1985年東京モーターショーであなたも虜…… 「FALCORUSTYCO」が刻んだ近未来図! 【試乗編】  <ある技術者兼テストライダーの回想記2>

1985年東京モーターショーで配布されたファルコラスティコの資料。主な特徴が書かれた表のリリース文のほか、中身ではファルコラスティコ=白きハヤブサとアピールされている。この14年後に登場するGSX1300Rハヤブサは、同時期にすでに構想されていたのか興味深い。
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1985年東京モーターショーで配布されたファルコラスティコの資料。主な特徴が書かれた表のリリース文のほか、中身ではファルコラスティコ=白きハヤブサとアピールされている。この14年後に登場するGSX1300Rハヤブサは、同時期にすでに構想されていたのか興味深い。
1985年東京モーターショーで配布されたファルコラスティコの資料。主な特徴が書かれた表のリリース文のほか、中身ではファルコラスティコ=白きハヤブサとアピールされている。この14年後に登場するGSX1300Rハヤブサは、同時期にすでに構想されていたのか興味深い。
'85年のモーターショー後、改めて書き直されたデザイン画の右上端にはEARER1997の記述がある。より現実的なファルコのモデルチェンジ版として描かれたスタディケースで、駆動部やスイングアームなどがより凡庸な描き方になっている。
高垣さん所蔵のファルコ継続開発プロジェクトの写真。ショー発表後もフロントハブステアが試されていたことがわかる。市販車GF250ベースの車両にハブステアが移植されているが、ハンドルは通常のものを使用。後輪も通常のチェーン駆動とされている。
こちらも継続開発プロジェクトで試された油圧駆動のプロトタイプ。スズキ竜洋テストコースの直線を走るのは高垣さん。詳細は不明だが、スイングアーム基部にあるのがオイルポンプ、車体後端にあるのはオイルタンクか。後輪用スプロケットが斜め上方(シートレール下)部からチェーンでつながっているが、この部分に液体の流れを駆動に変換するペラシャフトのようなものが入っているのか? いずれにせよかなり大がかりで、複雑にならざるを得ないスタディケースだったことがわかる。
こちらも継続開発プロジェクトで試された油圧駆動のプロトタイプ。スズキ竜洋テストコースの直線を走るのは高垣さん。詳細は不明だが、スイングアーム基部にあるのがオイルポンプ、車体後端にあるのはオイルタンクか。後輪用スプロケットが斜め上方(シートレール下)部からチェーンでつながっているが、この部分に液体の流れを駆動に変換するペラシャフトのようなものが入っているのか? いずれにせよかなり大がかりで、複雑にならざるを得ないスタディケースだったことがわかる。
継続開発プロジェクトのひとつとして、エンジンを生かす量産化の可能性も模索された。写真はCAD解析を経て試作された4サイクルスクエア4エンジン用のダブルクレードルフレーム。オートドックスかつ現実的な形状になった分、ファルコの近未来性は薄まっている。
テレスコピックフォーク&リヤスイングアーム式2本ショックの付くダブルクレードルフレームに、前傾して搭載されたスクエア4エンジン。車体やパッケージングに斬新さは少ないが、このエンジンを純粋に味わうには興味深いテストモデルだ。
テレスコピックフォーク&リヤスイングアーム式2本ショックの付くダブルクレードルフレームに、前傾して搭載されたスクエア4エンジン。車体やパッケージングに斬新さは少ないが、このエンジンを純粋に味わうには興味深いテストモデルだ。
前述の車体に外装モックアップを載せた状態。ヘッドライトからタンク、テールまでのフォルムに'90年代のスタンダード的な雰囲気を感じる。前側の排気取り回しに対し、後列側はシート下を通るテールアップ方式が検討されたのか? 
ファルコの継続開発プロジェクトから、前輪の油圧パワーステアリング機構が応用された'87年モーターショーのコンセプトモデル「NUDA」(ヌーダ)。走行シーンのプロモーションビデオのライダーは高垣さんだが、これも思い出深い出来事だったようだ。エンジンは油冷GSX-R750ベースに水冷ヘッドを組み合わせ、フルタイム・フルオート二輪駆動、カーボンファイバー製ハニカムモノコックボディなど、こちらも意欲的な特徴が盛り込まれていた。全体のフォルムには、後のハヤブサ(GSX1300R)の雰囲気を感じる。
■高垣和之さん。'81年スズキに入社し、二輪デザイングループに配属。以後RM系オフ競技モデル、4輪バギーLTシリーズ、量産モデル(RH250、RG250Γ3型ほか)のデザインを担当。社内チームよりSS400/F1クラスのロードレースへ参戦し、'86~'88年鈴鹿8時間耐久にGSX-R750で出場。写真の'86年=24位が最高位で、'87年はリタイア、'88年は練習走行での左足首粉砕骨折を押して出場するも完走がやっと。それが心残りだという。同年スズキを退社し、ムーンクラフトでのデザイナー経験などを経て、'95年に独立。4輪用エアロパーツ製作&販売を主業とするマルガヒルズプロダクツを設立。なお、当記事は、高垣氏が自社サイト趣味の部屋に記録していた自著文「いつかはFALCO-RUSTYCO」をベースに、インタビュー協力を得てまとめたものである。
■高垣和之さん。'81年スズキに入社し、二輪デザイングループに配属。以後RM系オフ競技モデル、4輪バギーLTシリーズ、量産モデル(RH250、RG250Γ3型ほか)のデザインを担当。社内チームよりSS400/F1クラスのロードレースへ参戦し、'86~'88年鈴鹿8時間耐久にGSX-R750で出場。写真の'86年=24位が最高位で、'87年はリタイア、'88年は練習走行での左足首粉砕骨折を押して出場するも完走がやっと。それが心残りだという。同年スズキを退社し、ムーンクラフトでのデザイナー経験などを経て、'95年に独立。4輪用エアロパーツ製作&販売を主業とするマルガヒルズプロダクツを設立。なお、当記事は、高垣氏が自社サイト趣味の部屋に記録していた自著文「いつかはFALCO-RUSTYCO」をベースに、インタビュー協力を得てまとめたものである。
ファルコの痕跡を残す唯一のパーツが、この吸気側カムシャフト。「試作車両ってのは、開発終了後は廃棄しなければならないんですが、このエンジンは1基丸ごと残したかった。でも実際それは難しく、ならばセンターカムだけでも残そうと思ったんです。この極端に狭いカムジャーナルが、ファルコのスクエアフォーエンジンが実在したことの証になりますし」。幾多の思い出とともに、高垣さんの元にそっとしまわれている。
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