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【元警察官】が解説!「高齢ドライバーの事故はホントは思うほど多くない!」…でも目立っているのは、なぜ?

■高齢ドライバーの事故を抑止するためには…… ※イラストでは悲惨な事故現場を絵柄として気分を害される方がいてはいけないので、わざと実際には有り得ない状況の表現としています。

「またかよ!」は間違いだった?高齢者事故は思うほど多くないという驚きの事実

交通事故は日常的に日本全国で起きていますが、ここ最近、特に目を引くのが高齢ドライバーによる事故です。高齢ドライバーの事故がニュースで流れるたびに「またかよ!」「さっさと免許を返納してしまえばいいのに」と厳しく批判する方も多いでしょう。
ところで、みなさんは高齢ドライバーによる交通事故がどのくらい発生しているのか、ご存じでしょうか? 公開されている統計の情報をひも解いていくと、驚くべき事実がみえてきます。

「高齢ドライバーの事故ばっかり」は間違いだった!

警察庁は、毎年の交通事故の発生状況を公開しています。その資料をもとに、運転免許をもつドライバーのうち、どの年代がどのくらい交通事故を起こしているのかという情報をまとめてみました。

【参考】令和6年中の交通事故の発生状況|警察庁 から

警察庁による令和6年中交通事故の発生状況をまとめたグラフがあり、このグラフをみれば、どの年代が最も多く交通事故を起こしているのか、一目瞭然です。
事故件数が突出しているのは運転初心者の16~19歳で、ドライバーとして円熟するにつれて事故件数は安定し、高齢に向かって緩やかに増加しています。つまり、少なくとも運転免許を取得して数年ほどのドライバーのうちは「また高齢者が事故を起こした」と嘲笑うべきではないということです。

では、なぜ高齢ドライバーの事故ばかりが目立つのか?

最も交通事故を起こしているのは運転免許を取得したばかりの初心ドライバーなのに、なぜ高齢ドライバーによる事故ばかりが目立つのでしょうか?
まず考えられるのは、死亡事故に限ると圧倒的に高齢ドライバーの事故率が高いという点です。

【引用】令和6年における交通事故の発生状況について|警察庁 から

運転免許保有者10万人あたりで令和6年中に死亡事故を起した人員は、75歳未満では2.6人に対し、75歳以上だと5.2人でした。この数値だけをみると、高齢ドライバーの死亡事故率は2倍になります。死亡事故はニュースなどで報道される可能性が高いので「また高齢者がひどい事故を起こしたのか」という憤りが高まるという構図です。
死亡事故だけではありません。高齢ドライバーは単独事故の割合も突出しています。

【引用】令和6年における交通事故の発生状況について|警察庁 から

75歳未満の事故類型は「人とクルマ」や「クルマとクルマ」が大半です。ところが、75歳以上では「クルマ単独」が半数弱を占めています。やたらと高齢ドライバーがひとりでガードレールや電柱などに突っ込んで物損事故を起こしているように見えるために、高齢ドライバーばかりが事故を起こしていると感じるのかもしれません。

暴走・逆走……「あり得ない!」と批判されやすい事故が多いのも原因

統計のうえで高齢ドライバーの事故が注目されやすい理由を分析してみましたが、おそらく最も大きな原因は、世間が「あり得ない!」と批判されやすい事故が多発しているという点でしょう。
猛スピードで歩道に突っ込む、何台ものクルマにぶつけながら最後には大クラッシュして停止といった暴走事故、高速道路での危険な逆走事故などが起きるたびに、社会は強く批判します。たしかに、正常な判断力をもつ一般ドライバーなら、暴走や逆走といったトラブルを起こす可能性は低いので「さっさと免許を返納させろ」と声を挙げたくなるのかもしれません。

そして、こういった批判が集中しやすい事故はマスコミの大好物です。スマホのカメラ、ドライブレコーダー、街頭の防犯ビデオなどが、容赦なく事故の様子を記録しているので、衝撃的なシーンが全国に流されてしまいます。
高齢ドライバーの事故ばかりが目立っているように感じるのは、マスコミに扇動されているからなのではないでしょうか?

高齢ドライバーの事故を抑止するためにできることは?

そうはいっても、高齢ドライバーが暴走や逆走といった一般ドライバーからみれば「あり得ない!」と感じる事故を何度も引き起こしているのは事実です。なかには複数の歩行者が生命を奪われる悲惨な事故もあるので、高齢者特有の特性や問題点を見出し、対策を講じなければなりません。

もちろん、政府はすでにその対策を講じています。たとえば、免許更新の際の認知機能検査の実施、運転免許の自主返納の推進、運転ミスを防止するサポカーの開発、高齢者の移動サポートを目的とした交通機関の整備などが挙げられるでしょう。しかし、まだ万全とはいえません。

高齢ドライバーの事故を抑止するためには、政府や自治体に任せるだけではなく、社会全体がこの問題に興味をもって「自分たちにもできることをしよう」という意識をもつ必要があります。家族や親族のなかで高齢者を孤立させない、日ごろから周囲を思いやった運転をするなど、まずは小さなことからでも実践してみませんか?

レポート●鷹橋公宣 画像●警察庁/モーサイ編集部

Profile

◯鷹橋公宣(たかはし きみのり)
元警察官・刑事のwebライター。
現職時代は知能犯刑事として勤務。退職後は法律事務所のコンテンツ執筆のほか、「note」では元刑事の経験を活かした役立つ情報などを発信している。

 

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