“究極のセーフティ”を続々と市場へ投入
GPS内蔵エアバッグモデル増加中!「DAINESE」
アクシデント発生時にライダーを守る究極のシステム、エアバッグ。その先駆者であるダイネーゼでは、Dエアーと名付けられたワイヤレス式エアバッグをリリースしている。
「2014年に全世界でDエアーをリリースして以降、弊社では作動した3000台以上のエアバッグの交換を行いました。つまり、世界中で3000人以上のライダーの命を救ったことになります」 そう語るのは、Dエアーシステムについて話を伺ったダイネーゼ社日本総代理店・ユーロギア代表の勝川久也さん。
Dエアーシステムの特徴は大きく分けて2つ。ワイヤレス式であることと、GPSを内蔵していることだ。
バイクとライダーをつなぐワイヤーが事故発生時に外れてエアバッグが作動する方式と異なり、ワイヤレス式はエアバッグシステムがライダーの状況を常にチェックする必要がある。そのためDエアーは、3つの角度センサーと3つの加速度センサー、GPSという計7つのセンサーを搭載し、1秒間に1000回ものセンサリングによって事故発生時にエアバッグを作動させるか否かの判断を行っている。このときGPSは速度を検知して作動の判断に活用するとともに、アクシデントの状況や場所の記録にも使われる。このデータはシステム交換時に回収され、製品にフィードバックしているという。
「GPSを搭載せず、加速度センサーのみでライダーの動きを解析するシステムもマーケットにはありますが、弊社では速度もエアバッグ作動を判断する重要な要件だと考えています。ですので、レース向けのDエアーレーシングは、50㎞/h以下では回転を伴う転倒でなければ動作しない、という判断ができるのです」
事故の最初の衝撃は事故発生から僅か0・08秒で受けることが多いというが、Dエアーが展開するまでのタイムラグはそれよりもはるかに短い。ストリート向けのDエアーロードはヨーロッパの法規基準である「45㎞/hでクルマに45度以内の角度で衝突」した場合、0・015秒で作動判断を行い、続く0・03秒でエアバッグが膨張する。両者を合わせた完全膨張時間は0・045秒だ。この僅かな時間で作動するのは、レースシーンを含めた膨大なデータを持つダイネーゼならではのもの。
「作動のアルゴリズムを作るのに必要なのが、データです。ストリートだけでなくMotoGPなどレース活動でのデータも持っているというのが、Dエアーの強みですね」