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ドイツ発祥のタイヤブランド「メッツラー」から、新製品として「スポルテック01」と「スポルテック01 RS」が発売された。どんな性能のタイヤなのか、スペインのセビリアで開催されたタイヤ試乗会に参加した、二輪ジャーナリストの鈴木大五郎がレポートする。
独自技術「ダイナトレッド」を採用
メッツラーがラインアップするオンロード用スポーツラジアルタイヤは大きく分けて3カテゴリーある。まず、ツーリングからワインディング走行まで、最もワイドなレンジを受け持つ「ロードテック」。サーキット走行向けの性能を与えられた「レーステック」。そして、「ロードテック」と「レーステック」の中間的な存在で、スポーツライディングを楽しむことを主体とした「スポルテック」という内訳だ。
今回登場した「スポルテック01/RS」は、従来銘柄のスポルテックM9RRが刷新されたもの。2年前に登場したロードテック02で初採用された新技術「ダイナトレッド」を導入しているのが特徴である。これは、走行中の荷重が高まるにつれてグルーブ(溝)が閉じていくという設計で、低~中荷重のときはグルーブの動きによってフィードバックを得やすく、ウォーミングアップ性能や排水性も向上。そして、高荷重の状況ではグルーブが閉じることで接地面積が拡大され、剛性もアップするという。





スポルテック01:幅広い速度や路面状況をカバーする安心感の高さ
まずは公道で、スポルテック01からテストを開始する。数あるテスト車両の中から最初に選択したのはBMW R1300R。走り始めのゆっくりペースから、分かりやすい素直なハンドリングが感じられる。ヨーロッパメーカーのスポーツカーを思わせる上質な乗り心地だ。確かなグリップ感と同時にグラブ感=路面をつかんでいるような感触があるけれど、決して柔らかすぎることはない。メッツラーらしいとも言えるこの手応えは非常に気持ちがいいもので、個人的にはバイクを操るうえで非常に重要な要素だと思っている。

そして、そんな安心感に誘われてペースを上げていくと、ブレーキング・旋回時に荷重が高まった際に、接地感と同時に剛性がアップしているのが感じ取れた。走りはじめから得られる好感触に、この「ダイナトレッド」によって生み出されるスポーツ性能が上乗せされていると考えると、驚くほどワイドレンジなタイヤであると言える。
また、路面からの衝撃の吸収性が高いことにも感心した。ハイグリップ系のタイヤにありがちなギャップ通過時に弾かれるような挙動はなく、タイヤがサスペンションの一部になっているということがはっきり感じられる。

ワインディングを快走していると、突然の雷雨に襲われた。あっという間に路面がぬれて真っ黒になっていく。しかし、スポルテック01ならスポーティなタイヤがやや苦手としているウェットコンディションもなんのその。慌てずに走り続けられる。タイヤからライダーに伝わってくる情報量が豊富で、不安を感じさせないからだ。スポーツバイクで雨の中は走らないよ!という人も多いかもしれないけれど、近年はゲリラ豪雨が増加していたり、天候の変化が予測しにくい。そんな環境下で安全を担保するようにタイヤを設計しているのは、ドイツらしい=メッツラーらしい考え方だ。実際、スポーツタイヤとしては、ドライ路面での性能を犠牲にしないのであれば、オールラウンド性は高いに越したことはないのだから、この性能は歓迎されるべきものであろう。
今回、スポルテック01の試乗用として24台もの異なるマシンが用意されていた。これだけの台数を集めたことにはメッツラーの自信が伺える。僕はR1300Rをはじめ、ドゥカティのモンスターやストリートファイターV2など、複数の車両に乗ったのだが、どれに乗ったときもスポルテック01のフィーリングはニュートラルであった。

スポルテック01 RS:フレンドリーな感触でありながら、サーキット走行でも破綻しない性能
サーキットに場所を移して、今度はスポルテック01 RSのテストを行う。RSのネーミング通り、こちらはさらなるスポーツ性能を盛り込んでいる。

メッツラーのサーキット向け銘柄としてはレーステックRRがあり、レーステックRRにはK1/2/3というバリエーションが存在する。K1やK2はサーキット走行の比重がかなり高めの性能であるのに対して、K3はスポーツモデルで純正採用されることがあるほど公道の比重が高めだ。とはいえ、K3でもグルーブは少なく、かなりスポーティであることは確かである。
前置きが長くなったが、スポルテック01 RSはサーキット走行においてレーステックRR K3を上回るポテンシャルを持つという。もちろん、スポルテックシリーズの主戦場は公道であり、01 RSでもそこは押さえられているというのだから非常に心強い。

今回走ったモンテブランコサーキットは、約10年ぶりの走行。なかなかトリッキーなレイアウトで、すっかり初走行のような状態からのスタートとなってしまった。だが、そんなよちよちペースであってもスポルテック01 RSはライダーによそ行きの表情を見せたりせず、多くの情報を伝えてくれる。01 RSは、01と比べるとしっかり感は高まっているが、ハイグリップ系のピンポイント的な反応ではなくフレンドリーな感触である。
走行開始直後は「ダイナトレッド」によるグルーブの動きによってウォーミングアップ性能が高く、路面の状況も把握しやすい。徐々にペースを上げていくと、グルーブが閉じてカッチリとした手応えとグリップ感が高まり、レーシングタイヤの感触を思い出す。その切り替わりはあまりにも自然で、何だかものすごく守備範囲の広いタイヤを履いているような印象である。

なお、スポルテック01 RSのサイドコンパウンドはレーステックRR K2と同じものを採用していることもあり、フルバンク時の安心感は特筆もの。躊躇なく攻める気持ちにさせてくれる。コーナリング中のフィードバックも豊富で、コントロール性の高さも実感する。スポルテック01と同じく01 RSも、BMW S1000RRやドゥカティ パニガーレV2Sなどさまざまなバイクに乗る中で、車種を選ばないワイドレンジなキャラクターを確認できた。

ダイナトレッドが生み出す新時代の感覚
スポルテック01/RSをテストしていて頭に思い浮かんだのは、走行状況によってダンピングフォースが変化して適正な車体姿勢を作り出す、電子制御のセミアクティブサスペンション。
電制サスはレースシーンでは使用禁止されていることがほとんどだが、とあるエンジニアによれば、徹底的に作り込めば非電制のサスをはるかに超える性能を得られるという。実際、公道においては、電制サスはすでにかなりの優位性を得ている。乗り心地や安全性の向上に貢献し、幅広い状況にバイクを適合させる新時代の技術である。
サスペンションとは違って、タイヤはそれ自体に電子制御機構を組み込むことができない。だが、電子制御に匹敵する状況最適化の技術があったとすれば……。スポルテック01/RSの性能はまさにスポーツ走行向けの電制サスのような出来栄えであり、メッツラーのタイヤづくりが新時代に入っていることを感じさせたのであった。
スポルテック01/RS 製品情報
◯スポルテック01
価格:オープン サイズ(フロント用):110/70ZR17、120/70ZR17 サイズ(リヤ用):150/60ZR17、160/60ZR17、180/55ZR17、190/50ZR17、190/55ZR17、200/55ZR17

◯スポルテック01 RS
価格:オープン サイズ(フロント用):120/70ZR17 サイズ(リヤ用):180/55ZR17、190/55ZR17、200/55ZR17、200/60ZR17

report:鈴木大五郎 photo:メッツラー




































