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現場の白バイ隊員のヘルメットは、耐用年数ごとに更新される
白バイ隊員のヘルメットといえば、白くていつもピカピカ、いかにも「精鋭部隊」というイメージを持っている方も多いと思います。そのヘルメット、一度支給されたら、ずっと使い続けるのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。
白バイ隊員の使用しているヘルメットには、しっかりとした耐用年数(寿命)が存在します。そしてその役目を終えた後、意外な“第2の人生(ヘルメット生)⁉”を歩むことになるのです。

今回は、元白バイ隊員の視点から、そのリアルな実情を少し面白く、そして少しだけ生々しくお伝えします。
1. 白バイのヘルメットは特別なのか?
まず気になるのが「そもそも何を使ってるの?」という点。
結論から言うと、白バイ隊員が使用しているヘルメットは、有名メーカー製のジェットヘルメットがベースです。筆者が在職した部署はアライ製でしたが、ほかの地域では他メーカー製もあるかもしれません。見た目は白く統一されており、パッと見は市販品と大きな違いはありません。ただし当然ながら、細かい部分が白バイヘルメット仕様となっております。
また、公務で使用する装備なので、管理や運用はかなり厳格です。耐用年数期間内に転倒などでヘルメットが破損した場合は、もちろん新品のスペアが支給されますが、被っていないヘルメットを手が滑ってしまって地面に落とす行為等は、基本的にあり得ないという考えです。過去にヘルメットを落として破損させた隊員がいましたが、上司の大きな雷が落ちていました。なので、ヘルメットの持ち方、保管方法等についても厳しく指導されます。
話を戻しますが、一般のライダーと同じように、避けて通れないのが ヘルメットの耐用年数問題です。

2.ヘルメットの耐用年数は意外と短い
白バイ隊の中では、ヘルメットの耐用年数は3年とされています。
「ヘルメットってそんなにすぐダメになるの?」と思う方も多いかもしれませんが、実はヘルメットは消耗品です。一見すると劣化しているようには見えません。しかし、白バイの場合は特に
●ほぼ毎日使用
●長時間装着
●直射日光や雨にさらされる
といった使用環境のため、一般ライダー以上に劣化が進みやすい状況にあると思います。
ちなみに、内装は各自で洗濯します。夏場などは、勤務が終わると外して自宅に持ち帰って洗うことがほとんどです。職場に洗濯機がある場合は職場で洗ってしまうこともあります。
耐用期間内は、内装も外観もなるべく清潔を保って使っていますが、外見上は新品同様でも、インナーや内部の緩衝材等が傷んでいる可能性が高いです。そして、公務で使用しているヘルメットは、一定の期間が来ると必ず新しいものへ交換されます。
ここで疑問が浮かびます。
「まだ使えそうなのに、どうするの?」と思われるでしょうし、見た目は新品に近いものもあります。「公道での使用は出来ないにしても、他に活用方法はないものか?」と思ってしまいますよね。
耐用年数を過ぎた中古ヘルメットの「セカンドキャリア」
結論から言うと、捨てません。
白バイ隊員はヘルメットを毎日のように磨いたり、綺麗に使うことを心掛けているのですが、どんなに大事に丁寧に扱っていたとしても、耐用年数を迎えたヘルメットは一線から退かなければなりません。
3.廃棄されないヘルメットの行き先
じゃあどうなるのか? 訓練用として再利用されます。ちょっと大袈裟な言い方ですが、これが白バイヘルメットの“セカンドキャリア”です。
以前にも当コラムで紹介しましたが、白バイ隊員になるには、厳しい訓練と審査をクリアする必要があります。いきなり現場に出るわけではなく、まずはクローズドコースなどで徹底的に乗車訓練を行います。その際に使われるのが、現場で使われていたお下がりヘルメット。理由はシンプルです。
●多くの白バイ隊員の卵に貸与しなくてはならない
●毎日使う
●汗だくになる
●転倒で傷だらけになる可能性もある
こんな環境で新品を使っていたら、コストがとんでもないことになります。
ここまでは合理的で納得の話。しかし、この訓練用ヘルメットには、ある“問題”があります。それも切実な問題です。

4.被った瞬間に分かる“前任者の気配”。訓練用中古ヘルメットはガチャである
そう、ここからが本題です。実は訓練用ヘルメットには 当たりとハズレが存在します。何の当たりハズレか? それは性能ではありません。臭(にお)いです。
どんなにインナー(内装)を洗っていても、長年使われたヘルメットには蓄積があります。
●汗
●皮脂
●整髪料
●そして謎の生活臭?
●洗剤等の香り
これらが絶妙にミックスされ、「誰だよこれ使ってたの…」というレベルの個体が生まれます。
もちろん、しっかり手入れされていた“当たり個体”もあります。ほぼ無臭で快適なやつです。しかし一方で、 被った瞬間に後悔する“ハズレ個体”これも普通に存在します。しかも、ダンボール箱に入れられた状態で倉庫などで長期間保管されている場合がほとんどなので、当然熟成も進みます。
5.なぜ回避できないのか?
「じゃあ臭くないやつ選べばいいじゃん」。当然そう思いますよね。でも現実はそんなに甘くありません。理由は一つ、サイズの問題です。訓練用はあくまで“お下がり”。在庫は限られています。つまり…
●自分のサイズがあるだけでラッキー
●選べる余裕はほぼゼロ
という状況、結果どうなるか? 臭いは神頼みになります。
もちろん白バイ隊員を目指す者は自分一人だけではありません。ひとりだけワガママを言っていられるような環境ではないのです。
6.実は他の装備も同じようなもの
この話、白バイだけの特殊事情ではありません。警察の機動隊などでも、装備の使い回しは珍しくなく…
●長期保管
●湿気
●劣悪な管理状況
これらが重なると、カビ+強烈な臭いなんてケースも一昔前は普通にありました。しかし、任務や訓練ではそんなこと言っていられません。
「とりあえず着けろ」
これが現実です。でも不思議と厳しい訓練中は気にならなくなってしまったりもします。
「ヘルメットをケチってはいけない」という真実

7.一般ライダーも他人事ではない
ここまで読んで「自分には関係ない」と思った方、実はあなたの身近にも存在しています。一番注意してほしいのが 中古ヘルメットの購入です。最近はフリマアプリやネットショップで、安く中古ヘルメットが手に入りますよね。
でも最大の落とし穴は、臭いが分からないことです。写真では分からない、説明文でも分からない。そして届いた瞬間「終わった…」というパターン、普通にあります。実際に、見た目は新品同様だったのに臭いがキツすぎて一度も被らず廃棄、なんてケースも珍しくありません。
そして、結論。ヘルメットはケチるなということです。
8.最後にまとめです。
●白バイのヘルメットにも耐用年数がある
●期限が来たら現場では使わない
●その後は訓練用として再利用される
●そして中古には“当たりハズレ”が存在する
ということを踏まえ、一番伝えたいのはこれです。
「ヘルメットはケチると後悔する」
安全性の問題はもちろんですが、それ以上に精神的ダメージ(臭い)が想像以上にキツいです。快適に、そして安全にバイクを楽しむためにもヘルメットだけは妥協せず、しっかり選ぶことをおすすめします。
文●睦良田俊彦 写真●モーサイ編集部、睦良田俊彦
睦良田 俊彦(むらた・としひこ) 1986年北海道生まれ
趣味:クルマ、バイク
歯科技工士を経て警察官となり、約15年間勤務(白バイ隊員歴約10年)。警察学校卒業後は約3年半の交番勤務を経て交通部門へ。白バイ警察官として第一線で交通取締りをメインに活動し、ライダーのための安全講習、交通安全啓発イベント、マラソン大会先導、大統領車列先導など、様々な経験を重ねてきた。
県警主催白バイ大会での優勝経験もあり、白バイ新隊員の育成などにも携わった後、巡査部長の階級で依願退職。現在は退職後の夢でもあったライディングレッスンなど、ライダーのためになる活動が出来る場を作るべくYouTuber「臨時駐車場チャンネル」として活動。バイクイベント等に積極的に参加し、出身の北海道で開催のライディングレッスンで講師も務めている。
































