)
●サイドカーTT・レース1(6月2日)
ライアン・クロウ選手/カラム・クロウ選手(ホンダ LCR)
●スーパーツインTT・レース1(6月3日)
マイケル・ダンロップ選手(パトン S1-R)
●スーパーストックTT・レース1(6月3日)
ディーン・ハリソン選手(ホンダ CBR1000RR-Rファイアブレード)
●サイドカーTT・レース1(6月6日)
ライアン・クロウ選手/カラム・クロウ選手(ホンダ LCR)
●スーパースポーツTT・レース2(6月4日)
マイケル・ダンロップ選手(ドゥカティ パニガーレV2:955cc)
●スーパーストックTT・レース2(6月6日)
ディーン・ハリソン選手(ホンダ CBR1000RR-Rファイアブレード)
●スーパーツインTT・レース2(6月6日)
マイケル・ダンロップ選手(パトン S1-R)





レポート&写真●山下 剛
































